外資系企業、京津冀協同発展の先行きに期待感

外資系企業、京津冀協同発展の先行きに期待感

天津市にある日本の漢方大手、天津津村製薬の工場。(資料写真、天津=新華社配信)

 【新華社北京3月7日】2024年は中国の京津冀(北京・天津・河北2市1省)協同発展の国家戦略昇格10周年に当たる。現在の物価で計算すると、23年の同地域の域内総生産(GDP)は13年の2倍近くになった。複数の外資系企業関係者は、京津冀はこの10年、世界レベルの都市群建設や地域の質の高い発展などの面で中国の経験を世界に提供してきたとし、協同発展の先行きは明るく、引き続き中国市場を深く耕していくとの方針を示した。

 日本の短資会社、上田八木短資の中国完全子会社である上田八木貨幣経紀(中国)は中国初となる100%外資のマネーブローカー会社として、21年に北京市で開業した。同社の大野智之副社長は新華社の書面取材に応じ、開業以来、中国経済の規模と発展の強靭(きょうじん)性のおかげで事業は成長を続けていると明かした。京津冀一体化に向けた政策が続々と実施され、良好なビジネス環境が提供されており、中国金融業の質の高い発展に大きな自信があるとした。

 日本の空気圧制御機器大手SMCの中国法人、SMC(中国)は半導体や新エネルギー業界などに中核部品を提供している。SMC投資管理の馬清海(ば・せいかい)総経理によると、同社は北京での研究・開発における強みを生かし、生産の裾野を天津と河北の各地へと拡大している。この動きは京津冀協同発展戦略と合致しており、引き続き中国市場への投資を拡大していくという。

 京津冀地域は現在、新しい業態や消費シーンの応用の場となっている。2市1省を走る高速鉄道がもたらす「高速鉄道経済」を頼りに、天津市武清区にはイタリア式のオープンモール、自動車レース専用施設をはじめとするショッピング・娯楽商圏が形成されている。

 この商圏に投資する米国の中国系コングロマリット、ワイテックスグループの李学海(り・がっかい)会長兼CEO(最高経営責任者)は、京津冀の将来性に期待を寄せているとし、今後も天津市武清区で30件以上のプロジェクトを次々に展開する方針を明らかにした。業態も中国市場のニーズに合わせて変化させているとし、「われわれは絶えず学習しており、デジタル化の度合いも高まり続けている」と語った。

 中国国際経済交流センターの張燕生(ちょう・えんせい)首席研究員によると、多国籍企業は中国市場を切り開く際、以前は製品の生産や運営・ガバナンスなどの面に戦略の重点を置いていた。今では研究・開発、設計から投資、生産管理まで全ての分野で中国での現地化を推進しており、こうした戦略がすでに主流となっている。

 都市間鉄道2路線、都市軌道交通4路線、幹線鉄道1路線、市内と郊外を結ぶ鉄道1路線、地下鉄駅に乗り入れる路線バス15路線が集まる北京都市副中心駅ハブプロジェクトは年内の躯体工事完了を予定しており、完成後はアジア最大の地下総合交通ハブとなる。軌道交通網の整備は地域の融合をより緊密にするだけでなく、世界レベルの都市群建設にも経験を提供するとみられる。 

 プロジェクトの建設を担当する北京京投交通枢紐投資の陳帆(ちん・はん)総経理補佐によると、設計段階では東京の渋谷駅など世界の先行事例を参考にし、それをベースにスマート建設などの理念を運用して中国の経験を形作り、将来的には国際的なハブプロジェクトになるという。

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