「シンデレラ・コンプレックス」で田中美久が愛し、飯島寛騎が生き方を尊重した人物とは? 森愁斗との共演エピソードも語る

韓国発の縦型マンガ・Webtoonに登場後、累計4億ビューを突破した井上里彩子/SORAJIMA原作の衝撃作「シンデレラ・コンプレックス」が実写ドラマ化。田中美久さんと飯島寛騎さんがダブル主演を務め、MBSのドラマ特区枠にて2月29日より放送がスタートします。

同じ高校で働く教師の相沢舞(宇垣美里)とおしどり夫婦として知られる教師・相沢陽介(飯島)は、「いつかすてきな王子様が現れる」というシンデレラコンプレックスを抱えた強烈なヴィラン女子高校生・前園由良(田中)の毒牙にかかり、想像を超える残酷な手口で追い詰められることに。やがて、陽介の不倫から復讐(ふくしゅう)を胸に誓った舞と、由良の同級生で謎多き高校生・工藤要(森愁斗)の思惑が絡み合い、強烈なコンプレックスと憎しみが渦巻いていく恐ろしい禁断のラブサイコスリラーが展開されます。

TVガイドWebでは、外見に異様なまでに執着し、狂気的な秘密を抱えながら陽介を惑わす地雷系女子高生・前園由良を演じる田中美久さんと、愛妻の舞とはおしどり夫婦で知られるが、由良との関係を通して本性があらわになる人気イケメン教師・相沢陽介を演じる飯島寛騎さんに、本作の魅力や共演者とのエピソードなどを伺いました。

――出演が決定した時の心境や、台本を読んでみた時の感想をお聞かせください。

田中 「原作が累計4億ビューを突破したということで、いろいろな方が知っている作品だったので、このお話をいただいた時は驚きとうれしい気持ちでした。アイドル卒業後初のドラマ主演になるので、緊張や不安もありつつ、たくさんの方に助けていただいて、すてきな作品になったと思っています」

飯島 「台本を読んだ時は『なんだこの常軌を逸した作品は!』というのが第一印象です。生徒の役は何度か演じたことがあるのですが、教師の役は初めてだったので面白そうだなと思っていたら、まさかの不倫をするというとんでもないキャラクターで、これは視聴者の方をどんどん巻き込んでいけるかなと。ほかの登場人物もとても魅力的で、一気に世界に入ってしまい、ぜひとも演じてみたいと思いました」

――演じたキャラクターの印象や魅力を教えてください。

田中 「卒業してから最初に演じるのがこの衝撃的な内容とキャラクターだなんて、周りはびっくりするだろうなと思いました(笑)。物語では皆それぞれコンプレックスを抱えている中、由良ちゃんにもいろいろな過去があって、今があって……人間版チャッキーのような感じで、何をしでかすか分からない人、そして陽介さんはやっぱりダメな人だなというところが魅力です。もし現実に存在していたら怖いなという登場人物ばかりですね!」

飯島 「物語が進むにつれて、由良も舞も僕に対しての目が怖くなっていくのを感じました(笑)。宇垣さんにも『陽介というキャラがどんどん苦手になっていきます』と言われるぐらいです(笑)。陽介自身は自分が普通だと思っています。皆それぞれの普通が違うからこそ、いろいろな違いを巻き込み、ヒートアップし、陽介自身もどうしたらいいのか分からなくなり試行錯誤していくという、とても人間らしいキャラクターだと思っています。欲望に欲望が詰まった陽介というキャラクターを生かしたかったので、監督やプロデューサーと相談しながら役作りをしました」

――共演する前のお互いの印象や、一緒にお芝居をした後の印象はいかがでしたか。

飯島 「スチール撮影時に初めて田中さんとお話させてもらい、ふわっとした柔らかい方だなという印象を受けたのを覚えています。現場でクリスマスプレゼントを配っていて『なんて気配りができる方なんだろう!』と皆さん感激していました。その優しい方というイメージから始まり、あの由良という強烈な役で日に日に目が怖くなっていったので、役者としてもすてきだなと感じました」

田中 「飯島さんはたくさんお芝居をされている方なので、ずっと支えられました。演技にこだわる姿がすごくすてきで、自分の中でどうしていいか分からないこともスチール撮影の時からアドバイスをしてくださって、私もそれで頑張ろうとパワーをもらいました。頼れる大先輩です!」

飯島 「照れますね(笑)」

――田中さんは地雷系の高校生という役どころですが、演じていて自分と似ているなと思ったところはありましたか。

田中 「由良ちゃんは自分の欲しいものに真っすぐ突き進む女の子なので、感情に正直なところが少し自分と似ているのかなと思いました。私も真っすぐに生きたいし、自由が大好きだし、正直に生きるタイプなので。あと、由良ちゃんはいろいろな過去やコンプレックスを抱えていますよね。私自身もコンプレックスを抱えていたことがあったので、そういうところは由良ちゃんの気持ちに寄り添って演じることができました」

