「中国市場の深耕続ける」 本間哲朗・パナソニックHD副社長

「中国市場の深耕続ける」 本間哲朗・パナソニックHD副社長

中国上海市で開催された第6回中国国際輸入博覧会で講演する本間哲朗氏。(2023年11月6日撮影、上海=新華社配信)

 【新華社東京3月9日】日系企業などが加盟する中国日本商会の会長を務めるパナソニックホールディングスの本間哲朗副社長がこのほど、新華社の取材に応じ、今後も引き続き中国市場を深耕していく考えを示した。

 本間氏は、北京に本部を置く中国・北東アジア社を2019年に設立して以降、製品やサービスが中国市場にさらに適合し、中国事業は数期連続で高い伸びを実現していると説明。ここ数年、世界が新型コロナ禍や貿易環境の悪化など幾つもの試練に直面する中、中国市場への投資を強化し続け、昨年新設の3カ所を含む17の生産拠点を新設したほか、今年も既に中国への投資計画を複数策定したと語った。

 中国市場には①市場規模の大きさ②スマート化の推進③新技術を消化吸収する高い能力④イノベーションの失敗に対する寛容さ⑤豊富な人材と強靭(きょうじん)なサプライチェーン(供給網)-という五つの特徴があると指摘。現在の中国は製造大国であるだけでなく、消費大国、イノベーション大国でもあると強調した。

 本間氏によると、中国の市場ニーズと中国経済の発展動向に合わせ、昨年の中国国際輸入博覧会から、中国事業を「健康スマート住空間」「新エネルギー自動車部品」「スマート製造」の三つに分けている。グループ全体では「パナソニックグリーンインパクト(中国語・緑智造 創未来)」というコンセプトを掲げる。

「中国市場の深耕続ける」 本間哲朗・パナソニックHD副社長

中国・珠海のパナソニックグループ工場を視察する本間哲朗氏。(2023年9月26日撮影、上海=新華社配信)

 事業別では、新エネルギー自動車部品で昨年、トヨタ自動車と遼寧省大連市に設立した車載用リチウムイオン電池の合弁会社が第3期工場を完成させ量産を始めていると説明。スマート製造は、家電用モーターの製造・販売を手がける杭州松下馬達が昨年9月に敷地面積5万平方メートルを超える新工場への移転を始め、2025年4月の稼働を目指していると紹介した。健康スマート住空間は現在、35件のプロジェクトが順次進行しているという。

 今後の方針については、中国市場を深耕するとともに、市場の変化に応じて、日本で蓄積した介護や住宅、精密製造などの経験と中国市場の実情を組み合わせ、中国の製造業の質の高い発展に力添えしていく考えを示した。

 中国日本商会の会長としても、改革開放を堅持しビジネス環境の最適化を続ける中国の努力を高く評価。中国経済の長期的な安定と持続的な成長につながり、技術革新と産業の高度化を促進すると確信していると話した。

 中国日本商会が最近、在中国日系企業を対象に行った調査結果も紹介。多くの企業が中国のビジネス環境に満足しており、半数以上が中国事業を積極的に推進すると回答していた。今年以降の中国市場の位置付けについても「最も重要な市場」や「上位3位に入る重要市場の一つ」と答えた企業が半数以上を占めた。

 本間氏は、調査結果から分かる通り、在中国日系企業のビジネス活動は日増しに成熟し、市場の変化への対応力も高まっていると語った。(記者/劉春燕)

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