松田町のAIバス、利用伸び悩み 運賃収入は想定の2割 新しい交通システムも“様子見”の町民多く

昨年10月に運行開始した松田町のAIオンデマンドバス「のるーと足柄」

 人工知能(AI)を活用し、神奈川県松田町が昨年10月から運行を開始したAIオンデマンドバス「のるーと足柄」が伸び悩んでいる。自由なルートをスマートフォンで予約できる「路線バスとタクシーの中間」という新しい交通システムも“様子見”の町民が多く、初年度の運賃収入は当初想定の2割しかなく事業全体で約2800万円の赤字となる見込み。町は高齢者への運賃助成やエリア拡大でてこ入れを図り、2026年度までに赤字解消し、事業の「自走化」を目指す。

 AIバスは路線バスの減便で課題となる高齢者の足の確保を狙い、町が3年間の実証実験として一般社団法人「足柄オンデマンド」に委託。松田、大井町内の約250カ所のバス停間には決まった路線のルートはなく、スマホのアプリで最寄りのバス停や目的地を予約すると、AIが乗り合い客の乗降時間や場所から効率的なルートを解析する。

 運賃は会員登録による定額制を導入し、家族割のパスポートなら一家5人まで月6千円で乗り放題となる。パスポートを購入しない場合、中学生以上は1回300円で利用できる。

 町による今年2月末までの5カ月間の集計では、乗客数は約8500人(1日平均68人)で、町が24年度の目標とする8万6千人(同240人)には遠い。登録者数も初年度目標は1500件だったが、約1100件だった。

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