――飯島さんは、田中さんの演じる由良を見ていて目が怖くなっていったとお話されていましたが、具体的にどう感じたのでしょうか。

飯島 「後半部分は特に、由良というキャラクターの真っすぐさやピュアさがどんどん自分にも突き刺さって周りを巻き込み、何よりも僕自身が恐怖を感じました。陽介の必死な人間らしい部分があったからこそ表れた怖いという気持ちです」

――田中さんはドラマ初主演ということでしたが、演じてみていかがでしたか。

田中 「最初は不安もありましたが、たくさんの方に支えてもらって、不安を解消していきながら由良ちゃんを演じることができました。人気の原作漫画ですが、ドラマも面白いと思ってもらえるよう皆さんの力を借りて作り上げました」

――飯島さんは数々の作品への出演経験がございますが、本作のラブサイコスリラーというジャンルにどういった演技プランで臨もうと思っていましたか。

飯島 「まずは自分のお芝居で現場の方々をとりこにしていかなければ、と感じました。アイデアをどんどん出し、サイコスリラーの震えるところや、皆さんが想像もつかない感情などを僕らが作り、あとはお客さまに見ていただいて作品を完成させてもらうということを意識しました。愛情だったり、不倫だったり、そういったいやらしさもありつつ、本心でもありつつという、そういう人間らしさを気にかけてお芝居に臨みました」

――田中さんが高校生で飯島さんが教師という役柄ですが、高校生の外見や、教師としての振る舞いを意識したことはございますか。

田中 「由良ちゃんに寄せるため、黒髪にしてエクステをつけてツインテールにしていたのですが、それが意外と重くて大変でした。メークをピンク系にしてネイルも由良ちゃんに合わせています」

飯島 「一つの教室で座っているだけでもひと際目立つキャラクターというのが見て分かるよね!」

田中 「衣装合わせの時にもさまざまな地雷系のお洋服がありました。今の世代に合わせた地雷系にしようとなり、派手な感じではなく『こういう女の子っているよね』というナチュラルなお洋服に寄せました。そうしたら撮影中に私と同じような格好をした女の子を見かけて『本当にいた!』と、少し感動してしまいました(笑)」

――地雷メークやファッションをしてみて、どうでしたか。

田中 「最初は違和感がありましたが、由良をどんどん知っていくにつれ、不思議なことに逆にこの格好でないと生きていけないというくらいしっくりきていたのかも!と、今では思います」

飯島 「自然に着こなすところがさすが田中さんという現場になっていました。『そのカチューシャ、誰もが似合うわけではないぞ!』という感じで着こなしていてすごいなと(笑)」

――飯島さんはいかがでしたか。教師としての振る舞いで意識した点などございますか。

飯島 「英語の教師役ということで、発音を美しく、そして分わかりやすく生徒に教えるという、由良に対する動揺をなるべく出さず、普通に授業することに焦点を当てました。逆に、学校生活以外のシーンでは、少し大人なたたずまいを意識しました」

――田中さんが由良と実際に交流があったとして、由良から恋愛相談を持ちかけられたらどんな反応をしますか。

田中 「由良ちゃんは何をしでかすか分からずヒヤヒヤしてしまうので、すごくオブラートに包んで相談に乗ると思います。ダメだよという時は『ダメ!』と言ってあげたいです(笑)」

――飯島さんはいかがでしょうか。陽介と実際に交流があったとして、由良との悩み相談を持ちかけられたらどう答えますか。

飯島 「大人な対応をします。『本当に愛しているのなら、彼女が学校を卒業してからね!』と声をかけると思います」

――共演した工藤要を演じる森愁斗さんや、相沢舞を演じた宇垣美里さんとのエピソードがあったらお願いいたします。

田中 「宇垣さんとはとても仲良しになりました! クランクアップした次の日に2人で鍋を食べに行き、来月にもランチで和食を食べに行く約束をしています」

飯島 「作中ではなかなか見られない光景ですね(笑)」

田中 「演じる役ではお互いバチバチですが、裏ではとっても仲良しです!」

――飯島さんはいかがでしょうか。

飯島 「僕はお二人の邪魔をしないようにしていました(笑)。でもおいしいご飯屋さんの話をしている時は、場所を聞きました」

――森愁斗さんと共演してみていかがでしたか。

田中 「私と森さんの役柄は、森さんのファンに怒られるのではという関係なので戸惑いましたが、森さんもノリノリで演じてくださり、とてもスムーズにお芝居をすることができました。森さんの役は見ていると愛されるキャラだなとも思っています」

