『鬼滅の刃』『怪獣8号』など大作や注目のオリジナルアニメも 豪華すぎる春アニメを紹介

今年も豪華なラインナップを誇る春アニメ。人気アニメの新シリーズが待機していたり、話題の原作がアニメ化したりと、忙しくなりそうな予感である。そこで今回は、中でも見逃したくない期待の5作品を紹介する。

①『鬼滅の刃』柱稽古編

いよいよ新シリーズ「柱稽古編」が始まる『鬼滅の刃』。本シリーズの第1話は、先行して『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』で上映されており、国内では初登場1位、国外でも全米映画ランキングで初登場2位という好成績を収め、盛り上がりを見せている。前シリーズ「刀鍛冶の里編」で太陽を克服した禰豆子は、鬼舞辻無惨にとって絶対に手に入れたい存在となった。来たる無惨との対決のため、鬼殺隊が鬼殺隊の中でも最上位の実力を持つ「柱」たちから稽古を受けるところから「柱稽古編」は始まる。

見どころは、もちろん柱たちの活躍だろう。音柱・宇髄天元や、恋柱・甘露寺蜜璃、霞柱・時透無一郎など、過去シリーズで炭治郎たちと共に鬼と戦った柱はもちろん、風柱・不死川実弥や、岩柱・悲鳴嶼行冥といったこれまで作品にあまり登場してこなかった柱も活躍する。

その第1話では、稽古の様子から柱の強さを見ることができた。初披露となる“呼吸”も描かれており、その描写の美しさからは、これまで数々の“神作画”で観客を驚かせてきたufotableの素晴らしい手腕が伺える。クライマックスへと繋がる、柱と鬼殺隊の最初で最後の稽古期間を描いた「柱稽古編」はキャラクターたちの個性が光るシリーズとなるだろう。

②『怪獣8号』

『少年ジャンプ+』(集英社) にて連載中の、松本直也による『怪獣8号』がいよいよアニメーション化される。コミックス累計発行部数は1000万部を突破し、「次にくるマンガ大賞2021」のWebマンガ部門1位や「このマンガがすごい!2022」オトコ編 第3位などに選出された大注目の作品である。怪獣発生率が世界屈指の日本を舞台に、かつて防衛隊員を目指していたが、今は怪獣専門清掃業者で働く日比野カフカが主人公の本作。ある日謎の生物によって身体が怪獣化してしまうカフカだが、正体を隠しながらも夢を追いかけていく。

アニメがヒットするか否かを大きく左右するのは、間違いなく怪獣のアニメーションのクオリティだろう。怪獣が人々にとっての敵であり、絶対に討ち取らなければならない手強い相手として映らなければ、本作の面白みも半減するからだ。

怪獣デザインを務めたのは、『シン・ゴジラ』のゴジライメージデザインを担当した前田真宏。そして怪獣デザイン&ワークスを『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズのスタジオカラー、そしてアニメーション制作を『攻殻機動隊』シリーズのProduction I.Gが担当する。この豪華な布陣であれば、怪獣と防衛隊員たちのバトルシーンがより迫力ある画で描かれるだろう。そして『機動戦士ガンダム 水星の魔女』シリーズのシリーズ構成・脚本を担当した大河内一楼がどのように作品を展開していくのかにも注目したい。

③『アストロノオト』

『こちら葛飾区亀有公園前派出所』や『銀魂』の監督を務めた高松信司が総監督を、『ダンジョン飯』などのシリーズ構成を務めたうえのきみこがシリーズ構成を担当するオリジナルTVアニメ『アストロノオト』。朝食付きのアパート"あすトろ荘"で料理人としてやってきた宮坂拓己は、大家さんである豪徳寺ミラに一目惚れ。だが実は、ミラの正体は宇宙人で……? 癖のある住人たちと織り成す“SFアパートラブコメディ”を描いた本作。

一番の注目ポイントは、この一筋縄ではいかなそうなラブコメの世界にピッタリとマッチする、キャラクターデザイン。大ヒット漫画『ツルモク独身寮』(小学館)を手掛け、日清食品カップヌードルTVCM「HUNGRY DAYSシリーズ ~ONEPIECE篇~」、YOASOBI 「大正浪漫」MVのキャラクターデザインで反響を呼んだ、人気漫画家の窪之内英策がキャラクターデザイン原案を務めたことで、人間も宇宙人も違和感なく溶け込むかわいらしい世界観が誕生した。

またテレコム・アニメーションフィルムによるアニメーションでは、拓己が手掛ける朝ごはんを笑顔で頬張るミラたちの描写も、観ているこちらがお腹が空くほど美味しそうに描かれている。風変わりだがそこも癖になる“あすトろ荘”の住人たちの暮らしにどっぷりとハマること間違いなし。

④『ザ・ファブル』

2017年度講談社漫画賞の一般部門を受賞し、コミックス累計発行部数2,400万部を突破した南勝久による漫画『ザ・ファブル』(講談社)。すでに2019年と2021年の二度にわたって岡田准一主演で実写映画化されている人気作品が、満を持してアニメーション化される。

どんな相手も6秒以内に仕留める、伝説の殺し屋“ファブル”は、育ての親であるボスから、1年間殺し屋を休業して普通の人間として生活するよう命じられる。誰かを殺したらボスによって処分されるといった厳しい条件の中で、「佐藤アキラ」という偽名と、相棒ヨウコと兄妹という設定を与えられ、大阪で“普通”の生活に苦戦する様子を描いた本作。

注目なのは、漫画でも実写でもない、アニメーションならではの描かれ方である。アニメーション制作を担当するのは、これまで『火の鳥』や『ブラック・ジャック』などの手塚治虫原作から『五等分の花嫁』といった人気原作まで、幅広く手掛けてきた手塚プロダクション。たった数コマで決着がついてしまう緊張感溢れるシリアスな場面や、思わず笑ってしまう会話を描いた漫画を、どのようにアニメーションで見せるのだろうか。

⑤『花野井くんと恋の病』

2021年度講談社漫画賞の少女部門を受賞した、少女向け漫画誌『月刊デザート』(講談社)にて連載中の、森野萌による『花野井くんと恋の病』がついにアニメーション化される。本作は、恋愛とは縁のない人生を送ってきた高校生・日生ほたると、ほたるの前では優しいが、謎が多いイケメン・花野井くんを描いたラブコメディ。

アニメ化において特筆したいのは、それぞれのキャラクターにピッタリのキャスティングだ。誰にでも優しいピュアな女の子でありつつ、しっかりと自分の芯を持ち時に強さも見せるほたる役は、柔らかさと強さを兼ね備えた声を持つ花澤香菜が担当。そして、完璧に見えて完璧でない、異常な独占欲を見せるほどほたるのことが好きな花野井くんは、落ち着いたあたたかみのある声で小林千晃が演じる。恥ずかしがることなくストレートに想いを伝える花野井くんと、徐々に応じていくほたるの様子は、小林と花澤の掛け合いによってよりキュンキュンする描写となるだろう。

さらに、OP楽曲は、Sexy Zoneによる「君のせい」。

2024年3月をもってSexy Zoneとしての活動に区切りがつく彼らにとって、最後のアニメ主題歌となる。切ないメロディに切実な想いを歌詞に乗せたラブソングに注目だ。

以上、大人気漫画原作の作品からオリジナル作品まで、期待が高まる春アニメの5作品をピックアップしてみた。他にも、『僕のヒーローアカデミア』第7期や『転生したらスライムだった件』第3期など人気作品の新シリーズが盛りだくさん。今年の春もアニメで泣いて笑って、忙しい日々を過ごしたい。
(文=きどみ)

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