ロシア野党指導者の妻ナワルナヤ氏、大統領選当日の「反プーチン」行動を呼びかけ

近年のロシアで最も著名な反政権派指導者で、収監されていた北極圏の刑務所で先月死亡したアレクセイ・ナワリヌイ氏の妻ユリア・ナワルナヤ氏は6日、今月行われるロシア大統領選挙の当日に、ウラジーミル・プーチン大統領への抗議行動を起こすようロシア市民に呼びかけた。

ナワルナヤ氏は抗議の一環として、投票最終日の3月17日正午に、複数の投票所に長い行列をつくるべきだと訴えた。

「私たちが存在することを、私たちの多くが存在することを示すため、選挙の日を利用する必要がある」と、ナワルナヤ氏はビデオメッセージで述べた。

ナワルナヤ氏は、プーチン氏の命令で夫ナワリヌイ氏が殺害されたと非難している。

選挙当日の抗議行動の呼びかけは、「反プーチンの正午」と呼ばれている。

15日から17日にかけて実施されるロシア大統領選挙では、プーチン氏が5期目の当選を果たすと予想されている。

「非常に単純かつ安全な行動」

ナワルナヤ氏は、投票所に皆が一斉に出向くことは「非常に単純かつ安全な行動」であり、当局はこれを禁止することはできないとした。そして、志を同じくする人々が「私たちの多くが存在すること、そして私たちは強いということを知る」ことができると述べた。

プーチン氏以外の候補に投票したり、投票用紙を汚したり、投票用紙に「ナワリヌイ」と大きく書けばいいと、ナワルナヤ氏は述べた。

投票所に正午に集まるというアイデアは、ナワリヌイ氏が死亡する2週間前に提案したものだという。

ナワリヌイ氏は生前、刑務所内から弁護士が投稿するメッセージを通じてソーシャルメディアで存在感を維持してきた。選挙当日の抗議行動は、「誰でも、どこででも参加できる」真の「全ロシア人の抗議行動」となる可能性があると、投稿されていた。

「数百万人が参加できる。そして何千万人もがそれを目撃することになる」と、ナワリヌイ氏は書いた。

ナワリヌイ氏は2018年の大統領選では、公金横領事件で有罪判決を受けたことを理由に出馬申請を却下された。同氏はこれは、政治的な意図による判断だと否定していた。

長期にわたり収監されていたナワリヌイ氏は、先月に収監先の刑務所で死亡した。

クレムリン(ロシア大統領府)は、死因を「自然死」と発表したが、ナワリヌイ氏の支持者や各国指導者の多くは、プーチン氏に責任があると非難している。

ナワルナヤ氏は夫の死が発表された直後から政治的スポットライトを浴びるようになった。以来、欧州議会で演説したり、アメリカのジョー・バイデン大統領と会談している。

ナワリヌイ氏の葬儀は今月1日に執り行われ、遺体はモスクワ南部のボリソフスコエ墓地に埋葬された。 墓地には何千人もの人が足を運び続け、ナワリヌイ氏の墓が埋もれるほどの花が手向けられている。「私にとってこれがどれほど意味があるものか、言い表すことはできない」とナワルナヤ氏は述べた。

そして、「アレクセイは『美しい未来のロシア』を夢見ていた。それは、あなた方そのものだ」と付け加えた。

(英語記事 Alexei Navalny: Widow urges Russians to protest on election day

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