「チョウのように羽ばたきます」 卒業記念にバス停の待合室に村の生き物描く 「輝いている」と住民や校長が感激

 ツバベニチョウのように羽ばたきます―。沖縄県立辺土名高校(桃原健次校長)環境科を1日に卒業した上原蓬(よもぎ)さん(18)は「卒業記念」として、大宜味村の同校前にある国道58号の名護向けバス停待合室の壁に、ツバベニチョウ(シロチョウ科)の雌雄などを描いた。桃原校長は「待合室がとても明るくなった」と笑顔。学校や地域から喜ばれている。(玉城学通信員)

 上原さんが待合室に絵を描くことになったきっかけは、桃原校長が「落書きを消してほしい」と北部国道事務所に要請し、同事務所が壁をきれいに塗り直したことだった。同校らしい壁画の許可も受け、絵心のある上原さんに白羽の矢が立った。

 待合室は高さ約2メートル、幅約4メートル、奥行き2.5メートル。クリーム色の壁をキャンバスに、最初に描いたのはツバベニチョウの雌雄。上原さんは「大宜味村のチョウなので先に描いた。黒い模様が多いのが雌。4日間で仕上げた」と笑顔。そのほかにもアオミオカタニシ(ヤマタタニシ科)、オキナワイシカワガエル(アカガエル科)、ホントウアカヒゲ(ヒタキ科)、ヤンバルテナガコガネ(コガネムシ科)などを描いた。

 4月から琉球大学農学部亜熱帯地域農学科に進学する上原さんは「この待合室は辺土名高生にとっては大切な場所。この場所らしい生き物と色合いで楽しく描いた。余白を十分に取って後輩が描く空間も残した」と話した。

 同村謝名城区の平良聰区長は「上等な絵を描いている。やはり高校で習った生き物の絵は輝いている」と感激した様子。桃原校長は「3年間の環境科の集大成としての卒業記念の絵になっている。上原さんの絵を見て環境保全の取り組みにつながることになるのではないか」と目を細めた。

「このツバベニチョウのように私も羽ばたきます」と話す上原蓬さん(左)と桃原健次校長=2月28日、大宜味村饒波にあるバス停の待合室
バス停待合室の屋根から降りてくる巨大なヤンバルテナガコガネ

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