【退職金2000万円】国家公務員は一生安泰?会社員の退職金との差は

会社員は企業規模による差が浮き彫りに

公務員は年度末に一斉に定年退職を迎えるため、この時期は退職金が気になる方が増える時期です。

国家公務員は退職金が2000万円以上もらえて、老後も安泰というイメージを持つ方も多いもの。

しかし、実際のところはどうなのでしょうか。今回は、定年まで勤め上げた場合の公務員の退職金について紹介していきます。

公務員の退職金事情を中心に、民間企業の会社員の退職金事情についても詳しく見ていきましょう。

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「国家公務員」と「地方公務員」のちがい

公務員とは、国や自治体に勤務し、営利を目的とせず社会作りを仕事としている人を指します。

また、公務員は「国家公務員」と「地方公務員」に区分されています。

【国家公務員と地方公務員の職種と職員数】

  • 国家公務員(59万人):自衛官、裁判官、検察官、国会議員、大使など
  • 地方公務員(280万3000人):教員、役場職員、警察官、消防官、自治体議員など

上記のとおり、ひとくちに「公務員」といっても国家公務員と地方公務員では職種が異なります。

また、地方公務員の場合は、都道府県や市町村によって給与水準や退職金がそれぞれ異なります。

結局、国家公務員は定年退職金をいくらもらってるの?

ここでは国家公務員の退職金について紹介していきます。

内閣官房の退職金に関する調査によると、退職理由が「定年」の国家公務員の退職金は下記のとおりです。

国家公務員の退職金(定年退職)

【退職理由が「定年」の国家公務員の受給者数と平均支給額】

《常勤職員》

  • 受給者数:1万4283人
  • 平均支給額:2112万2000円

《うち、行政職俸給表(一)適用者》

  • 受給者数:4086人
  • 平均支給額:2111万4000円

常勤職員、行政職俸給表(一)適用者ともに、平均支給額が2000万円以上であることから、国家公務員の退職時の退職金は2000万円を超えるケースが多いと考えてよいでしょう。

国家公務員の定年退職金は勤続年数に応じて増える

国家公務員の定年退職金は、勤続年数が長ければ長いほど上昇していきます。

内閣官房の退職金に関する調査では、勤続年数別の退職手当平均支給額は下記のようになりました。

【常勤職員の場合】

勤続年数:平均支給額

  • 5年未満:157万2000円
  • 5年~9年:413万9000円
  • 10年~14年:694万2000円
  • 15年~19年:1139万1000円
  • 20年~24年:1221万1000円
  • 25年~29年:1617万6000円
  • 30年~34年:1975万8000円
  • 35年~39年:2299万9000円
  • 40年以上:2235万円

上記のとおり、勤続年数が長いほど退職金額が増加していきます。

勤続35年以上で定年退職を迎えると2000万円以上の退職金が支給される可能性が高くなると考えられます。

会社員の定年退職金は企業規模に左右される

ここからは、大企業や中小企業勤務の会社員の定年退職金について確認していきます。

中央労働委員会の調査データによると、資本金5億以上かつ労働人材が1000人以上の企業のモデル退職金は、大学卒・高校卒それぞれ下記の結果となりました。

【会社員の定年退職金】

  • 大学卒:2563万9000円
  • 高校卒:1971万2000円

一方で、東京都産業労働局の調査データによると、企業規模が300人未満の企業の定年退職金は下記の結果となりました。

【企業規模別:会社員の定年退職金】

《企業規模10~49人》

  • 大学卒:979万3000円
  • 高校卒:880万3000円

《企業規模50~99人》

  • 大学卒:1141万8000円
  • 高校卒:1065万9000円

《企業規模100~299人》

  • 大学卒:1323万
  • 高校卒:1204万5000円

中央労働委員会や東京都産業労働局の調査データから、会社員の定年退職金は企業規模に左右され、企業規模が大きいほど退職金が高いことがわかります。

まとめにかえて

今回は公務員の退職金事情を中心に、民間企業に勤める会社員の退職金事情についても解説してきました。

先述したデータのとおり、公務員に限らず大企業の会社員の場合は、定年まで長く勤めることで、退職金として2000万円以上のお金を受け取れる可能性が高くなります。

一方、中小企業の場合は学歴などの要因で退職金額に差が生まれることや、そもそも企業自体が退職金制度を導入していないということもあります。

また、中小企業の場合は公務員や大企業に比べて退職金の金額が低い傾向にあり、これだけを見ると公務員や大企業勤務は「一生安泰」かのように思えます。

しかし、現在は退職金の金額も減少傾向にあり、公務員や大企業勤務でも安心できる環境とは言い難くなってきています。

今後は、退職金や年金以外の老後資金の備えが必要不可欠となることが予想されます。

現役世代のうちから、NISAやiDeCoなどの制度を活用して老後の資産形成の準備を始めるのも有効でしょう。

参考資料

  • 人事院「国家公務員の数と種類」
  • 内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」
  • 東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」
  • 厚生労働省 中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査」
  • 厚生労働省「退職給付(一時金・年金)の支給実態 」

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