川崎の支援施設で障害児死亡、運営者側に賠償命令 判決で職員の過失認める

男児との写真を手に持つ母(右)と兄=川崎市役所

 川崎市中原区の障害児支援施設「市中央療育センター」で2016年、短期入所中の男児=当時(9)=が死亡した事故を巡り、両親らが、同センターを運営する社会福祉法人「同愛会」(横浜市保土ケ谷区)と女性職員に、計約1億2800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁川崎支部(桜井佐英裁判長)は14日、被告側に計約2690万円の支払いを命じた。原告は控訴する方針。

 判決によると、2016年12月26日未明、重度の知的障害があった男児の手足を拘束しながら寝かしつけていた女性職員が眠り込み、午前6時ごろに男児が息をしていないことに気づいた。病院に搬送されたが死亡が確認された。

 判決では、同センターの女性職員が、男児を寝かしつける際に寝入ってしまった点に過失を認め、裁判長は「窒息死に至ることも予見できた」などとした。

 一方、不眠や自傷行為があった男児に処方されていた睡眠補助の薬を、父親が施設に預けていなかったとして、原告側にも一部過失があるとした。

 原告側は「寝かしつける際に身体拘束されて窒息死した」「殴打を含む暴行を加えた」といった不法行為を主張したが、判決では認められなかった。

 原告側の代理人弁護士は、主張が認められない点や損害金額が低いのは不服として、控訴する方針。

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