仲野太賀、名前でイジリ倒されてきた過去も 念願の大河主演に「全部が繋がってるんだな」

2026年のNHK大河ドラマが『豊臣兄弟!』となることが発表された。主演を仲野太賀が務め、脚本をNHK連続テレビ小説『おちょやん』、『半沢直樹』(TBS系)などの八津弘幸が手がける。

仲野が演じるのは、“天下人”豊臣秀吉の弟・豊臣秀長。戦国時代を舞台に、熱い兄弟が夢と希望を胸に突っ走る、下克上サクセスストーリーとなる。

大河ドラマの主演という偉大なバトンの重みを感じながらも、ワクワクしているという仲野。主演を務めることは昨年の10月~11月頃に告げられた。仲野“太賀”という名前から、幼少期、さらに俳優を始めてからも「太賀がいつかは大河ドラマの主演になればいいね」とイジリにイジリ倒されてきたと明かしつつも、大河ドラマの主演は俳優として目標にしていたことだった。

「あまりにも大きな、そして遠い夢だったけど、いざ直接お話をいただいて、これまでたくさんの仕事をさせていただいて、大きな仕事から小さなセリフのない役をやったりだとか。そういうことの一個一個の積み重ねでしかなかったんだなというのが実感としてあります。全部が繋がってるんだなっていうふうに思えます。無駄なことは何一つなかったし、これがゴールではないですが、こんな日を迎えられることができて、俳優をやっていてよかったなと思います」

仲野は2011年放送の大河ドラマ『江~姫たちの戦国』で豊臣秀頼を演じていた。豊臣家には「縁がある」と感謝を示しながら、補佐役の秀長にしか見えない秀吉の側面があったのではないかと語る。「秀長にとって秀吉は太陽のような存在なのかなと思っていて、秀長自身も誰かの太陽になり得ることができるんじゃないかと。それはきっとどの時代でも言えることで、人間と人間同士のドラマが描かれるのかなと、勝手に思っています」と八津にアイコンタクトを送ると、八津は「分かりました」と笑みを浮かべながら応えていた。

「NHKで大河ドラマをやるのが夢だった」という八津は、戦国時代を描くことにまだ迷いがあると今の心境を吐露する。それは、武力で侵略していくのが正しいとされる戦国時代を今の令和に描いていくということ。その一方で、「若い人たちも楽しめるようなメッセージを伝えていけたら、それが未来に繋いでいくことができる」と希望も見出しているようだ。『どうする家康』をはじめ、昨今の大河ドラマではサイコパスな面が強調されがちな秀吉だが、今作ではカラッとしていて天然な秀吉に、秀長が好き勝手なことを言われながらも必死になって物事を実現していく兄弟の様子を描いていくという。

『半沢直樹』を筆頭にして、どんでん返しが起きる脚本が魅力の一つと言える八津。今回は史実というすでに出来事の結末が決まっている物語となるため、そこはある種の挑戦とも言えるポイントであり、わずかな可能性(if)を模索しながら、「史実とエンタメをせめぎ合わせていくのが課題」だと八津は語る。

NHK連続テレビ小説『らんまん』、『お別れホスピタル』などを手がけてきた制作統括の松川博敬は、会見終わりの囲み取材で物語は秀長が亡くなるところがゴールになると明かしつつ、エピローグとして秀吉の物語も描く可能性があると話す。

秀長と並び本作の重要人物となる秀吉のキャストはこれから決めていくとし、「仲野さんとのコンビネーションを重視して、“豊臣兄弟”と言った時のワクワクした感じ」をキャスティングの決め手とした。撮影には『どうする家康』で使用されたバーチャルプロダクションを導入し、「継承して進化させていく」と明言。タイトルに使われている「!」には、兄弟の若々しい躍動感が表現されている。

秀長にとっての地元は、奈良県大和郡山市。演出は『らんまん』の渡邊良雄が担当する。2025年夏にクランクイン予定、放送予定は2026年1月。

(文=渡辺彰浩)

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