フジテレビの2024年アニメのラインアップが発表。野沢雅子は“かめはめ波”を披露

フジテレビ系で2024年4月以降に放送される、深夜アニメ枠「ノイタミナ」「+Ultra」「B8station」の放送ラインアップおよび、ショートコンテンツや映画などの最新情報を発信する 「フジテレビ アニメラインナップ発表会 2024」が開催。作品に携わる声優陣が出席し、それぞれの作品の見どころや意気込みを語った。

イベントの冒頭では、フジテレビジョン専務取締役の大多亮氏が登壇。急逝した漫画家・鳥山明さんと声優・TARAKOさんの訃報を受け、「ただ驚きと悲しみの思いでいっぱいでございます」と触れた。自身が入社した1981年は、「Dr.スランプ アラレちゃん」が大流行した年で、「鳥山作品の影響力のすごさに、日本のアニメの歴史の転換期にあるということを肌で感じた」と振り返った。さらに「TARAKOさんがお亡くなりになったのは、3月3日で桃の節句の深夜、日付が変わった頃だったと伺いました。今頃、(天国で)さくら(ももこ)先生とお酒を飲みながら『もうすぐ花見だね、今年は一緒にお花見ができるね』と会話をしているのではと想像しております」と語り、追悼した。

その後、「+Ultra」(水曜深夜0:55)枠のラインナップ発表へ。

4月10日にスタートする「喧嘩独学」のキャスト、丹羽哲士、岡本信彦、ファイルーズあい、石川由依、石川界人が登壇。「喧嘩独学」は、世界で20億回読まれたLINEマンガで連載された作品を映像化。母親の入院費を稼ぐために貧乏生活を送る、スクールカースト最底辺の高校生・志村光太が主人公で、クラスメートのカネゴンと殴り合う様子が誤って全世界に生配信されたことがきっかけで、けんか動画の配信者として成り上がる物語だ。

主人公・光太の声を務める丹羽は、主役が決まったことを家族に連絡した際、「よかったね、ありがとう。これからもよろしくね」と言われたらしく、本人以上に家族が動揺していたことを明かした。そして、本作の見どころについては「志村がボコボコにされるたびにはい上がっていく姿に心打たれたので、皆さんにもそれを早く届けたいです」と語った。

同枠では、2023年10月期に放送された「カミエラビ」の第1期を7月から再放送。10月からは「カミエラビ」の第2期がオンエアされる。「カミエラビ」は、平凡な高校1年生の少年・ゴロー(声・浦和希)が主人公。突然「大いなる意志」に選ばれ、「神様」の座を懸けて、ほかのカミサマ候補たちと殺し合うことになったゴローの戦いを追う。

25年1月からは、21年に実写映画化もされた「ハニーレモンソーダ」。「ハニーレモンソーダ」は、レモン色の髪のイケメン男子高校生・三浦界と、中学時代にいじめられていた過去を持つ女子高生・石森羽花のピュアなラブストーリーだ。

さらに、アニメ制作プロダクション「ボンズ」25周年記念のオリジナルテレビアニメで、現在放送中の「メタリックルージュ」の、ルジュ・レッドスター役の宮本侑芽と、ナオミ・オルトマン役の黒沢ともよがVTRで登場。作品をPRするメッセージが公開された。

続けて「ノイタミナ」(木曜深夜0:55)枠の放送スケジュールが発表。

22年に、高橋留美子氏の人気漫画「うる星やつら」を約36年ぶりにアニメ化し、現在第2期が放送中の「うる星やつら」から、諸星あたる役の神谷浩史と、ラムを演じる上坂すみれが壇上へ。

好きなエピソードを聞かれた神谷は、宇宙人が持ってきたイヤーマッフルをつけると、つけた人同士の中身が入れ替わる「イヤーマッフルの怪」を挙げ、「あたるがテンちゃんと入れ替わって、見た目はあたるだけど、関西弁とも何とも言いがたい謎の言語を操ることになって、すごい楽しかったです」と説明。一方の上坂は「ラムちゃん、牛になる!?」を挙げた。その理由として「ラムちゃんの角とか手が牛になっちゃうギャグっぽい要素のあるストーリーなんですけど、あたるは牛になったラムちゃんを好きでいてくれるのかと、真剣に考えているラムちゃんがかわいくて面白かったです」と笑顔でコメントした。

この日は、6月12日発売予定の「うる星やつら」Blu-ray・DVD第3巻のジャケット&プロモーションビデオ(PV)が公開され、特典CDとして初代アニメエンディングテーマ「宇宙は大ヘンだ!」がカバーされることも明らかになった。どんな形で誰がカバーするのか、期待が高まる。

