卒業記念 手作りワイン 常陸太田特別支援校生 2年後「乾杯楽しみ」 地元醸造会社が協力

山口景司社長(左)から3年生代表にワインが手渡された=常陸太田市瑞龍町

茨城県立常陸太田特別支援学校と常陸太田市内のワイン醸造会社が共同栽培したブドウで造られたワインが5日、卒業記念として高等部3年生に贈られた。両者は「ブドウ栽培プロジェクト」と銘打ち、児童生徒が年間を通して栽培に汗を流し、ワインの仕込み作業などに取り組んでいる。生徒たちは20歳になる2年後まで、ワインの開栓を楽しみに待つという。

ワイン造りは2019年にスタート。児童生徒は、同市瑞龍町のワイン醸造会社「常陸コミュニティデザイン」の指導を受けながら、同校に隣接する畑10アールに約120本の苗を植え、生育の様子や畑の状況を見ながら除草や枝切り、袋がけなど年間を通して作業に取り組んできた。収穫したブドウは、これまでも果汁100%ジュースに加工されて児童生徒にプレゼントされたり、高等部生徒の販売実習などに活用されたりしていた。

ワインの仕込み作業が始まったのは昨年9月。高等部3年生23人が同校近くのワイン醸造所「武龍ワイナリー」を訪れ、ブドウの茎と果実を分離。その後、果実だけをまとめて入れた袋を踏む、昔ながらの製法でワイン造りに取り組んできた。

完成したワインは「あしたのわいん」(1本750ミリリットル)と名付けられ、300本の限定生産。この日は同社社長の山口景司さんが同校を訪れ、8日に卒業を迎える高等部3年生のためにワインを寄贈した。贈呈式で山口さんは「皆さんの思いが詰まったワインなので製造にプレッシャーを感じた。20歳になったら大人の証しとして飲んでほしい」と代表生徒に手渡した。

ワイン造りに挑戦した大森叶愛(かなえ)さん(18)は「夏の袋がけは大変だったが、果実をつぶす仕込み作業は楽しかった。20歳になったら開栓し、家族で楽しみたい」と笑顔を見せた。

斎藤正校長は「たくさんの協力とみんなの頑張りで完成したワイン。(20歳を迎える)2年後を楽しみに待ってほしい」と話した。

ワインは卒業式まで同校で保管し、卒業生は保護者と一緒に受け取る予定という。

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