三浦透子&屋比久知奈がWキャスト主演 ミュージカル『VIOLET』製作発表会レポ

梅田芸術劇場が英国チャリングクロス劇場と共同で演劇作品を企画・制作・上演し、演出家と演出コンセプトはそのままに「英国キャスト版」と「日本キャスト版」を各国それぞれの劇場で上演したミュージカル『VIOLET』。新進気鋭 の演出家、藤田俊太郎が単身渡英し現地のキャスト・スタッフと作り上げた`19年のロンドン公演は、オフ・ウエスト エンド・シアター・アワードで6部門にノミネートされ、中でも日本人演出家の作品が栄誉ある「作品賞」候補に選ばれる快挙となりました。続いて`20年にはコロナ禍の中、3日間の限定上演で日本での日本キャスト版。`24年の再演が始動し、出演が決まった。

主演のヴァイオレット(VIOLET)役には、女優として映画やテレビドラマ、舞台、更には音楽活動と多彩な才能を発揮している三浦透子と、類まれな歌唱力と表現力を活かし、ミュージカル界で快進撃を続ける屋比久知奈。この実力派二人がWキャストで、顔に大きな傷を負いながらも自らの人生を切り開く為バスの旅に出る主人公を演じる。ヴァイオレットが運命の出会いを果たす二人の男性が物語のカギを握る主要な役どころで登場。人種差別という、理由は違えど「顔の傷」という外見が理由で自身を判断されるというヴァイオレットと同じ思いを抱えることから意気投合する黒人兵士フリック役には、東啓介、旅の途中にヴァイオレットと一夜を共に過ごすことになる白人兵士モンティ役を立石俊樹。そして、旅の中盤となるメン フィスの夜に、ソウルフルな歌声を聴かせるミュージックホール・シンガー役にsara、伝道師のアシスタントを務めるヴァージル役に若林星弥、ゴスペル聖歌隊のソリスト・ルーラ役は谷口ゆうな。更に、この旅で一番最初に出会いヴァイオレットの人生に大きな影響を与える老婦人役に樹里咲穂、ヴァイオレットの旅の目的となる、あらゆる傷を癒すという奇跡のテレビ伝道師役に原田優一、ヴァイオレットの顔に一生残る傷を作った父親役をspi。
初日は4月7日より東京芸術劇場プレイハウスにて。

製作発表会が都内で行われた。登壇したのは演出の藤田俊太郎、三浦透子、屋比久知奈、東啓介、立石俊樹、sara、若林星弥、森山大輔、谷口ゆうな、樹里咲穂、原田優一、spi、生田志守葉、嘉村咲良、水谷優月。また、パフォーマンスも。

⭐︎三浦透子

「自分の心を守るために時には人と接する時に少し強い言い方をする事もあった…ヴァイオレットが友達と出会って柔らかくなっていく瞬間をこの良いチームで作れたらと思います。劇中の音楽やメロディーひとつひとつに意味があると解説して頂いたので丁寧に歌いたい」

⭐︎屋比久知奈

「ピュアで真っ直ぐだったり世の中を斜めに見ていたり多面的なキャラクターを持つヴァイオレットを一つの解釈だけに縛られる事なく、旅の途中での人との関わり方でも人間性が伝わると思うので舞台上でのやり取りを大事にしながら出会いが人間にとって大きな影響を与えるという作品のテーマに自分も向き合い、見てくださる方にとっても良い出会いになって貰えたら嬉しい。
聴くだけで情景が浮かぶ素敵で大好きな楽曲ばかりなのでその曲をこれからの稽古で自分のものにして一体になり大切に伝えたい」

⭐︎東啓介
「前回はコロナで全部できなかったとお聞きしているので今回は完走したいと思っています。フリックの懐の深さやずっと受けてきた差別が滲み出るように演じたい。ヴァイオレットやモンティとの出会いによっての成長や変化について深めて行けたらと思う。
前回藤田さんと携わった作品も差別というテーマを扱っていましたがこれを日本では関係ないと思わずに自分のコンプレックスなどに置き換えて捉え、出会いの尊さ、助け合うことの素晴らしさや愛ってすごいなみたいなシーンで乗り越えられることもたくさんあると思うので劇場で音楽と生の肉声を聴いて頂けたらと思います」

⭐︎立石俊樹
「モンティは一見すると明るくて少し品のないところもあるが、その根底には理由がある人物です。
ヴァイオレットやフリックと出会うことで、価値観が影響し合いどう成長していくのかを今後の稽古の中で深めたい。
旅は目的に向かっている途中で考えてもいなかった出会いがあるように稽古場でも突然新しく身につけるべき事も出てきたりしますが、それが全て作品の最終地点に向かって前向きに進んでいます。
本番を楽しみにしていて下さい」

