ゴルフカートを住民の足に…逗子市の肝いり事業取りやめ、議会で疑義相次ぐ

実証実験関連事業費を削除する一般会計当初予算案の修正案の採決=14日、逗子市議会

 神奈川県逗子市が今秋予定していたゴルフカートと同等の小型車両「グリーンスローモビリティ(GSM)」の運行実証実験を巡り、同市議会は14日の第1回定例会本会議で、2024年度一般会計当初予算案から関連事業費348万円を全額削除する修正案を賛成多数で可決した。桐ケ谷覚市長の肝いり事業の一つだったが、市議会からは事業手法に対する疑義の声が相次ぎ、事業の取りやめに追い込まれた。

 GSMは7人乗りの電動車で、時速20キロ以下で公道を走ることができる。実証実験の計画では、導入地域は運行を希望する自治会を公募し、運行の運用は住民が担うとしていた。普通免許が必要な運転手も住民から募集する予定で、市民の乗車料金は無料としていた。市は「高齢者の新たな足になる」と期待していた。

 この日の本会議の討論で、松本寛氏(無会派)は「ボランティア任せで市は地域振興を真剣に考えていない。中途半端なことで既存バス路線の撤退を招いてはいけない」と批判。平野和之氏(同)は「人件費を行政が払うなどの支援をしなければ継続していくのは難しい」と反対した。

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