キルギス議会 国旗変更を承認

キルギスの元の国旗の終わりを象徴するイラスト。元の国旗が山の後ろに沈む様子が描かれている。 Elnur Isakovのフェイスブックページより。

12月20日、キルギス議会は第2読会と第3読会国旗の変更に関する法案を採択した。この法案の2人の発起人のひとり、ヌルランベク・シャキエフ議長は、採決後「国旗の修正に賛成した」議員らに祝意を表し、「国旗を正しくした議会として歴史に名を残し」、やがて「伝説的な」地位を得ることになるだろうと述べた。

こちらが、インスタグラムに投稿された元の国旗である。

そしてこちらが、今回提案された国旗である。

新国旗の実現へ向けての最後の関門は、この法案への大統領の署名だ。サディル・ジャパロフ大統領が最後の仕上げとして署名をするのは間違いない。変更を言い出したのは大統領自身で、そもそも国旗変更を思いついたのは自分自身だと最近認めたのだ。12月15日と16日に開催された第2回人民クリルタイで講演したジャパロフ大統領は、代表者らに国旗変更案への支持を要請し、またシャキエフ氏とウラン・プリモフ議員に議会で可決してほしいと依頼したのは大統領自身だったことを明かした。

こちらは、ジャパロフ大統領がクリルタイの代表者達に国旗変更への支持を求めたYouTubeビデオだ。

キルギスの国旗は、1991年にソビエト連邦から独立を果たした直後、1992年3月3日に採択された。そのデザインにあたったのはある5人のチームだった。旗の中央には金色に輝くトゥンドゥクがある。それは遊牧民の移動式テントの木製天窓で、そこから光が居住空間に差し込んでいるこのデザインは、団結、友情、そして祖国を象徴している。トゥンドゥクの周りの波状の太陽光線は、キルギスを形成するために集まった古代40の部族の統一を意味している。金色は富と安定を、赤の背景は勝利と勇敢さと勇気を象徴している

今回の国旗変更がジャパロフ大統領の政策で最も評判の悪いものとなることは、間違いないだろう。キルギスが独立して以来32年間で、国民から国旗変更を求める声は一度も上がっていなかった。元の国旗がキルギスの人々から愛されていることは事実であり、それは国旗変更に反対するソーシャルメディアへの投稿数からも明らかだった。

これはキルギスの有名な旅行ブロガーによるインスタグラムの投稿で、国旗変更に反対の立場を表明している。

またこちらは、国旗変更について一般市民が考えていることをインスタグラムに投稿したものである。

反対しているのは一般市民だけではない。1992年に元の国旗を採択した独立後最初の議会の議員らは、国旗変更の提案に反対した。また、元の国旗のデザイナーの一人、ベクボシン・ジャイチベコフ氏も波状の太陽光線を尖ったものに変更する決定に対して、新しいデザインは「考えられる選択肢の中で最悪のものだ」と断じた。

ジャバロフ大統領は、元の国旗がひまわりを連想するとか、キルギスの政治や経済の問題は国旗が原因であるなどと、驚くような説明をしてきた。彼によると、新しい国旗を採択すれば、キルギスは「まるで太陽が輝き微笑んでいるようになり」、ついには「発展した独立国」に変わるだろうというのだ。

議会選挙の不正に対する抗議活動の結果、2020年に政権の座について以来、ジャパロフ大統領は憲法を改正することで独裁政治を行ってきた。そして、キルギスに秩序を回復させ繁栄をもたらすためには強硬手段が必要であると述べ、様々な改革を正当化した。キルギス国民はこれまでのところ、ジャパロフ大統領の強硬政策による悪影響ばかり被っているが、国旗の変更はその最たるものである。

校正:Yasuhisa Miyata

原文 Nurbek Bekmurzaev 翻訳 Yoko Morishima · 原文を見る [en]