遼寧省、新エネ車輸出大幅増 貿易モデル転換進む

遼寧省、新エネ車輸出大幅増 貿易モデル転換進む

遼寧省瀋陽市の国際定期貨物列車「中欧班列」(瀋陽)集結センターで行われた中欧班列の積み込み作業の様子。(7月29日撮影、瀋陽=新華社配信)

 【新華社瀋陽3月5日】中国遼寧省の大連港の自動車埠頭は新年早々多忙を極め、瀋陽市で生産された独BMWの電動スポーツタイプ多目的車(SUV)「iX3」が海外への輸出に向け、次々と大型貨物船に積み込まれていた。

 瀋陽税関所属鉄西税関の符斌(ふ・ひん)氏は「企業のために効率的でスムーズな通関プラットフォームを構築することで、中核部品の輸入から完成車の輸出に至るルートを開設し、電気自動車(EV)産業チェーンの安定した運営を確保した」と説明した。

 税関部門の統計によると、2023年の大連口岸(通関地)の自動車輸出台数は前年比2.4倍の10万2773台に上り、過去最高を記録した。

 遼寧省および省内各市はここ数年、新エネルギーおよび環境保全の産業チェーンに関する取り組みを加速し、産業構造の転換・高度化に向けた政策・文書を相次ぎ発表した。新エネルギー車(NEV)などハイエンド設備製造業を強く大きくし、省エネ・環境保全とクリーンエネルギーなどの産業の発展を加速させ、EVとリチウムイオン電池、太陽電池の「新三様(新たな定番3品目)」の発展に政策面で良好な環境を提供した。

 23年の遼寧の「新三様」輸出額は前年比48.8%増の188億2千万元(1元=約21円)だった。

 遼寧大学東北アジア経済圏研究院の畢徳利(ひつ・とくり)院長は「『新三様』輸出が好調だったのは国際市場で需要が増加したからだけではなく、遼寧の貿易産業の付加価値が高まり、産業チェーンの融合が進んでいることも反映している」と指摘。特にEVの海外での人気が続き、輸出の新たな躍進を力強くけん引したとの見解を示した。

 瀋陽市渾南区では独自動車部品大手ZFフリードリヒスハーフェンの投資総額21億9800万元に上る新エネ車部品産業パークの建設が進められている。

 同プロジェクトの責任者を務める王金凱(おう・きんがい)氏は「完成後は数多くの新エネ車および中核部品メーカーが集まり、整った自動車産業チェーンが構築され、産業クラスターの形成を促している」と述べた。

 BMWも遼寧の新エネ車分野で取り組みを加速している。昨年9月には瀋陽の鉄西工場で電動SUV「iX1」の完成車がラインオフした。同年11月22日には華晨汽車集団との合弁会社、華晨宝馬汽車(華晨BMW)の投資額100億元に上る第6世代車載電池工場がトッピングアウト(上棟)し、主体構造が完成した。

 華晨BMWのフランツ・デッカー社長兼最高経営責任者(CEO)は「瀋陽を新エネ車産業の中心地とし、セルやバッテリー、電力駆動システム、EVをすべて瀋陽で生産することに力を入れている」と語る。

 アパレルや家具、家電からEVへと、モノの貿易構造の変化は遼寧の貿易構造の転換・高度化が持つ力強いエネルギーを反映している。

 遼寧自由貿易試験区大連エリア管理委員会の史立強(し・りっきょう)主任は「好調なEV輸出は遼寧の貿易発展の縮図に過ぎない」とし、経済成長の安定確保に向けた関連措置が効果を発揮する中、遼寧の貿易発展を取り巻く環境が一段と改善し、産業基盤も安定化が進むとの見通しを示した。

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