「なし崩し的に実施され、断じて容認できない」 嘉手納町議会、常態化する米軍のパラシュート訓練に抗議

 沖縄県の嘉手納町議会(仲村渠兼栄議長)は5日の3月定例会本会議で、米空軍嘉手納基地で常態化するパラシュート降下訓練と米軍機の騒音激化に抗議する意見書案と決議案を全議員の発議で可決した。降下訓練と騒音問題で全議員が発議者となり、意見書案と決議案を可決するのは初めて。

 全議員を代表して當山均基地対策特別委員長は「米軍の傍若無人な基地運用に町民の怒りは頂点に達しつつある」と批判し、「全議員で発議することで、町議会が可決した意見書と決議の重みを町内外に発信したい」と述べた。

 降下訓練は原則として伊江島補助飛行場で実施することになっているが、米軍は「例外的な措置」として12月から3カ月連続で嘉手納基地で降下訓練を実施している。県や周辺自治体は反対している。

 嘉手納基地に常駐するF15戦闘機の退役に伴い、米本国から騒音が激しいF22ステルス戦闘機やF35ステルス戦闘機などが暫定配備された。本格運用を始めた2022年12月以降、基地周辺で騒音が増えている。

 意見書では「なし崩し的に実施される降下訓練は断じて容認できない」と批判。騒音問題には航空機騒音規制措置(騒音防止協定)の順守や外来機飛来の禁止などを求めた。

 嘉手納基地周辺の騒音を巡っては、2023年の航空機騒音回数が前年比9.6%(1万7414回)増の19万6988回に上っている。各測定局で観測された年間の騒音回数は、嘉手納町屋良が2万5429回(前年比13.4%増)で最多となっている。

議員の発議で米軍による米空軍嘉手納基地でのパラシュート降下訓練と米軍機の騒音激化に抗議する意見書、決議を可決する嘉手納町議会=5日、沖縄県嘉手納町・嘉手納町役場議場

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