「投資ブーム」でお小遣いアップのサラリーマン…怪しい会社に「そんなに儲かるなら自分でやらないんですか?」

(※写真はイメージです/PIXTA)

「お小遣い、減らしていい?」の絶望の一言…。サラリーマンのお小遣い事情。実態はどのようになっているのだろうか? 『2023年サラリーマンお小遣い調査』の結果などとともにみていこう。

サラリーマン「お小遣いアップ」の意外な裏側

『2023年サラリーマンお小遣い調査』(新生銀行グループ)によると、男性会社員の毎月のお小遣い額の平均は40,557円。前年比1,915円増と、 2010年以降初の40,000円台になった。年代別では20・40代は増加、30・50代は減少と、年代間で違いがみられる結果となっている。

女性会社員の毎月のお小遣い額は35,001円と、2014年以降の最高額となった。年代別では20代が最も高く、39,980円となっている。

昨今の物価高に照らせばお小遣いアップは妥当とみられるが、お小遣い額が「アップした」と回答したのは6.9%。「ダウンした」と回答したのは9.3%で、ごく一部のお小遣い増加が全体値に影響を及ぼしたといえよう。

さて、男性会社員におけるお小遣いがアップした理由を見ていくと、「給料が上がったから」が60.9%で最も高く、「副業をはじめたから」13.8%、「投資などを始めたから」16.1% と続く。女性社員におけるお小遣いがアップした理由を見ていくと、「給料が上がったから」が52.8%、「副業をはじめたから」22.2%、「ランチにお金をかけるようになったから、かかる金額が増えたから」16.7%。男女で多少の違いがみられる。

ここで気になるのは男性会社員お小遣いアップ理由の「投資などを始めたから」。実際、「サラリーマンが始める不動産投資」といった広告を目にしたことのある人もいるのではないだろうか?

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…投資に興味を持った人は、多かれ少なかれ上記のような文言を見たことがあるだろう。「定年まで勤め上げ」の文化が廃れつつあり、副業ブームも加速する今、投資への関心・意欲は日本全体で高まっている。

加熱する投資ブーム「サラリーマン向け」が増える恐怖

需要あるところに、怪しい供給あり。最近では「腕時計シェアリングサービス」を展開していた会社「トケマッチ」が突然解散を発表し、「預けていた高級時計が返ってこない」と被害を訴える人が相次いだ。

また、2020年にも高級車カーシェアリングが問題となったことを覚えているだろうか。

詳細は割愛するが、カーシェアリング会社「SKY CAR SHARE(スカイカーシェア )」はメルセデス・ベンツなどの中古高級車への出資者を募っていた。同社がカーシェアリングを以て運用し、投資家に還元するというスキームで運営していたのだが、融資を受け契約していたのは、月収20万円~30万円のサラリーマンも多かったという。同社が破産申請をしたことによってこの投資が世の明るみになったわけだ。

巷のコメントには「なんでこんなものに騙されるのか、意味が分からない」「自分で運転もしないのになんで高級車を買うんだ」といった意見が散見されていた。実際、そう思う人も多いことだろう。しかし、「自分は騙されない」と考える方、「ちょっと気になる…」と考える方。どちらも注意してほしい。

「資産10億円」の考えてみれば「当たり前の事実」

どんな種類のものであれ、投資セミナーには参加したことはあるだろうか。

投資に興味がある人は必ずといってよいほど参加を促されるセミナー。多くの場合は無料で開かれている。冷やかし半分で行ってみたり、購入前提で参加したり、理由は様々あると思うが、もし今後視聴する際には以下の点に気をつけてほしい。

●表面利回りと実質利回り(諸経費を差し引いた利回り)をどちらもしっかり説明しているか

●セミナー配布資料に明らかな無断転載はないか(データの出典を明記しているか)

●コロナ以前の市況データをもとに話していないか

相手は「商品を買わせるプロ」だ。聴講者が疑いにかかっていることは重々承知だろう。その上で「買わせる」ことを生業としているのだから、営業トークは抜群に上手いケースも多い。たとえばの話、1棟10億円の物件を買ったとしよう。実態は借金だらけの空室まみれだったとしても「資産10億円」と宣うことは可能なのだ。

「そんなに儲かるなら自分でやらないんですか?」

「何を言っているか」も当然大切だが、「何を言っていないか」が投資のシーンでは重要だ。まともな投資会社であったら、リスクもあることを説明した上でセミナー資料をもとに講習会をするだろう。いきなり参照元不明なデータを出してきたり、コロナ前の好景気を大前提にして「この商品だとこんな儲かります!」と伝え続けていたりしたら要注意である。

そんなときは思い切って「そんなに儲かるなら自分でやらないんですか?」と聞いてみるのもよいかもしれない。うまく切り返せないのなら、やはり何かしらのリスクが潜んでいるに違いない。

加熱する投資ブーム。「楽さ」や「安心」を謳う会社は多いが、そもそも勉強しかり、仕事しかり、「初心者でも簡単!」だったことはあるだろうか。一方的に与えられる情報には、十分気をつけていきたい。

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