メイ元英首相、次の総選挙に出馬しないと発表 EU離脱の立役者

イギリスのテリーザ・メイ元首相(67)は8日、次期総選挙に出馬せず、議員を辞職すると発表した。

イギリスの欧州連合(EU)離脱を決めた国民投票を受け、2016年から2019年まで首相を務めたメイ氏は、バークシャー州メイデンヘッドから27年間、下院議員に選出されていた。

メイ氏は、この議席を去るという「難しい決断」によって、「私の心に近い大義」にもっと時間を費やすことができるようになると述べた。

メイ氏の首相在任中に初めて閣外大臣として政府の職を得たリシ・スーナク首相は、メイデンヘッドに「激しく忠実」だったメイ氏は「ひたむきな運動家」で、「公僕とは何かを体現」する人だと述べた。

メイ氏の前任首相だったデイヴィッド・キャメロン外相は、メイ氏は「功績を誇れる優秀な公僕」だと評価。「保守党を近代化し、公の場での女性の活躍を促進する」ために多大な貢献をしたと述べた。

メイ氏は2010年、キャメロン政権の内相として初入閣。6年間の任期中、メイ氏は不法移民に対する政府の「敵対的環境」政策の立役者だった。

2016年に国民投票でブレグジットが決まり、キャメロン氏が首相を辞任したことで、メイ氏は保守党党首、そして首相となった。イギリスでは史上2人目の女性首相だった。

メイ氏自身は親EU派だったものの、ボリス・ジョンソン氏を含む離脱派を閣僚に任命し、EU離脱に向けた協定締結に邁進(まいしん)した。

しかし、EUとの交渉や議会の取りまとめに苦心したメイ氏は、2017年6月に総選挙を実施。自らの権力基盤を強化する考えだったが、保守党は過半数議席を失ってしまう。

その後、EUとは2018年11月に離脱協定に合意したが、英議会での承認を得られず、何度も法案提出と否決を繰り返した。度重なる信任投票や閣僚の辞任なども、メイ氏への圧力となった。

2019年5月、メイ氏は辞任を発表。辞任会見では涙声で、「愛する国に仕えることができた」と述べた。

ブレグジット交渉はその後、後任のジョンソン政権に引き継がれ、イギリスは2020年12月31日に正式にEU離脱を完了した。

メイ氏の27年にわたるキャリアを、ヴィッキー・ヤング政治副編集長が解説する。

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