BYDが2024年に向けてアップデート戦略を発表。まずはATTO3の進化を体感するところから始めよう

BYD Auto Japanは2024年3月1日、2024年の日本市場における商品およびマーケティングの戦略について、報道陣向けの発表会を行いました。プロダクト/体験機会/コミュニケーションという3つの要素をアップデートすることで、さらなるビジネスの拡大を目指します。

新型車種を毎年、継続的に導入

BYD Auto Japanによる「2024年戦略発表会」の冒頭、劉 学亮氏(BYDアジア太平洋地域自動車販売事業部 総経理/BYD Japan代表取締役社長)は挨拶の中で、もっとグリーンな未来を実現するために、最新のテクノロジーで貢献し続けていくことを強調しました。

ハイパフォーマンスが期待できるSEALの日本導入は、2024年年央と発表された。

70超の国と地域におけるBYDの実績を見ると、2023年の電気自動車(BEV+PHEV)販売台数は302万台に達し、2024年2月までの累計は650万台を記録。

BYDの試算によれば、販売した新エネルギー車の走行距離は月まで20万回往復した距離に匹敵するといいます。それによって削減されたCO2は46億2300万トン。これは、植樹による活動に換算すると7億7000万本に当たります。

日本国内では、2022年に電動SUV「ATTO 3(アットスリー)」を発売、2023年にはコンパクトモデル「DOLPHINE(ドルフィン)」をラインナップに加え、2023年12月までの累計で1446台を販売しました。受注実績では、累計で2000台を超えています。

当初は、準備室も含めて20カ所だった販売拠点は、51拠点まで増えています。2024年3月2日にはBYD AUTO練馬店が22店舗めの正規ディーラーとして、グランドオープンしました。

劉社長に続いて壇上に上がったBYD Auto Japan株式会社 代表取締役社長 東福寺厚樹氏は、2024年を「日本におけるBYDのビジネスをさらに加速する1年とする」と説明。さらに新型車種を毎年1車種以上、継続的に導入することを明らかにしました。

ATTO3のハード/ソフトをバージョンアップ

2024年、戦略のコアとして提示されたのは3つの「アップデート」です。BYD Auto Japan株式会社 マーケティング部 部長 遠藤友昭氏は、まずはじめに「プロダクトのアップデート」として、日本でも人気のe-SUV ATTO 3の年次モデルを発表しました。

新色のコスモスブラック。テールゲートのロゴを変更、Dピラープレートをブラックに変更している。

ボディカラーと内装色に新色を追加するとともに、テールゲートのロゴ変更など、細部で手が加えられています。とくにインテリアで注目したいのが、インパネセンターに配置されたディスプレイサイズの拡大。従来の12.8インチから一気に15.6インチに拡大されました。

音声認識内容や、Sportifyとアンビエントライトとの連動といったソフトウェアの機能追加も、同時に実施。こちらのサービスは、すでに販売されているATTO3に対しても、OTA(On The Air:無線通信による更新)で提供される予定になっています。

大型ディスプレイは従来どおり、縦配置にも対応。操作のしやすさはもちろん、ナビゲーションの「視界」も広がりそうだ。

さらに年央には、かねてから期待のハイエンド新型セダン「Seal(シール)」の市場導入も決定。型式認定に手間取ったためにドルフィンの登録が計画よりも遅れ気味になっているそうですが、その問題も同時期には解決する、とのこと。

来年以降も、日本のライフスタイルにマッチする「こういうのがあったらいいな」的モデルの導入が計画されていることから、一気に、「BYD」は街中での存在感を増していくことになりそうです。

ヒップホップのリズムにのったCM展開をスタート

マーケティング戦略に関してはまず、展示・試乗といった「見て、触って、乗ってもらう」ための機会を増やす「体験機会のアップデート」を追求。具体的には日本全国約30カ所で「Hello!BYD Caravan」を実施します。その第一弾として、3月9-10日の2日間、代官山T-SITEが開催されます。

ドルフィンは、AUTOBESTが主催する権威あるカーアウォード「Best Buy Car of Europe 2024」に選出されている。

潜在ユーザーに対するアピールとして「コミュニケーションのアップデート」にも取り組みます。

たとえば3月半ばからは、2種類のテレビCMを展開。EVのニュースタンダードであることをアピールするバージョンでは、ヒップホップアーティスト KREVA(クレバ)の楽曲「Expert」とコラボ。4月からは有名タレントやインフルエンサーとともに、ブランドコミュニケーションを展開するそうです。

欧州向けにはPHEVの導入も明らかにしているBYDですが、日本市場向けにはBEVオンリーという体制を堅持。安心感の高い認定中古車のシステムも少しずつ進めていくなど、日本市場におけるBEV普及に向けての多面的な取り組みが、さらに進むことになりそうです。

新たに設定されたブラック/ダークブルーの内装色。

BYD ATTO 3 グレードアップのポイント

●ハードウェア
外装色コスモスブラック追加/内装色ブラック&ダークブルー追加/ウインドウトリムとDピラープレートをブラックに変更/テールゲートのロゴ変更/サンシェードの厚み変更/大型タッチスクリーン変更(12.8インチ→15.6インチ)
●ソフトウェア
デイライトOFF機能を追加/音声認識内容を追加/近接警報音の変更/ナビ案内音量の変更/盗難防止警報音の追加/Sportifyとアンビエントライトの連動/アプリの追加が可能

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