宮古の陸自ヘリ墜落 「ロールバック」現象と推定 エンジンの出力低下

(資料写真)陸自のUH60JAヘリ=2004年撮影

 【東京】昨年4月に沖縄県の宮古島付近で、陸上自衛隊のUH60JAヘリコプターが墜落し10人が死亡した事故を巡り、陸自は14日午後、事故調査結果の報告書を発表した。ヘリに二つあるエンジンのうち一つで、徐々に出力が低下する「ロールバック」という現象が発生したと推定。もう一方のエンジンも次第に出力が低下して墜落したが、その原因は「特定に至らなかった」としている。

 陸自によると、「ロールバック」はエンジン制御装置へ空気を送り込む管に、詰まりや漏れなどの異常があった際に起きる「まれな現象」。これまで自衛隊機では確認されたことがなかったという。

 この現象により、まず一つ目のエンジンの出力が数十秒かけて急低下。UH60JAヘリは片方のエンジンのみでも飛行できる仕様だが、その後約1分かけて、二つ目のエンジンも出力が低下し、墜落したと結論付けた。

 二つ目のエンジンの出力が低下した要因は、機械的異常やパイロットの操作によるものとみて調査を進めたが、いずれも裏付ける根拠が不足しており、特定には至らなかった。

 一つ目のエンジンでロールバックが発生したと裏付ける確証も得られなかったという。

 事故は昨年4月6日に発生。乗っていた陸自幹部ら10人が死亡した

 陸自の事故調査委員会は、海底から引き上げた機体の破損状況やフライトレコーダー(飛行記録装置)の解析などを実施。部外の専門家にも意見を照会するなどしていた。

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