中国の南極観測隊、「麒麟氷底湖」の掘削に向け実地調査

中国の南極観測隊、「麒麟氷底湖」の掘削に向け実地調査

 【新華社上海2月29日】中国の自然資源部中国極地研究センターはこのほど、現在進行中の第40次南極観測で内陸調査隊員が氷底湖を掘削するための実地調査に成功したと明らかにした。

 同センター極地氷雪・気候変化研究所の姜蘇(きょう・そ)研究員によると、氷底湖は南極大陸の東部プリンセス・エリザベス・ランドに位置し、中国の南極泰山基地から120キロ離れた氷床の下3600メートル以上の深さに埋もれている。中国は2022年、キリンが静かに横たわったような形をしていることから氷底湖を「麒麟氷底湖」と命名、すでに南極研究科学委員会(SCAR)により登録された。

 中国は2015年以降、極地用固定翼機「雪鷹601」を利用してプリンセス・エリザベス・ランドの航空測量を数回実施しており、収集した航空地球物理データをインバージョン解析することで、麒麟氷底湖の3次元構造を暫定的に導き出した。湖の長さは42キロ、面積は370平方キロ、最大水深は200メートル、堆積物の厚さは最大300メートル以上と推定される。

 第40次南極観測隊の活動期間中、内陸調査隊員は中国の高解像度衛星リモートセンシング画像から選定した湖エリアへ安全に出入りできるルートに基づいて現地探査を実施。麒麟氷底湖エリアへの進入に初めて成功し、氷底湖の掘削孔の位置選定に関する多くの調査を実施した。

 姜氏は「麒麟氷底湖は南極で既に発見されている埋没湖のうち2番目に大きく、東南極内陸の氷床が安定した地域に位置している。少なくとも300万年以上の間、外界から隔絶されて発達した歴史を持つことから、氷底湖と氷床下の生命体の探査に理想的な研究対象といえる」と語った。(記者/張建松、孫青)

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