中国西南地域で新たにホアビン文化遺跡9カ所を発見

中国西南地域で新たにホアビン文化遺跡9カ所を発見

 雲南省臨滄市永徳県の大岩房旧石器遺跡で見つかった、ホアビン文化の石製品群。(資料写真、昆明=新華社配信)

 【新華社昆明3月1日】中国の雲南省文物考古研究所はこのほど、中国の研究者が「ホアビン文化」の遺跡を9カ所発見し、関連の研究成果が国際学術誌「アンソロポロジー」に掲載されたと明らかにした。

 研究成果は湖北省の武漢大学歴史学院、中国科学院昆明動物研究所などと共同で発表した。論文の筆頭著者である同考古研究所の呉澐(ご・うん)所員によると、中国国内で正式な発表を経たホアビン文化遺跡は、今回の9カ所を加えて13カ所に増えた。

 ホアビン文化は東南アジア大陸と周辺地域における後期更新世末から完新世中期(今から約4万5千~4千年前)の代表的な石器文化で、現代人が熱帯雨林の環境に適応して形成された特徴的な遺跡であるとともに、有史以前の東南アジア考古研究における核心的かつ最先端の課題の一つとされている。

中国西南地域で新たにホアビン文化遺跡9カ所を発見

 雲南省西双版納(シーサンパンナ)ダイ族自治州景洪市の「娜咪囡洞穴遺跡」で見つかった、ホアビン文化の石製品群。(資料写真、昆明=新華社配信)

 中国の西南地域は1世紀近くにわたるホアビン文化の研究の中で関連する発見がなかったため、一度は研究対象から除外されたが、同考古研究所の吉学平(きつ・がくへい)元研究員率いる研究チームが2015年に雲南省で初めてホアビン文化遺跡「滄源硝洞」を発見し、世界の学術界に注目されるようになった。滄源硝洞は現在分かっている限りでアジア最古のホアビン文化遺跡とされる。

 研究チームは同省南西部の国境地域で発掘調査や研究作業を続け、複数の遺跡で打製石器を多数採集。ホアビン文化の石製品の特徴を持つ石器群について初歩的な研究を行い、ホアビン文化遺跡の地理的分布の法則や人々の移動、適応戦略について考察した。

 研究の結果、ホアビン文化遺跡は基本的に熱帯雨林環境下にあり、北は北回帰線付近、南は赤道付近にまで分布することが明らかになった。既知のホアビン文化の地理分布を見ると、遺跡は主に東南アジア大陸北側の同省を経由する国際的な河川3本の渓谷地帯に集中している。ホアビン文化の人々が移動に際して渓谷の利便性を利用し、河川が古代人に生産活動や生活に必要な水資源や道具の材料、食料資源などをもたらしていた可能性を表している。

 武漢大学歴史学院の周玉端(しゅう・ぎょくたん)副教授は、中国のホアビン文化研究にはやるべき作業が山積していると説明。今後は典型的なホアビン文化遺跡の総合的かつ体系的な研究を進めるだけでなく、ホアビン文化の源流や他の人類集団・文化との関係についても探求していく必要があると述べた。(記者/厳勇)

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