『運び屋』BSテレ東オリジナル吹替版で放送 伊武雅刀がクリント・イーストウッド役に

クリント・イーストウッド監督作『運び屋』が、3月4日19時よりBSテレ東の「シネマクラッシュ」枠にてオリジナル吹替版で放送される。

本作は、イーストウッドが『グラン・トリノ』以来10年ぶりに監督・主演を務めた、実話をもとにしたサスペンス。巨大な麻薬組織で、巨額のドラッグを運ぶ“伝説の運び屋”となった老人の姿を描く。

90歳になろうとするアール・ストーンは金もなく、ないがしろにした家族からも見放され、孤独な日々を送っていた。ある日、男から「車の運転さえすれば金をやる」と話を持ちかけられる。なんなく仕事をこなすが、それはメキシコ犯罪組織によるドラッグの運び屋。気ままな安全運転で大量のドラッグを運び出すが、麻薬取締局の捜査官の手が迫っていた……。

今回の放送では、豪華声優陣による吹き替え新録が実現。イーストウッドが演じた主人公の声を伊武雅刀が担当したほか、ラッドリー・クーパー演じるベイツ捜査官役に田村真、ローレンス・フィッシュバーン演じる主任捜査官役に玄田哲章、ダイアン・ウィースト演じるメアリー役に大西多摩恵、アリソン・イーストウッド演じるアイリス役に三石琴乃、アンディ・ガルシア演じるラトン役に安原義人が名を連ねた。

伊武、田村、玄田、大西からはコメントも到着した。

【コメント】
●伊武雅刀(クリント・イーストウッド/アール・ストーン役)
クリント・イーストウッドの役を演じることは光栄です。今回の『運び屋』の彼は年齢を召した、いい感じを出しています。それをどう表現するかが難しいところでした。洋画実写の吹き替えは何十年ぶりの仕事なんで、自信満々でやっているわけではないけれど、頑張って演じました。ある意味ドラマをやるより大変な部分もありましたね。昔やっていた頃とはまた違った感覚でやれたと思います。
イーストウッドは偉大な人ですから。昔から好きなんです監督としても。今回の『運び屋』という映画はイーストウッド88歳の時の作品ですが、彼を最初に見たのは「ローハイド」というテレビドラマで小学生の時。いまだに現役というのは本当にすごいと思います。そして歳をとっても「これが撮りたい」ってテーマが次々見つけられる。世の中に対する好奇心がすごいよね。
イーストウッドの映画に外れなし!本当に面白い作品です。是非ご堪能ください!

●田村真(ブラッドリー・クーパー/ベイツ捜査官役)
何と! 「テレビ吹き替え」の新録で、しかも自分が吹き替えるのは、数々の先輩声優が担当されてきたあのブラッドリー・クーパーですから、台本の香盤表をニコニコしながら何度眺めたことでしょう。収録では玄田哲章さんと台詞を交わすことも出来ました。子供の頃から聞いていたあのお声が、空気をビリビリと振動させて直接自分の耳に届くんですから、これはたまらない瞬間でした。
素晴らしい吹き替え版が完成していることと思います。是非ご期待ください。さて自分は録画予約で永久保存版の準備、と。

●玄田哲章(ローレンス・フィッシュバーン/主任捜査官役)
麻薬の運び屋なんて、普通の人間にはありえないシチュエーションに巻き込まれながら、
でも、自分らしく生きていく男の生きざまがカッコイイです。
イーストウッドって、こういう役でも自然体で魅力的だなあと思いました。
派手ではないけれど、じわーっと心に残る作品だと思います。
根底にある「家族愛」を全身で感じてもらえると嬉しいです。

●大西多摩恵(ダイアン・ウィースト/メアリー役)
メアリー役のダイアン・ウィーストは素敵すぎる女優!
元夫のアールから「今夜は綺麗だよ」と言われた時の、少女のような戸惑いと、彼女が息を引き取るシーンは、老境に至った元夫婦が、こんなにも色っぽく、愛に溢れているのかと、クラクラしました。
この作品に関われて、すごく幸せです。
スタジオに入ったら、プロデューサーからピーカンナッツのプレゼント!「うーん美味しい!」
劇中に登場するピーカンパイにちなんでの差し入れでした。さて何処で登場するでしょうか? お楽しみに!

●番組プロデューサー・久保一郎(テレビ東京 映画部)
BSテレ東「シネマクラッシュ」では2016年の秋から約2年半にわたり、クリント・イーストウッドの偉大な作品群を一挙放送する企画〈イーストウッド無双!〉をお送りしました。番組はご好評を頂きましたが、担当者としての心残りは、BSテレ東オリジナル吹き替え版を1本も制作できなかったこと。もちろん、洋画番組ファンに愛された往年の名吹き替えがあったからこそなのですが、イーストウッド御大は93歳の今も元気に新作を撮り続けているのに、いわゆる“テレビ吹き替え”は(『ハドソン川の奇跡』のザ・シネマ版を除けば)『ミリオンダラー・ベイビー』を最後に制作されていません。『運び屋』もしかり。これはもったいない!ということで、遂に吹き替え新録に踏み切った次第です。
でもイーストウッドの声と言えばこの人、だった山田康雄さんが亡くなってから、その後を継いだ野沢那智さん、小林清志さん、瑳川哲朗さんといった皆さんも次々と鬼籍に入られてしまい・・・今この役をお願いするなら誰?と悩んだ結果、憧れのダンディボイス(テレ東的には「空から日本を見てみよう」の“くもじい”でもあります)伊武雅刀さんが大役を引き受けてくださいました。イーストウッドを巡る面々の声も、ゴージャスな声優陣が結集。奇跡の快作『運び屋』を、これぞ洋画番組!な気合いのテレビ吹き替えでお楽しみください。

(文=リアルサウンド編集部)

© 株式会社blueprint