⭐︎Sara
「この座組の一員としてここにいられてとても幸せです。ヴァイオレットが旅の途中に大きく踏み出す場面で出会うミュージックホールシンガーなので、後押しするような力強く自由に音楽を楽しんでいる女性という出会い方ができたらいいなと考えています。
没入感のある舞台でお客さまと一体に作っていく特別な作品になると思います。私自身も毎公演新たな出会いがあるという気持ちで新しい価値観に出会いながら公演期間を過ごしていきたい。
劇場でお待ちしています」

⭐︎若林星弥
「伝道師様のアシスタントという役どころ。伝道師との距離感や、またヴァイオレットに影響を与える一員でもあるので、そこがどう関わっていくのかなど今後の稽古で深めて、キャストの皆さんの力をお借りして良いものをお届けできたらと思っています」

⭐︎森山大輔
「すごい俳優陣が集まったので毎日楽しく稽古させて頂いています。リロイはヴァイオレットの近所に住んでいる白人男性です。1960年代のアメリカ南部の空気感に一気に持って行きたい」

⭐︎原田優一
「前回の公演では稽古だけで本番ができなかった組です。今回伝道師をやるため色々なものを吸収しようと思い、吸収しすぎてサイズが増えまして(笑)衣装を新調してして頂き、やる前からお金を使わせてしまいました。
衣装を着て皆さんの前に出ましたら『わー胡散臭い』と言われたましたけども、胡散臭いは伝道師としてイケナイので役作りがまだまだかと思いました(笑)。
伝道師に会うためにヴァイオレットに長旅を決意させたり人を熱中させ魅きつける伝道師とは何だろうか?と藤田さん、樹里さんともお話しして考えています。人のキズを治したりする伝道師のエンタメ性と人としてのリアルな人間性をどう演じるか乞うご期待くださいませ。
伝道師でありながら複数の役をやっていますが、その複数の役にも意味があるなと感じています。
どのシーンもシンプルなテーマで美しい言葉が使われていますが、実は全ての見逃せない重要なシーンが積み重なって出来ているストーリーなので、その謎を解き明かして演じたい」

⭐︎spi
「みんなのパパになりたい。原田さんの後はメチャメチャやりづらいんですけど(ぼやく)5歳の頃から男手一つでヴァイオレットを育てるが、13歳の時に斧の刃を顔に当ててしまう。
一般男性でポーカーが強い。あと歌がめちゃくちゃ上手い…以上です!(笑)
父親はフラッシュバックでしか出てきませんが、とても良い作品、大感動間違いなしです。
ぜひ劇場にお越しください」

⭐︎樹里咲穂
「前回上演された作品を見て感激したので今回参加させて頂くのは嬉しく思っています。役柄は保守的な考えを持った南部の女性で、親切心から出会ったヴァイオレットに女性の生き方を解くが若干おせっかいと思われて迷惑そうではあります。
わかってもらえないかもしれないけど(笑)がっつり絡んでいきたい。
登壇の後列にいるメンバーはヴァイオレットと出会ういろんなキャラクターを演じるので、みんな工夫して別人に見えるように役を作り込んでいます。そこも楽しみにいらして下さい」

⭐︎藤田俊太郎

(司会者から31回読売演劇大賞を受賞されたと紹介される)
「ヴァイオレットは奇跡をめぐる女性の成長物語です。この14名の愛おしきキャスト、プランナー、スタッフ、カンパニー、一丸となって素晴らしい作品を届けたいです。
コロナが明けた後の演出面の変化ですが、一番の違いは舞台上にオンステージシートを設けたこと。(会場に購入した人がいるか聞き、数人挙手で盛り上がる)
お客様がヴァイオレットと一緒に旅をするシートお客様が15人目の乗客となり近い距離で音楽と旅を体験できる。
これは2018年のロンドン版から行われています。
ヤングヴァイオレットの3人の役の捉え方も答えが違って素敵だなと思っています。
2018年のロンドン、2020年とも違うこのメンバーでしか生まれないヴァイオレットが誕生していて、それを作っていく事が2018年と20年に仕事をしたメンバーに対するリスペクトだと思っています。
稽古初期の現在感じる事ですが、三浦さんに対しては心の中に強い信念と明るさを感じています。屋比久さんは全身にパワーを漲らせたパッション溢れるヴァイオレット、全然違うキャラクターが生まれつつある事が楽しみです。
差別が融和する瞬間や人と人が交流し優しい子持ちが生まれる瞬間、傷が見えなくなったり心の傷がなくなる瞬間が旅のシーンの中でたくさん訪れるので、その瞬間やシーンを重ねることでお客様と一緒に優しい光や未来を見ることができると思っています。
2018年に実際にバス旅をした体験を通してディスカッションしながら制作できる事が価値だと思っています。
上映のラストシーンは劇場中が優しい光に包まれるような舞台を作っていきたい。
ヴァイオレット2人の衣装3人のヤングヴァイオレットの衣装が違います。6バージョン違うヴァイオレットを作っています。何度観ても違う味わいのある作品になっています」

