花粉症発症率ワースト1位の静岡県で進む「無花粉スギ」の研究 ドラッグストアの対策商品も進化

今年は例年にも増して花粉症に悩まされている人も多いのではないでしょうか。それもそのはず、静岡県は発症率ワースト1だったのです。各方面で様々な対策が検討されています。

「花粉症発症率」静岡県がワースト1位

47都道府県の中で静岡県がトップに躍り出たもの。それは”花粉症の発症率”です。この時期に本格化し、人によっては生活にも影響を与える花粉症。第一三共ヘルスケアの調査によると、全国平均で国民の半数以上にあたる55.1%の人が花粉症だといいます。ただ、静岡県ではその割合が74.0%と、県民の7割以上が花粉症であるという結果に。実際、花粉症に悩まされている人達からは”悲鳴”が。

浜松市民70代「重症だね。いままで(花粉症に)なったことないけど、今年なった」

浜松市民60代「目のかゆみ、それと多少くしゃみ。風の強かった日がちょっときつかった」

花粉対策商品も進化

ドラッグストアでは花粉症対策のコーナーが拡大しています。

杏林堂薬局於呂店 市川駿介店長:「暖冬の影響で、(花粉の)飛散開始時期が早まっていることもあり、杏林堂では早めの対策を打っている」

こちらのドラッグストアでは、早めの花粉症対策として、一般的な商品展開よりも早い、1月中旬ごろからコーナーを設置。実際に目薬や飲み薬を求め、早めに商品を購入する人も多かったそうです。

杏林堂薬局於呂店 市川駿介店長:「鼻水や目がかゆいなどの症状が我慢できないということで、お客様からの相談が非常に多いコーナーとなっている」

対策商品も年々進化を遂げていて、飲み薬以外にも鼻の中に直接クリームを塗り、花粉をキャッチするという商品もあるそうです。売り上げは去年の倍以上になっているといいます。店内には他にも、高性能フィルターマスクや、肌や髪に花粉が付着するのを抑制するスプレーなど様々な「対策グッズ」が。花粉対策コーナーは3月中旬頃までの展開予定ということですが、今年は花粉の飛散状況によって対応していくということです。

花粉症の対策が求められる中、農林水産省は2月20日、原因となっている、「スギ人工林」の伐採や植え替えなどを進める「重点区域」を設定。対象はおよそ98万ヘクタールで、これは全国にある「スギ人工林」の2割にあたります。県内ではおよそ1万ヘクタールが対象となっていて、今後、伐採や花粉の少ないスギへの植え替えが集中的に進められます。

「無花粉スギ」の研究進む

そんな中今、県内では将来的に花粉症患者の救世主となるかもしれない研究が進められています。

小林崇宏ディレクター(浜松・天竜区):「浜松市内の市街地から、車で30分ほどの場所に来ています。こちらにあるのが、花粉が飛ばない無花粉スギだということです」

元々、県では花粉症対策として、花粉が少ない「少花粉スギ」の研究を進めていました。この研究過程で出てきたのが、花粉が全く出ないという「無花粉スギ」です。

森林・林業研究センター 袴田哲司博士:「無花粉スギは全く花粉が飛ばないので、花粉症対策としては非常に有効だと思う」

無花粉スギはまだ研究開発の途中ということですが、これまでに試験研究用として、県内に1500本ほど植えられているといいます。こちらの場所では、およそ700本あるスギのうち、60本ほどが無花粉スギだということです。

森林・林業研究センター 袴田哲司博士:「研究をやる中で、無花粉かつ成長や質が良いのを品種にしていく必要があるので、他のスギとの比較は研究の中でやらなくてはいけないことなので、(通常と無花粉)両方の木を植えて比較している」

通常のスギと比較して、樹高や直径などを調査していく中で、新たな無花粉スギの品種が出てくる可能性があるということです。

森林・林業研究センター 袴田哲司博士:「花粉症というのは大きな社会問題となっているので、我々としては活用できるスギの中から無花粉なり、少花粉、そういうものを研究開発して、これから使っていこうと考えている」

今や国民病となっている花粉症。発症率全国1位の静岡で行われている研究が今後、日本の花粉症患者にとって希望の光となるかもしれません。

© 静岡朝日テレビ