2024年4月から何が変わる?「障害者雇用納付金関係助成金」の変更点をご紹介!

2024年4月から「障害者雇用促進法」が改正されると共に「障害者雇用納付金関係助成金」が新設・拡充されることをご存じでしょうか。
障害者雇用に関する制度は定期的に改正されており、企業は変更点について早期に確認し、対応していかなければなりません。
そこで、今回は2024年4月に改正される「障害者雇用促進法」と新設・拡充される「障害者雇用納付金関係助成金」の内容を確認していきましょう。

改正のポイント3つ

① 法定雇用率が2.3%から2.5%へ

現在、企業に義務付けられている障害者雇用の割合は2.3%ですが、2024年4月から2.5%に引き上げられます。
現在の2.3%では従業員43.5人に対して1人の割合ですが、障害者雇用率が引き上げられた場合、雇用すべき障害者の人数が増え、義務対象となる企業の範囲も広がり、2.5%では従業員40人に対して1人の割合で障害者の雇用が必要となります。

② 「特定短時間労働者」の雇用率への算定

週所定労働時間が10時間以上20時間未満の重度身体障害者、重度知的障害および精神障害者も「特定短時間労働者」として雇用率の算定対象となります。
従来、週20時間未満での雇用は算定対象とされていませんでした。
しかし、長時間勤務が難しい障害者の雇用機会を増やすことを目的とし、対象者1人につき「0.5人」として算定されるようになります。
一方、これに伴い「特定短時間労働者」を雇用する企業に対して支給されている「特例給付金」が2024年4月1日をもって廃止となります。

③ 障害者雇用調整金・報奨金の支給の減額

法定雇用数を超えて障害者を雇用する場合、超過人数分の調整金・報奨金の支給額が減額となります。

〈調整金〉
2023年度:一人につき月額29,000円
2024年度:一人につき月額29,000円(支給対象人数が10人を超える場合、その超過分から23,000円とする)
〈報奨金〉
2023年度:一人につき月額21,000円
2024年度:一人につき月額21,000円(支給対象人数が35人を超える場合、その超過分から16,000円とする)
※2024年度の実績に基づき、2025年度から反映

減額により生じる財源は、新設される助成金の充実や事業主支援の強化に使用される予定です。

新設・拡充される助成金

障害者雇用にあたり、雇用継続や支援として以下の助成金が新設・拡充されます。

新設される助成金

中高年齢等障害者(35歳以上の方)の雇用継続を図る助成措置

加齢により職場への適応が難しくなった障害者が引き続き雇用されるよう、業務遂行のための能力開発、業務の遂行に必要な者の配置や、設備・施設の設置等を行った場合に、助成が受けられるようになります。

障害者雇用相談援助助成金

労働局から認定を受けた障害者雇用に関する相談援助を行う事業者が障害者の雇入れや雇用管理に関する相談援助事業を利用企業に実施した場合、助成金が認定事業者に支給されます。

拡充される助成金

障害者介助等助成金の拡充

障害者介助等助成金は雇用している障害者の雇用管理のために必要な介助者の雇用や関連する費用を支援するための助成金制度です。
対象の助成金は次の通りです。

・障害者職場実習等支援事業
・健康相談医の委嘱助成金
・職業生活相談支援専門員の配置または委嘱助成金
・職業能力開発向上支援専門員の配置または委嘱助成金
・介助者等資質向上措置に係る助成金
・中途障害者等技能習得支援助成金

支給対象者や助成額などについての詳細は下記をご確認ください。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「令和6年4月1日改正分の助成金の主な変更点について」

さいごに

今回の改正内容や新設・拡充される内容を見ると、障害者の雇用継続や職業能力を向上させるための措置が盛り込まれています。
企業は単に障害者を雇うだけでなく能力を磨き、継続して働ける環境の整備にこれまで以上に力を入れなければなりません。
改正内容や各助成金制度が定める要件等をしっかりと確認し、障害者雇用の体制を見直していきましょう。
※必ず最新情報をご確認の上、申請準備を行ってください。

〈参考〉
・ 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「令和6年4月1日改正分の助成金の主な変更点について」
・ 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「障害者雇用納付金制度改正の概要」
・ 厚生労働省「障害者雇用相談援助事業の認定について」
・ 厚生労働省第129回労働政策審議会障害者雇用分科会資料1-2「法改正に伴う令和6年度施行分の政令・省令・告示の改正について(案)」

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