倉敷翠松高等学校 吹奏楽部 ~ 目指すは心のグランプリ!みんなが輝けるマーチングバンド

倉敷翠松高等学校 吹奏楽部は、1977年(昭和52年)に創部された部です。

コンテストへの出場、地元の学校での依頼演奏などの活動を、精力的におこなっています。

筆者は中学生のころ吹奏楽部に所属しており、毎年開催されていた倉敷市学校音楽祭で、倉敷翠松高等学校 吹奏楽部のマーチングパフォーマンスを見ました。

息の合った演奏と迫力のある動きに、憧れるとともに感動したことを今でも覚えています。

部での活動や、活動に対する思いについて、倉敷翠松高等学校教諭で吹奏楽部顧問の常國真吾(つねくに しんご)先生にお話を聞きました。

倉敷翠松高等学校 吹奏楽部について

2023年度の倉敷翠松高等学校 吹奏楽部の部員数は約30人で、なかには高校から吹奏楽を始めた人もいます。

吹奏楽のバンドとしては小編成ですが、少人数ならではの良さを生かし、一人一人が目立てるバンドです。

また、座奏だけでなくマーチングでの演奏もしています。

2010年(平成22年)4月からマーチング活動を開始し、2023年度(令和5年度)で14年目を迎えました。

マーチングとは、木管楽器、金管楽器、打楽器の吹奏楽編成での演奏に加えて、視覚的な表現もおこなう演奏形態のことです。

マーチング活動時の愛称はCrystal Sounds(クリスタル・サウンズ)で、この名前は沖縄県のマーチング強豪校を指導している大城政信(おおしろ まさのぶ)先生とスティーヴ・ユリスニー先生に命名してもらったそうです。

学校の名前「翠松(すいしょう)」とクリスタル(水晶)が掛けられており、音を大事にして、水晶のように磨き上げられた音楽を届けたい、という思いが込められています。

2015年(平成27年)には岡山県の高校マーチングバンドとして初めて、さいたまスーパーアリーナで開催される「マーチングバンド全国大会」にも出場しています。

また、マーチングの大会に出場するだけでなく、地域のイベントや学校での依頼演奏もおこなっており、2024年度のステージでの演奏回数は30回を超えているそうです。

倉敷翠松高等学校 吹奏楽部では、「目指すは“心のグランプリ”」をモットーに活動しています。

大会で良い結果を残すことももちろん大切ですが、それ以上に活動を通して部員の心が豊かになり、磨かれていくことが重要だと考えているそうです。

吹奏楽部の活動内容、思うこと

倉敷翠松高等学校 吹奏楽部は、マーチングの大会への出場、地域のイベントや学校での依頼演奏をおもな活動としておこなっています。

これまでに、マーチング&バトンステージ全国大会や沖縄スーパーマーチング、全国高等学校総合文化祭などの大会やイベントに出場してきました。

2024年2月には「第22回マーチングステージ全国大会」へ出場し、金賞を受賞しました。

吹奏楽部の年間の活動予定はミーティングを通して決定しており、どんな活動をするか、何のために活動するかを顧問と部員の間で共有してます。

大会への出場予定は4月ごろに決まっていますが、依頼演奏は依頼を受けてから随時決まっていきます。

地域での依頼演奏

画像提供:倉敷翠松高等学校 吹奏楽部

倉敷翠松高等学校 吹奏楽部は、地域のイベントや小中学校からの依頼演奏もおこなっています。

コンテストで審査員からの講評を聞くのとは異なり、地域のイベントや学校での演奏では、演奏を聴いたお客さんの反応を間近で感じられるのが魅力の一つです。

幼稚園、保育園、小学校などへ依頼演奏に行った際には、後日、演奏の感想が寄せ書きや手紙の冊子として届き、その内容に癒され「心の栄養」になるそうです。

なかには、部員が通っていた保育園や、部員の母校となる小学校に演奏に行くこともあります。

その際には、小さい頃にお世話になっていた先生たちに、自分の成長した姿を見せられます。

地域に出て活動をおこなっているからこそ、より多くの人に演奏を見てもらい、喜んでもらえるのです。

どうすれば部員自身が豊かになれるのか、いろいろな経験ができるのかを考えながら活動をしている」と常國先生は話します。

新型コロナウイルス感染症の流行を経て

画像提供:倉敷翠松高等学校 吹奏楽部

新型コロナウイルス感染症の流行で学校が休校になることもあり、いつ部活動ができなくなるかわからない状態が続きました。

そこで、1年を通して吹奏楽コンクールやマーチングの大会を中心に活動するのではなく、生徒たちにとってより充実した活動をしたいと考え、倉敷翠松高等学校 吹奏楽部では現在の活動形態をとるようになりました。