次に、男子だけどかわいい物が大好きで、女の子の姿で高校生活を送る“男の娘”・花岡まことが主人公の「先輩はおとこのこ」が、7月にスタートすることが発表され、まこと役の梅田修一朗と、まことは“女の子だと勘違いしたまま”の後輩女子・蒼井咲役を担う関根明良が登場。まことのようなキャラクターを演じるのは初めてだという梅田は、「まこと自身が自分のことをどう感じているかとか、まことは自分の好きなものをどう考えているかとか、どういう思いを抱えながら過ごしているのかと考えながら演じました」と回顧した。

そして、人気シリーズの新作「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-京都動乱」が、10月から2クール連続で放送されることが明らかになったほか、22年7月に放送された「よふかしのうた」の第2期が制作されることも解禁された。

さらに、「B8station」(水曜深夜1:25)枠の新作も2本初披露された。

4月からは、写真館を経営するトキとヒカルが、特殊な能力を駆使してさまざまな依頼を遂行していく姿を描いた、中国発祥のマンガが原作の「時光代理人 -LINK CLICK-」のシーズン2がスタート。壇上に主人公・トキ役の豊永利行が登場し、2年ぶりに制作される作品の魅力を、与えられた7分が「短すぎる(笑)」と不満をもらしつつアピールした。

前作の最後で、トキが刺されたことに触れて「第2期からは犯人探しになります。過去の親子の話を含めてハートフルなエピソードが散りばめられているんですが、急にミステリー(サスペンス)になるんです。そこからの展開は今までと違う見え方になるんじゃないかと思います」と話し、加えてアクションシーンが多くなり、見応えたっぷりな作品になっていることを明かした。

7月期の作品は「下の階には澪がいる」。キャラクターの声を務める声優もこの日初解禁され、その中から河本啓佑、大久保瑠美、沼倉愛美が紹介された。「下の階には澪がいる」は、中国で約6000万回の再生数を記録したアニメが原作。Netflixでは、同作を原作とした韓国ドラマ「イ・ドゥナ!」が配信されている。大学に受かり1人暮らしをすることになった大学生・杉浦陽が、下の階に住む謎多き元アイドル・如月澪(声・坂本真綾)と出会い振り回されていく。澪に振り回される陽役に決定した河本は、「イ・ドゥナ!」での陽にあたるイ・ウォンジュン(ヤン・セジョン)の吹き替えを担当している。

そんな河本は、自身が演じる役について「ごく普通な男性で特に秀でたこともないけど、僕としてはそんなにマイナスなこともあまり持っていないというか、意外とやる時はやるし、親しみやすいキャラクターかなと思います」と分析した上で、「アプローチをかけられると揺れてしまうんですが、そこは最近の若者のイメージかな」と付け加えた。

その後、映画とショートアニメのパートに移り、2024年秋公開の2作が伝えられた。

一つ目は、20年に公開されたキヅナツキ氏原作による映画「ギヴン」の続編で、現在公開中の、映画2部作となる前編「映画 ギヴン 柊mix」に続く、後編「映画 ギヴン 海へ」。もう一つは、11年公開のヒット映画「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の脚本家・岡田麿里氏が手掛ける映画「ふれる。」。さらに、乃木坂46一期生・高山一実の長編小説デビュー作が原作で、高山もシナリオ制作などに関わった映画「トラペジウム」(5月10日公開)で、主人公・東ゆう役を担う結川あさきから、VTRコメントが到着。「見どころは、ゆうがアイドルになるまでの過程を繊細に描いているところです! 高山先生ならではの表現で、リアルな女子高生としての青春や女子高生目線で描かれた高校生活に注目してください」とアピールした。

また、10月から昼の情報バラエティー「ぽかぽか」(月〜金曜午前11:50)内で放送されるショートアニメの作品が、「ねこに転生したおじさん」に決まったことも分かった。

「ねこに転生したおじさん」は、ある日突然、ねこに転生してしまったおじさんが、働いていた会社のこわもての社長に拾われ、社長の溺愛に戸惑いながらも愉快な“ねこおじ”ライフを送る様子をつづった、SNSで話題沸騰の笑って癒やされる漫画が原作だ。会場には、ねこに転生したおじさん・プンちゃんが登場し、かわいい動作で作品の面白さを表現。ほっこりとした空気が流れた。

イベントの最後に登場したのは、鳥山さんの代表作「ドラゴンボール」の最新作となる「ドラゴンボールDAIMA」(24年秋放送)から、孫悟空の吹替に長年携わってきた野沢雅子と、「カプセルコーポレーション・トーキョー」のプロデューサー・伊能昭夫氏。

2人は「DRAGON BALL」40周年記念作品にもあたる本作が、24年秋に世界に向けて展開されることについてトークしていった。いろいろなことを話したいサービス精神旺盛な野沢と、それを制止する伊能氏。長年付き合いのある2人だからこそのやりとりに、会場は笑いに包まれた。

野沢は「ドラゴンボールDAIMA」のメインキャストらで製作したというブルゾンをお披露目するなど、終始笑顔で会見に臨み、亀仙人が編み出した孫悟空の得意技「かめはめ波」のポーズを決めると、すべてのプログラムが終了した。

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