飯島 「工藤も結構クレイジーなキャラクターだよね」

田中 「由良と同じくらいすごいキャラだと思います」

飯島 「僕と森さんは直接2人でやりとりするシーンはあまりないのですが、撮影が一緒になった時に話をしてみたら、まさに程よい感じの雰囲気が出ていて、この役は森さんがやるからこそしっくりくるんだなと感じました」

――現場で印象的だった出来事がありましたら教えてください。

田中 「由良が舞先生に対して『泥棒猫!』と言うセリフがあるのですが、間違えて『いたずら猫!』と言ってしまいました(笑)」

飯島 「作品の雰囲気とは違い、現場では皆さん和気あいあいと明るい感じでおしゃべりしていました。あとは、謎に宇垣さんとずっとカバディをしていました(笑)」

田中 「どういう経緯でカバディになったんですか(笑)」

飯島 「なぜこうなったかというと、舞が陽介を止めるシーンが結構あるんです。宇垣さんが僕を止めにかかってきた時に僕がよけていったらカバディが始まってしまい、そこからそういうシーンごとに2人でカバディをやっていました」

――本作は殺伐した作風ですが、皆さん明るい雰囲気で撮影されていたのですね。

飯島 「重たい感情を持つシーンが多いので、リラックスできるところはリラックスして静かに現場を作っていきました」

――本作を通して、田中さんにとって前園由良という人はどんな人であり、どんな存在になりましたか。

田中 「私にとっての由良ちゃんはすごく繊細な女の子です。繊細だからこそいろいろ考え過ぎて、ああいう感じになってしまったのかなと。だから『私だけは由良を愛そう!』と常に思いながら演じました」

――飯島さんはいかがでしょうか。相沢陽介という人はどんな人であり、どんな存在になりましたか。

飯島 「多くの人には彼の良さが理解しづらいキャラクターですが、僕にとっての陽介は正直でいい人です。彼の環境や背負っている責任を考えながら演じていて『純粋な人だ』と感じました。その良さを意識して、そして何よりも陽介の生き方を尊重しながら彼を演じさせていただきました」

――最後に視聴者の皆さまへメッセージをお願いいたします!

田中 「とても良い作品になったと思っています。皆さんで頑張って作り上げたので、より多くの方々にお届けし、たくさんの方々の心を動かせる作品になれたらうれしいです。私も放送を楽しみにしています」

飯島 「かなり刺激的な作品になっています。いろいろな方が夢中になれると思うので、ぜひこの深夜の時間帯にお楽しみいただきたいです。そして、多くの方に本作の魅力が伝わったらいいなと、スタッフ一丸となって撮影に挑みました。ぜひご覧ください」

――ありがとうございました! お二人のキャラクターへの愛と、お芝居への情熱がとても伝わりました。放送を楽しみにしています。

【プロフィール】

田中美久(たなか みく)
2001年9月12日生まれ。熊本県出身。B型。05年の「蝉しぐれ」で映画初出演。11歳の時にHKT48に3期生として加入し、約10年間にわたってグループのエースを務め、23年12月に卒業。主な代表作に主演映画「ママのふるさと」(21年)、主演映画「ホラーちゃんねる 樹海」(22年)、「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(日本テレビ系)、「あざとくて何が悪いの?」(テレビ朝日系)、「拝啓、大人になる貴方へ」(Hulu)などがある。また、熊本市親善大使を務めるなど、多岐にわたって活躍中。


飯島寛騎(いいじま ひろき)
1996年8月16日生まれ。北海道出身。B型。2015年の「第28回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリを受賞。「仮面ライダーエグゼイド」(テレビ朝日系)で初主演を務め、俳優デビュー。主な出演作は、「オカルトの森へようこそ」(WOWOW)、「最終列車で始まる恋」(メ~テレ)、「僕らの食卓」(BS-TBS)、「賭けからはじまるサヨナラの恋」(U-NEXT)、「弁当屋さんのおもてなし」(HTB)などがある。

【番組情報】

__ドラマ特区「シンデレラ・コンプレックス」
__2月29日スタート
MBS 木曜 深夜0:59~1:29
TVK 木曜 午後11:30~深夜0:00
※地域によって放送日時は異なります
※MBS放送後、TVerにて1週間無料見逃し配信、FODにて見放題独占配信

取材・文/山本恵代(TBS・MBS担当) 撮影/尾崎篤志
(田中)スタイリスト/大山諒子 ヘアメーク/澤田果歩(GiGGLE)
(飯島)スタイリスト/中西ナオ
イヤーカフ¥5,940、ネックレス¥19,800(ともにナラティブ・プラトゥーン/ロール 03−6380−4836)、その他/スタイリスト私物

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