コロナ禍で変わった活動の内容として、リモートの活用があります。

コロナ禍でも岡山県外に住む講師にレッスンを受けるためにリモートでの指導をおこなってもらった結果、学校に来てもらっていたときよりもレッスンの頻度を上げられたそうです。

また、遠方のチームとリモートで交流する機会を設けられました。

「コロナ禍のなかでも頑張っていたことを無理にもとに戻す必要はないし、得たものはそのまま使っていけばいいと思いました」と、常國先生は話します。

倉敷翠松高等学校 吹奏楽部の魅力

倉敷翠松高等学校 吹奏楽部は、一つ一つのステージを部員が主体的に作り上げていく点が魅力の一つです。

大会の演目を決める際には部員が関わることはない、というチームもあります。

しかし、倉敷翠松高等学校 吹奏楽部では大会の演目で用いる曲の候補を部員から募ったり、オリジナル曲の題名を募集したりするだけでなく、ソロ演奏での振り付けも部員自身が考えるなど、生徒自身がクリエイティブに活動に参加しています

また、定期演奏会のテーマや演出も部員が関わって決めており、チラシのデザインも吹奏楽部員がしているそうです。

決して楽ではないけれど、「自分たちの作った本番である」と胸を張って言えるステージを、吹奏楽部一丸となって作り上げています。

「これをやりなさい」という指示ではなく、「こんなことやってみない?」という提案を通して、生徒が主体的に活動に参加できるように指導者である常國先生はサポートに回っているそうです。

バズっている2人「すんくん」と「みんちゃん」

左:みんちゃん、右:すんくん

2023年(令和5年)2月、倉敷翠松高等学校公式TikTokに新制服の紹介で登場しバズった2人の生徒、「すんくん」と「みんちゃん」。

この2人は、吹奏楽部の部員なのです。

高校の新制服の紹介がバズったことを受けて、体操服や吹奏楽部のユニフォームの紹介動画もアップされました。

高校の公式TikTokですが、すんくん、みんちゃんのファンがついているほどの人気ぶりです。

また、2人が出演している動画には、卒業を惜しむコメントがたくさんついています。

SNSで人気が出た2人ですが、吹奏楽部での活動の合間を縫って動画を撮影していたそうで、吹奏楽部の活動に影響が出ることはなかったそうです。

部活動もTikTokの撮影も楽しみながらやっていましたよ」と、常國先生が教えてくれました。

これからの吹奏楽部、「部活動」について

常國先生は、「これからの倉敷翠松高等学校 吹奏楽部の活動でも、“生徒たちにとって魅力ある活動であること”を大切にしていきたい」と話します。

学校の中にいると、コロナ禍を経た現在、生徒の部活離れが加速しているように感じているそうです。

昔は部活動に打ち込むことが学生生活の楽しみの一つでしたが、今では部活動以外にも楽しいことや、やりがいがあふれています。

それでも、部活動だからこそできること、部活動でしかできないことはあるのです。

団体で一つのものを作り上げることも、同じ目標に向かって努力することも、一人ではできません。

倉敷翠松高等学校 吹奏楽部は、これからも部員が主体的に動き、自分の心を豊かにすることで、振り返ったときに「良い経験だった」と胸を張って言えるような活動を続けていきます。

おわりに

吹奏楽部の部員は誰を見ても表情がいきいきとしており、部活動を心から楽しんでいるのだろうと感じました。

そんな彼らが作り上げるステージを、定期演奏会で見られます。

定期演奏会フライヤー 画像提供:倉敷翠松高等学校 吹奏楽部

倉敷翠松高等学校 吹奏楽部の定期演奏会は、2024年3月14日(木)に倉敷市民会館で開催されます。

水晶のように磨き上げられた音楽と力がみなぎるパフォーマンスを、見に行ってみてください。

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