⭐︎谷口ゆうな
「曲がすごく素敵。素晴らしい音楽の力を受け取って楽しんで頂けたら。人寿差別や彼女の傷、レイヤーとして何層にも分かれているそれぞれの差別の違いに対して藤田さんとも話して輪郭をしっかりしなくてはと思っています。
フリック等が泊まりにくる…モーテルの女主人の役に関しては人種差別の側面が強めかなと思いながら作っていまして、一方、伝道師様のところで歌を歌っている役に関してはいろんな事から解放されて神さまとリンクするという扉を開けるといいなと思い役を深めています。
舞台は写真と映像のいい部分の凝縮されたものだと思っていますので、藤田さんの旅の記憶をみんなで共有して通過した上での作品をお届けできると思う。(藤田さん大いにうなづく)。少なめのメンバーと私たちより人数の多いスタッフとオーケストラにささえられて、最後までお届けできたら。東京のほかに出身地の福岡、宮城、大阪いろんな場所に行きますのでよろしくお願いします」

⭐︎生田志守葉
「みんなで笑顔で素敵な舞台を作りたい。ヴァイオレットの鏡として旅を優しく見守れたらなと思っています。観にきてくれた皆さんの素敵な思い出に残るようにそして素敵な旅ができるようにしたい」

⭐︎嘉村咲良
「ヴァイオレットは旅の途中いろんな所で昔の自分を思い出すのですが、マイウェイの歌詞にあるように頭の中に『過去の自分が見守ってくれている』という感覚がずっとあって大人のヴァイオレットの旅の目的である傷を治したいという気持ちを強く見守るヤングヴァイオレットを一所懸命演じたいと思います。(言葉を慎重に選びながら)この作品は見た目ではなく心が大切と教えてくれる物語です。ヴァイオレットは私がまだ持っていない複雑な感情をたくさん持っていてそれを表現するのが大変ですが、これからも練習を頑張ります」

⭐︎水谷優月
「私にしか演じられないヤングヴァイオレットを演じたいです。ヴァイオレット役の本当の幼少期だなと思ってもらえるように、性格とかセリフのひとつひとつの間とか大人ヴァイオレットの役とキャラクターを似せて演じたい。また幼少期の時にこう過ごしていたからこういう成長をしたのかと思ってもらいたいです。見にきてくれたお客さまみんな感動し、このミュージカルが良かったなもう一回観にきたいなと思って貰えるようにヤングヴァイオレットのセリフを一つ一つ考えてやっていきたい」

<2020年公演レポ記事>

STORY
1964年、アメリカ南部の片田舎。幼い頃、父親による不慮の事故で顔に大きな傷を負ったヴァイオレットは、25歳の今まで 人目を避けて暮らしていた。しかし今日、彼女は決意の表情でバス停にいる。あらゆる傷を癒す奇跡のテレビ伝道師に会う 為に。西へ1500キロ、願いを胸に人生初の旅が始まる。
長距離バスの旅でヴァイオレットを待ち受けていたのは、様々な人と多様な価値観との出会いだった。ヴァイオレットの顔を見 た途端目を背ける人々。一番最初の出会いとなった南部出身で白人の老婦人。運命的な出会いを果たす黒人兵士フリックと白人兵士モンティの対象的な二人の男性。思いがけない正体を現したテレビ伝道師。追憶の中にあらわれる父親。これらの出会いによりヴァイオレットの中で何かが少しずつ変化しはじめる。 長い旅の先に彼女が辿り着いたのは―

概要
日程・会場:
東京:2024年4月7日(日)~4月21日(日) 東京芸術劇場プレイハウス
大阪:2024年4月27日(土)~4月29日(月・祝) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
音楽:ジニーン・テソーリ (『ファン・ホーム』2015年トニー賞最優秀オリジナル楽曲賞)
脚本・歌詞:ブライアン・クロウリー
原作:ドリス・ベッツ『The Ugliest Pilgrim』
演出:藤田俊太郎
出演:三浦透子/屋比久知奈(Wキャスト) 東啓介 立石俊樹
sara 若林星弥 森山大輔 谷口ゆうな 樹里咲穂 原田優一 spi

問合:【東京】0570-077-039 【大阪】06‐6377‐3888 (10:00~18:00)
企画・制作・主催:梅田芸術劇場
共催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場(東京公演)

WEB:https://www.umegei.com/violet/

取材・撮影:金丸雅代

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