今に伝わる張壁古堡の瑠璃芸術 中国山西省介休市

今に伝わる張壁古堡の瑠璃芸術 中国山西省介休市

山西省介休市の張壁古堡にある空王殿の屋根に施された竜の形をした瑠璃釉の装飾。(資料写真、太原=新華社配信)

 【新華社太原3月12日】古代の中国で宮殿や廟宇(びょうう、先祖をまつる建物)、仏塔などの寺院建築の装飾に広く用いられてきた瑠璃(るり)は陶磁器と彫刻の技術が一体となった総合的な伝統手工芸品で、鮮やかな色彩と変化に富んだ造形を特徴とする。

 瑠璃芸術の宝庫、山西省介休市には現在、全国重点文物保護単位(国宝・重要文化財)が11カ所、瑠璃装飾を用いた建築の遺構が約百基ある。同市の観光地、張壁古堡には数百年の歴史を持つ瑠璃の工芸品が数多く保存されている。

今に伝わる張壁古堡の瑠璃芸術 中国山西省介休市

山西省介休市の張壁古堡にある明の万暦41(1613)年に再建された空王殿の屋根に施された瑠璃釉の装飾。(資料写真、太原=新華社配信)

 張壁古堡の中で最も精美な瑠璃装飾は空王殿の屋根に見られる。明の万暦41(1613)年に再建された空王殿の屋根は、黄、緑、孔雀青(濃い青緑)3色の瑠璃釉を用いた装飾で覆われており、竜や鳳凰、牡丹、武士などさまざまな彫刻が施され瑠璃芸術の神髄と称えられている。中でも空王殿の庇(ひさし)の下にある瑠璃碑2基は、国内でこれまでに発見された唯一の明代の瑠璃碑。孔雀青の色彩が鮮やかで、釉薬の下の文字も読みやすく、学術的・芸術的価値が極めて高い。

 張壁古堡の瑠璃装飾の保存状態が良いのは、軍事要塞として位置付けられていたことと密接に関係している。古堡の責任者、路楊(ろ・よう)氏によると、張壁古堡はかつて北方遊牧民族が活動していた地域と中原地域(黄河中・下流域)の境に位置し、人々は外敵の侵入を防ぐため軍民両用の城塞を築いた。城壁は高く、地下には10キロにわたって延びるトンネルがあり、戦いの時には兵士の駐屯と食料の保管に使用されたという。

今に伝わる張壁古堡の瑠璃芸術 中国山西省介休市

空王殿の庇の下にある孔雀青の釉薬がかけられた瑠璃碑。国内で発見されている唯一の明代の瑠璃碑となっている。(資料写真、太原=新華社配信)

 地元では古代の瑠璃芸術だけでなく、現代人の美的感覚に合う瑠璃のイメージの発掘にも力を入れ、瑠璃製品を市場向けに大量生産している。中でも最も有名な神獣の「獬豸(かいち)」は愛らしい造詣がネットで人気を集めている。

 路氏によると、「獬豸」は中国古代の伝説上の神獣で勇猛と正義の象徴として建物の屋根に置かれた。昨年末、フランスのルーブル美術館で行われた展覧会に登場した「獬豸」は現地の人々の注目を集め、関連グッズはわずか数日で完売したという。(記者/解園)

今に伝わる張壁古堡の瑠璃芸術 中国山西省介休市

山西省介休市の張壁古堡にある明の万暦41(1613)年に再建された空王殿の屋根に施された瑠璃釉の装飾。(資料写真、太原=新華社配信)

今に伝わる張壁古堡の瑠璃芸術 中国山西省介休市

山西省介休市の張壁古堡にある空王殿の屋根に施された武士の形をした瑠璃釉の装飾。(資料写真、太原=新華社配信)

今に伝わる張壁古堡の瑠璃芸術 中国山西省介休市

空王殿の庇の下にある孔雀青の釉薬がかけられた瑠璃碑。国内で発見されている唯一の明代の瑠璃碑となっている。(資料写真、太原=新華社配信)

今に伝わる張壁古堡の瑠璃芸術 中国山西省介休市

フランスのルーブル美術館で2023年末に行われた展覧会に登場した張壁古堡の神獣「獬豸(かいち)」をモチーフにした瑠璃工芸品。(資料写真、太原=新華社配信)

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