「いつもそばにいる存在だった…」 まちぐゎーのアイドル猫「たけし」 写真展で生前しのぶ 沖縄・那覇市

 【那覇】「まちぐゎーで生きたさくら猫 オレ、たけし写真展」が2月23、24の両日、那覇市牧志の雑貨店「那覇ブロードウェイ」で開かれた。“マチグヮー(市場)のアイドル猫”として親しまれ、猫白血病を発症して推定7歳で死んだ雄猫「たけし」の写真約50点が展示され、訪れた人が生前をしのんだ。マチグヮーで働く人たちが「猫との関わり方を考えるきっかけにしてほしい」と企画した。(社会部・吉田伸)

 動物愛護活動に携わり、市場で働く畑井モト子さん(44)と市場の仲間が企画した。

 畑井さんによると、たけしは約5年前から那覇市第一牧志公設市場周辺で見かけるようになった。「人なつっこい子で、自然にマチグヮーになじんでいた。気が付いたらどこにでもいた」と目を細める。

 市場で働く人が地域猫を保護するTNR活動を行い、不妊去勢手術をして耳に目印を入れた「さくら猫」となった。

 市場がリニューアルオープンした昨年3月19日、弱っているたけしを畑井さんたちが保護。動物病院を受診し、市場の仲間と交互に看病したが、5月に死んだ。

 その後、インスタグラムの交流サイト(SNS)で呼びかけたところ、県内外の15人以上から100枚近いたけしの写真が送られてきた。

 思わぬ反響があったことから、1周忌を前に市場の仲間で写真展の開催を決めた。

 写真には商店街を闊歩(かっぽ)したり、店先や原付きバイクの上でたたずんだり、さまざまな表情のたけしが収められている。

 実家の食器店が同公設市場前にある千葉麻記子さん(45)は、家族3人で写真展を訪れた。たけしはほぼ毎日、店に来ていたと振り返り「いつもそばにいる存在だった」と写真に見入った。

 畑井さんは「たけしは皆にみとられた特別な野良猫。そうではないネコがたくさんいて、現実は過酷だ。写真展を通して、野良猫との関わり方を考えてほしい」と呼びかけた。

「たけし」の写真展を通して「人も猫も暮らしやすいまちを考えてほしい」と話す畑井モト子さん=2月24日、那覇市牧志・八軒通り

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