横浜市の「お悔やみ窓口」開設1カ月 利用した市民「助かった」

手続きを案内する「お悔やみ窓口」の担当者(右)=2月27日、瀬谷区役所

 親族を亡くした時の行政手続きを支援する横浜市の「お悔やみ窓口」は開設から1カ月が経過した。これまで瀬谷・鶴見のモデル区で約30人が利用。予約時に必要な手続きを抽出し、事前に申請書類などを用意することで遺族の負担軽減につながっている。実際に窓口を利用した市民からは「助かった」と安堵(あんど)の声が上がった。

 「丸が付いている所が今日の手続きです。これだけで終わりますのでご安心ください」。27日、瀬谷区役所。亡くなった父親の手続きで来庁した男性(64)を前に担当者が一覧表を示す。後期高齢者医療制度の資格喪失の届け出や葬祭費の補助申請書など、男性に事前に聞き取った情報を基に必要書類はすでに用意。持ち物も事前に連絡するため、不足の資料を自宅などに取りに帰る必要もない。

 複数の書類作成を経て手続きが終了したのは、わずか15分後。後は受け取ったファイルを手に、各課の窓口で書類や保険証などを提出・返却すれば完了する。業務を受託する「鎌倉新書」(東京都)によると、お悔やみ窓口での所要時間は平均20~30分という。

 男性は2年前に母親の手続きも経験。その際は区役所で半日過ごしたといい、「1度では終わらず、2~3度来庁した覚えがある。窓口を利用してすごく助かった」と安心した様子だった。

 親族が亡くなった際の行政手続きは、戸籍課や保険年金課、高齢・障害支援課など複数課にまたがる。遺族は該当する窓口を一つ一つ回り、毎回同じ話を切り出す。故人が受けていた行政サービスを把握していない場合は必要な手続きや持ち物が分からないケースもあり、さらに重い負担がのしかかる。

 大切な人を亡くし、落ち込んでいる時に慣れない手続きを行う遺族に寄り添おうと、2017年から全国各地で窓口設置が始まった。県内でも横須賀市や鎌倉市などで設置している。

 横浜市も1月末から2区でのモデル実施に踏み切った。さらなる負担軽減に向け、現在の窓口の機能拡充も検討するとしている。利用できるのは2区に住民登録があった人の遺族。平日の1日4組限定で、事前予約が必要。市は24年度まで実証を行い、25年度からの全区展開を目指している。

© 株式会社神奈川新聞社