餅本膳文化伝え 講習会300回を突破 1万2000人以上が聴講 後継者育成にも意欲 東山の佐藤さん【一関】

餅本膳講習会が300回を超え、佐藤市長に報告した佐藤さん

 いわて東山歴史文化振興会長で一関もち食推進会議副会長の佐藤育郎さん(76)=一関市東山町=は、自身が講師を務めて各地で開催している餅本膳を指南する「一関地方もち食文化伝承推進講習会」が通算300回を超えた。15年以上にわたって1万2000人以上に餅食文化を伝えており「今度やれば300回とか、そういった思いは全くないまま、休むわけにはいかないと続けてきた」と振り返りながら、後継者育成に意欲を示し、さらなる文化継承へ誓いを新たにしている。

 2008年に市役所東山支所地域振興課長を定年退職した佐藤さんは、故・菅原喜重郎衆院議員から誰かの役に立つことをやるよう助言を受けたことで同年4月に同振興会を設立した。

 もち食推進会議の設立にも携わり、16年に一関市・平泉町が農林水産省の「食と農の景勝地」(現名称・SAVOR JAPAN=農泊 食文化海外発信地域)に認定され、22年には文化庁が地域に根付く食文化をPRする「100年フード」にも選ばれるなど、餅食文化の普及推進の一翼を担ってきた。

 講習会は儀礼式を伴う食文化、小笠原流を基とする慶弔餅本膳の伝承活動の一環で08年から開いており、13年に100回、18年に200回に到達。23年5月に300回を達成すると、同年末までに講習は308回に上り、延べ1万2491人が聴講したことになる。

 今月5日には市役所を訪れ、佐藤善仁市長に300回到達を報告。佐藤市長はその功績をたたえながら「コロナも落ち着いてきて、餅の出番も増えてくる。400回を目指してほしい」とエールを送った。

 「餅は人を喜ばせる」と語る佐藤さんは「必要とされる場所に出向くというのが大事。同じ風に当たりながら、ともに話をして、ともに食べて、ということで推進してきた」と胸を張る。400回を望む声には「いやいや」と苦笑しながら「一番は後継者。何とか見つけて、これから生まれて来る子や、今育っていく子どもたちに一関の餅を知って触れてもらえるようにしたい」と展望している。

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