【米大統領選2024】 トランプ氏、「アメリカを取り戻す」と勝利演説 1州で勝利のヘイリー氏側は「栄誉」と声明

ドナルド・トランプ前米大統領は5日夜、大統領選挙の共和党指名候補争いの「スーパーチューズデー」で大差の勝利を確実にし、支持者を前に勝利演説で「アメリカを取り戻す」と宣言した。一方、対立候補のニッキー・ヘイリー元国連大使は1州で勝利確実となり、3日の首都ワシントンに続く予備選2勝目を挙げたが、この日は演説をしなかった。

共和党はこの日、11月の大統領選の党候補者選挙を15州で開いた。BBCが提携する米CBSニュースによると、トランプ氏はうち13州で勝利を確実にした。対立候補のニッキー・ヘイリー元国連大使は、北東部ヴァーモント州で唯一、勝利が確実な情勢となった。

トランプ氏は同日夜、フロリダ州の私邸マール・ア・ラーゴで演説。冒頭、「スーパーチューズデーと呼ばれるのには理由がある。これは大きな日だ」と述べ、アメリカを「取り戻す」と宣言した。ヘイリー氏については一言も触れなかった。

また、識者らから「決定的な」勝ちっぷりだと言われたとし、アメリカの好転を図っていくと表明した。

トランプ氏の演説の大半は、これまでの選挙運動で訴えてきた内容の繰り返しだった。11月の本選挙で民主党の現職ジョー・バイデン大統領と再び対決することを念頭に、バイデン氏を「アメリカ史上最悪の大統領」だとした。

トランプ氏はまた、自身が大統領だった2017~2021年を「私たちの国がひとつになっていた」時期だったと表現。その間は新しい戦争は起こらず、中国や北朝鮮の独裁者・金正恩(キム・ジョンウン)総書記との関係も良好で、エネルギーに関してアメリカは優位な立場にあったと述べた。自分たちの新型コロナウイルス対策も「素晴らしかった」と話した。

前大統領は、自分が大統領だったならウクライナやパレスチナ自治区ガザでの戦争は避けられたと示唆するほか、メキシコとの国境には不法移民が何百万人も押し寄せておりアメリカは「侵略」されているのだと強調した。民主党が多くの不法移民をアメリカに入れているという主張も相次いだ。

トランプ氏はさらに、専門家らが言っていることだとして、株式市場は同氏の政権復帰を見越し、好調に推移していると主張。一方で、世界の指導者らからは、「私たちの国がジョークのように思われている」と聞かされているとした。

そのうえでトランプ氏は、「私たちの国を取り戻す」と宣言。「(大統領選当日の)11月5日はアメリカ史上、最も重要な日として語り継がれることになる」と強調した。

「共和党の女性として初めて2勝」

一方のヘイリー氏は、スーパーチューズデーでの「全敗」も予想されていたが、ヴァーモント州での勝利を確実にし、一矢報いた格好となった。

ヘイリー氏は5日には演説をしなかった。

選対本部の広報担当は、「国内各地で今日、何百万人もの米国民の支持を得たことを、私たちは栄誉に感じている。ヴァーモント州では、ニッキーが共和党の大統領選予備選で女性として初めて2勝目を収めた」との声明を出した。

トランプ氏と異なり、ヘイリー氏側は声明で対立候補に言及。多くの州で、トランプ氏について「深い懸念を表明している共和党予備選有権者たちの大きなかたまり」が存在するとした。

そして、トランプ氏が以前、共和党は団結していると述べたことについて、「『私たちは団結している』と主張するだけでは団結は達成されない」とした。

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