東京六大学・私立「初年度は安くても120万超」…年々高くなる学費の実情

(※写真はイメージです/PIXTA)

学生に人気の高い大学群の一つである「東京六大学」。大学の学部ごとの学費を調査し、日本の厳しい教育事情について解説していきます。

東京六大学 学部・学科別学費ランキング

東京六大学とは、「東京六大学野球連盟」に加盟所属する大学群のことを指します。具体的には、東京大学、早稲田大学、慶応義塾大学、明治大学、立教大学、法政大学の6つ。各大学は入学難易度が高く人気もあり、毎年多くの学生さんが入試を受けています。

これらの大学は、東京大学を除いて学費も非常に高額です。記事作成時に発表されている初年度の学費は、東京大学以外すべての大学で120万円を超えており、2年目でも年間100万円以上かかります。またほとんどの大学・学部において、2024年度は2023年度と比べ学費が高くなります(大学ホームページより)。

具体的にみていくと、東京大学(全学部)の初年度学費が81万7,800円で最も安く、慶応義塾大学医学部が390万3,350円で最も高額です。また、文系学部が理系学部より数十万円安くなる傾向にあります。

大学の学部別にみていきましょう。早稲田大学で最も安いのは「教育学部(教育学科・国語国文学科・社会科・複合文化学科)」124万8,300円~128万8,300円(実験実習料により異なる)で、最も高いのは「先進理工学部」188万7,000円となっています。

立教大学で最も安いのは「経済学部」「法学部 法学科 政治学科 国際ビジネス法学科(グローバルコースを除く)」「観光学部」137万4,500円、最も高いのは「グローバル・リベラルアーツ・プログラムコース」210万3,500円。

法政大学で最も安いのは「文学部哲学科」131万2,000円、最も高いのは「理工学部 機械工(航空操縦学)学科」222万3,000円。

明治大学で最も安いのは「商学部」132万1,000円、最も高いのは「総合数理学部 先端メディアサイエンス学科/ネットワークデザイン学科」「農学部 農学科 農芸化学科 生命科学科」「理工学部 数学科を除く学科」182万1,000円。

慶応義塾大学で最も安いのは「文学部」140万3,350円、最も高いのは「医学部」390万3,350円となっています。

このようなお金を準備することは、多くの家庭にとって難しいことです。厚生労働省の「令和4年 国民生活基礎調査の概況」によると、日本の全世帯の平均世帯年収は545万7,000円、「児童のいる世帯」でも785万円となっています。

日本学生支援機構の「令和2年度 学生生活調査」によると、大学に通いながらアルバイトに従事している学生のうち「家庭からの給付のみで修学可能」と回答したのは49.1%。半数以上は世帯収入だけでは我が子を大学に通わせられないということです。

高額な学費のせいで学業に専念できない学生

さらに居住形態別の生活費を見てみると、自宅居住の場合、国立大学の学生で98万7,100円、私立大学の学生で170万4,100円。アパート等に居住の場合、国立大学の学生で172万1,800円、私立大学の学生で241万4,300円必要です。

家庭からの仕送りがあるとしても、足りない分は奨学金やアルバイトなどで補わなければなりません。1週間のうち、21時間以上アルバイトをしている学生は9.9%。31時間以上アルバイトしている学生は2.1%。大学後半にもなれば空いた時間をアルバイトに費やす学生は少なくありませんが、生活のために働かざるを得ない学生がいるのも明らかな事実です。

学費にシビアになっている、またはシビアにならざるを得ないご家庭も多いもの。家庭の経済状況による教育格差は今に始まったことではありませんが、経済格差の広がる現在、今後をますます悲観してしまうのも無理はありません。

少子化対策のためにも行政による支援などが求められます。一方、「自力で何とかする」なら学資保険などを活用し、何とか資産を形成していかなければなりません。

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