社会保険料の負担は増加が続く
2024年4月から、自営業者やフリーランスが加入する国民健康保険料が引き上げられる見通しです。
年間の保険料上限を2万円引き上げる見通しで、89万円になります。
では、主に中小企業の会社員が加入する「協会けんぽ」の健康保険料は、どのように改定されるのでしょうか。
今回は、職域保険の1つである協会けんぽの保険料率が、都道府県ごとにどう変わるのか確認しましょう。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
健康保険料とは?
健康保険料は、国民の病気やけが、休業した場合に保障を受けられる公的医療保険制度に必要な費用です。
日本では、すべての国民がいずれかの健康保険に加入しています。
- 国民健康保険:自営業者やフリーランス
- 被用者保険:会社員や公務員など
- 後期高齢者医療保険:原則75歳以上の高齢者
それぞれの保険料率は、保険者や各都道府県で異なります。
このうち国民健康保険では、上限額の引き上げが予定されています。
限度額の上限に達する年収の目安は、給与収入、年金収入ともに約1140万円になります。
所得としては、約980万円です。
では、被用者保険の1つである「協会けんぽ」では、2024年度から保険料率がどのように変わるか、都道府県ごとに確認しましょう。
保険料率を都道府県ごとに確認
都道府県ごとに、協会けんぽの保険料率が2024年度からどう変わるのか確認しましょう。
保険料率を引き上げる都道府県
保険料率を引き上げる都道府県は、以下の通りです。
- 福島県:0.06%引き上げ
- 群馬県:0.05%引き上げ
- 新潟県:0.02%引き上げ
- 富山県:0.05%引き上げ
- 石川県:0.28%引き上げ
- 福井県:0.16%引き上げ
- 山梨県:0.27%引き上げ
- 長野県:0.06%引き上げ
- 岐阜県:0.11%引き上げ
- 静岡県:0.10%引き上げ
- 愛知県:0.01%引き上げ
- 三重県:0.13%引き上げ
- 滋賀県:0.04%引き上げ
- 京都府:0.04%引き上げ
- 大阪府:0.05%引き上げ
- 兵庫県:0.01%引き上げ
- 奈良県:0.08%引き上げ
- 和歌山県:0.06%引き上げ
- 広島県:0.03%引き上げ
- 山口県:0.24%引き上げ
- 香川県:0.10%引き上げ
- 愛媛県:0.02%引き上げ
- 大分県:0.05%引き上げ
- 宮崎県:0.09%引き上げ
保険料率を引き上げたのは、24の府県でした。
では、保険料率を据え置いた都道府県を確認しましょう。
保険料率を据え置く都道府県
保険料率を据え置いた都道府県は、神奈川県のみでした。
保険料率は、2023年度と同じく10.02%です。
保険料率を引き下げる都道府県
保険料率を引き下げた都道府県は、以下の通りです。
- 北海道:0.08%引き下げ
- 青森県:0.3%引き下げ
- 岩手県:0.14%引き下げ
- 宮城県:0.04%引き下げ
- 秋田県:0.01%引き下げ
- 山形県:0.14%引き下げ
- 茨城県:0.07%引き下げ
- 栃木県:0.17%引き下げ
- 埼玉県:0.04%引き下げ
- 千葉県:0.1%引き下げ
- 東京都:0.02%引き下げ
- 鳥取県:0.14%引き下げ
- 島根県:0.34%引き下げ
- 岡山県:0.05%引き下げ
- 徳島県:0.06%引き下げ
- 高知県:0.21%引き下げ
- 福岡県:0.01%引き下げ
- 佐賀県:0.09%引き下げ
- 長崎県:0.04%引き下げ
- 熊本県:0.02%引き下げ
- 鹿児島県:0.13%引き下げ
- 沖縄県:0.37%引き下げ
22道都県で保険料率が引き下げられる見通しです。
以上から、2024年度から健康保険料率は24の府県で引き上げられ、据え置きは1県、22道都県で引き下げられます。
健康保険料は4月に納付する分から変わるので、保険料が変わったと感じたら、改定された料率で徴収が始まったと認識しましょう。
社会保険料の負担は増加が続く
国民健康保険は3年連続で増加する見通しです。
健康保険料のみならず、社会保険料の負担割合は、徐々に増加している現状があります。
財務省が発表している「国民負担率」をみると、2023年における社会保障の負担率は、18.7%となる見通しです。
10年前の2013年は16.9%、20年前の2003年は13.6%と、徐々に負担率は増加しています。
社会保障における今後の改定にも注目
2026年4月からは、異次元の少子化対策の財源として利用される「支援金制度」も始まります。
支援金制度は、健康保険料とあわせて徴収する予定なので、今後も負担が増す見通しです。
健康保険料や介護保険料といった社会保険料が増加すると、私たちの手取りが減少する原因にもなり、生活を圧迫するでしょう。
引き続き、制度の改定や負担の増加といったテーマについては、注目が集まります。
参考資料
- 厚生労働省「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」
- 全国健康保険組合「令和6年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます」