【着物買取】バブル時代の着物は二束三文にしかならない?

着物の生産量がピークを迎えたバブル期の着物の価値は?

家族から譲り受けたバブル時代の着物。 着る機会がなく、売却したら二束三文にしかならなくてがっかりした経験はないでしょうか。

バブル時代は着物の生産数が多く、良質な着物が市場に出回っていました。 本来であれば、高額で取引されてもよいはずです。 なぜなのでしょうか。

そこで、本記事では「バブル時代の着物」の買取価格に注目。 高級着物が飛ぶように売れたバブル時代の着物が、なぜ二束三文の価値になってしまうかを解説します。

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バブルの時代の着物事情

バブル時代の流れ

1986年頃から始まったバブル時代。「値段が高いものはよいもの」という考えが、当たり前だった時代でした。職人が魂を込めて織り上げた一点数百万円する着物でも、一般家庭の方が簡単に購入できたといわれています。

当時の着物関連産業は、2兆円産業といわれていました(※)。 存在自体が貴重になってしまった着物も、バブル時代では多く生産されています。

バブル時代の着物は、有名作家で状態がいいなど条件を満たしていれば、高額で売却できる可能性があるでしょう。

※参考:公益財団法人大学コンソーシアム京都「着物関連市場における新たなセグメントとその特性の分析」

高額の着物が二束三文に?買取価格が安い理由

バブル時代の着物が二束三文になる理由

良質な着物が市場に出回っているのであれば「二束三文で買取されることはないのでは?」と考えるのは、自然なことです。 しかし、現実では納得のいかない価格で買取されてしまうケースがあります。 その理由に触れていきます。

偽物だった

着物買取専門店で査定してもらっても、二束三文にしかならなかった事例もあります。

バブル時代の全ての着物が、職人の手で織り上げられた作品ではありません。リーズナブルの着物や、精巧な偽物が紛れ込んでいることも……。当然、需要は高くありませんから、買取価格は安くなります。

高いだけで売れたため質が悪い

バブル時代でも、着物の価値判断は素人目では難しく、十分な知識を持たない人には「値段が判断基準」になっていました。 品質が十分ではなくても「高額品=高級品」となる場面も多かったといわれています。

作りが乱雑な他にも、有名作家の落款で価値を底上げした着物も出回るほどです。バブル時代は、「価格に見合っていない品質のものが入り込む余地があった」と考えられています。

保存状態が悪い

着物の買取は保存状態に大きく影響します。価値がある着物でも、シミやカビ、シワ、虫食いがあれば査定額に大きく影響するでしょう。

価値が高い着物には、天然素材が使われています。管理方法を誤れば、あっという間に価値が落ちてしまいます。

着物のメンテナンスは洋服よりも複雑です。下記を実施していない着物は、価値が下がってしまう可能性が高いです。 参考にしてください。

  • 着用後は汚れを落として、陰干ししていない
  • シワを伸ばして収納していない
  • たとう紙に包んで、桐箱に保管していない
  • たとう紙を定期的に変えていない
  • 定期的に虫干しをしていない

付属品がついていない

共箱、証紙がついていれば、作家や伝統技法の証明になります。無名の作品は、買取価格は安くなる傾向です。

付属品があるからといって、必ずしも価値が高くなるわけではありませんが「付属品も全て揃っていて当たり前」と考えている層も一定数います。

専門店に売却していない

衣服を売る際には、何でも買取してくれる総合リサイクルショップを利用する方が大多数です。しかし、これが落とし穴。リサイクルショップは、オーナーなどの経歴によっても異なりますが、基本的に、ブランド品、雑貨、家具などの買取・再販を得意とします。

現在では、着物の生産・需要が下がってきていますから、高額で買取しても売れなければ、意味がありません。リサイクルショップに着物を求めて購入しに来る客層は少なく、販路があまりないことから、積極的に買取しようとしないのは自然なことではないでしょうか。

また、着物買取に特化した査定員がいないことも、買取価格を下げる要因です。 着物は査定が大変難しいジャンル。産地、素材、染色方法など、幅広い情報を熟知していなければ適切な価格がつけられません。

着物買取専門店であってもも、残念ながら着物知識のない査定員が出張買取に来た例などがクチコミで散見されます。「電話で確認していた」「着物をほとんど見ないで価格を決めた」「訊いても着物のことをわかっている様子がない」といった反応です。

テレビCMを積極的に出しているところや、有名キャラクター・著名人が宣伝に関わっていても、必ずしも安心できるわけではない状況。着物買取は、適切な査定員を見つけるのに難航するジャンルと言えるでしょう。

高額で買取される可能性がある着物

高額で買取される可能性がある着物

バブル時代には、現在では大変珍しい着物が多く生産されました。 保存状態によっては、高額で買取される可能性があります

絹で織り上げられた着物

最高級の天然素材である絹の着物は、上質な光沢具合や心地よい肌ざわりが大変人気です。特に、絹100%の生地で織り上げられた着物は需要が高いです。

残念ながら、着物買取はそもそもポリエステル等であれば、買取すらされないことも多い状況。絹である=価格がつく可能性が高い程度の期待値です。

伝統技術で織り上げられている着物

現在では、国内の伝統工芸品の生産数や職人は減少傾向です。 職人の手で織り上げられる着物も大変貴重な存在になりました。

バブル期は、加賀友禅・琉球着物(紬、上布など)・結城紬などの、日本を代表とする着物の生産数がピークに達しています。 保存状態にもよりますが、この時期に購入していた着物の本場・有名作家の手作り品があれば、高額で売却できる可能性があります。

高級着物が出回っていたバブル時代

現在は着物の需要が少なくなり、国内の着物生産数は下がり続けています。 バブル時代の着物が、安い価格でしか売れなかった苦い経験がある方もいるかもしれません。

しかし、バブル期は、着物業界が活気づいていた時代です。現在では手に入れられないような貴重な着物が、市場に多く出回っていました。もしかしたら、家族が持っていた着物が、思わぬ価値がつくかもしれません。

着物は保存状態が非常に重要なため、残念ながら「整理して出てきたものがすごい金額だった!」という話はなかなか聞くことができません。大切に管理された、価値ある着物であれば数十万円や数百万円といった価格も期待できるでしょう。

参考資料

  • 公益財団法人大学コンソーシアム京都「着物関連市場における新たなセグメントとその特性の分析」

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