英王室公開のキャサリン妃の写真、4通信社が取り消し 「加工」の可能性を指摘

英王室が公開したキャサリン皇太子妃の写真について、通信社4社が10日、配信を取り消した。「加工」された懸念があるとしている。

この写真は、椅子に座ったキャサリン妃を子ども3人が囲んでいる。ウィリアム皇太子が撮影し、母の日(イギリスでは今年は3月10日)に合わせてケンジントン宮殿が提供した。

AP通信はこの写真について、同社の基準を「満たしていない」として、通信社の中で最初に配信を撤回。「シャーロット王女の左手の位置に矛盾」が見られると説明した。

ケンジントン宮殿はこの件についてコメントを出していない。

キャサリン妃は2カ月前に腹部を手術しており、それ以来、公の場に姿を見せていない。今回の写真は手術後で最初の公式写真だった。

写真は

された。「この2カ月間の心のこもった思いと、変わらない支援をありがとう」、「みなさんにとってよい母の日になりますように」といった、キャサリン妃のメッセージが添えられていた。

皇太子夫妻が家族の特別な日に写真を公開するのは、近年の恒例となっている。多くの場合、キャサリン妃が撮影した写真で、王室はどう使用できるかの指示とともにメディアに提供する。

通信社が続々と

今回の写真は、イギリスの全国紙の一面や、BBCニュースを含むニュースサイトなどに掲載された。また、BBCを含むテレビ局のニュース放送でも使われた。

ところが10日夜になって、この写真を配信した国際通信社の一つのAP通信が、業界で取り消しを意味する「キル・ノーティス」を発表。「精査した結果、情報源が写真を加工したとみられる。差し替え写真の配信はない」とした。

続いてロイター通信も、「掲載後の検証の結果」として写真の取り下げを発表。さらにAFP通信も「強制的キル・ノーティス」を出した。

これにゲッティイメージズも続き、写真を撤回した通信社は4社となった。

イギリス最大のニュース通信社のPAメディアは、この写真を削除していないと明らかにした。英王室は通常、PAメディアを通して、BBCなどに公式情報を提供している。

PAメディアの広報担当は、加工の懸念が出ていることについて、ケンジントン宮殿に早急な説明を求めているとした。

報道機関の大部分は、加工された写真の使用について独自の厳格なガイドラインを定めている。オリジナルに手を加えてあると説明を添えた場合に限って、加工した写真を使えるなどとしている。

そのため、報道機関に写真を配信するAP通信などの通信社は、デジタル加工されていない正確な写真を自分たちは配信すると約束している。

AP通信は社内規則で、カメラのセンサーに付着したほこりを取り去るなど、特定の状況での「軽微な調整」のみ許可している。

病状めぐる憶測は鎮まらず

現在42歳のキャサリン妃は、腹部の手術を受けた後、ロンドン中心部リージェンツ・パーク近くのロンドン・クリニックで13泊した。

王室はキャサリン妃の病状について、詳しいことはほとんど明らかにしていない。ただ、がんとは無関係だとしている。ソーシャルメディアでは、さまざまな憶測が飛び交っている。

キャサリン妃の入院中、王室は同妃が個人的な医療情報は非公開にすることを望んでいると説明していた。また、同妃が「子どもたちのためにできるだけ平常を保ちたい」と望んでいると付け加えた。

王室は、キャサリン妃の回復に関する発表は、重要な新情報がある場合のみ行うとしている。

キャサリン妃の姿が公の場で見られないことをめぐっては、過激な憶測も出ている。今回の写真が10日朝に公開されると、それらがいくらか収まるとみられていた。しかし数時間のうちに、ソーシャルメディアはシャーロット王女の左袖口とルイ王子の指の拡大画像で騒然とした。

(英語記事 Princess of Wales: Kate image withdrawn by four news agencies amid 'manipulation' concerns

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