なぜ、雨が降りにくい? ダム貯水率が低い沖縄 高気圧の位置に注目すると…

 

毎日気になるダムの貯水率

 沖縄地方は、昨年から続く少雨の影響で、県内各地で水不足の影響が懸念されています。ダムの貯水率とにらめっこの毎日が続いています。なんとかダムにたまるような雨の降り方をしてほしいと願う毎日です。

 3月15日(金)現在の国・県・企業局の11ダムの合計貯水率は46.3%(平年値との差は-29.3ポイント)となっています。

貯水率が低下し、赤土がむき出しの福地ダム=5日午後6時過ぎ、沖縄県東村川田(竹尾智勇撮影)

 この先の天気はどうでしょうか。例として福地(ふくじ)ダムがある東村のこの先の天気予想を見てみましょう。

東村の3月31日(日)にかけての天気と気温の予想 ※3月15日(金)午前11時、ウェザーマップ発表

 今月26日(火)ごろにかけて、晴れや曇りの日が続き、まとまった雨は降らない予想となっています。ではなぜ雨が降りにくいのでしょうか。

沖縄付近は高気圧の通り道

 専門的な天気図になりますが、週間の気圧配置を見ていきますと、沖縄地方の真上を高気圧が次々に通る予想で「沖縄付近は高気圧の通り道」となっています。これが、雨が降りにくい要因の一つとなっています。

北緯30度ラインに着目

 3月に入ると、大陸の高気圧は弱まって移動性の高気圧が周期的に現れるようになります。高気圧が沖縄地方のどこを通るのかが予報の重要なポイントになってきます。

 私は"北緯30度ライン”を沖縄地方の天気予報の目安として考えています。

週間の気圧配置の予想.※14日午後9時のデータ、ウェザーマップ

 高気圧が北緯30度より北を通過、例えば朝鮮付近を通る場合には、沖縄から見ると高気圧は北に偏り、沖縄地方は高気圧のヘリにあたるため、湿った空気が入りやすくなります。そのため、曇りの天気や雨が降りやすい天気となる傾向があります。

 一方、北緯30度付近(鹿児島県の種子島・屋久島の南付近)を東へ通るコースの場合は、沖縄地方は高気圧の圏内となり、晴れやすくなる傾向にあります。

 先ほどの週間予報の気圧配置を見てみますと、19日(水)にかけては、高気圧は沖縄から見ると北に偏る予想となっています。⇒沖縄地方は曇りベースの予報

 20日(水)春分の日から22日(金)にかけては、高気圧が北緯30度ラインを通過する予想となっています。⇒沖縄地方は晴れやすい予報

 そのため、目先1週間程度はまとまった雨が降りにくい予想となっています。

 天気図を見る機会がありましたら、この時期の高気圧の位置と沖縄地方の天気予報、さらに実際の天気を比較してみると、天気をより身近に感じられるかもしれません。

三寒四温の時期

 31日(日)までの那覇の天気と気温の予想を見てみますと、来週18日(月)ごろにかけては、最高気温が24℃くらいまで上がる予想です。来週20日(水)春分の日から22日(金)ごろにかけては、一時的な寒気の影響を受けて、最低気温が13℃くらいまで下がり、日中も20℃に届かない予想です。三寒四温の時期ですので、天気予報はこまめに確認すると良さそうです。

那覇の3月31日(日)にかけての天気と気温予想 ※3月15日(金)午前11時、ウェザーマップ発表沖縄本島地方・大東島地方の予報 ※3月15日(金)午前11時、ウェザーマップ発表宮古島地方・八重山地方の予報 ※3月15日(金)午前11時、ウェザーマップ発表

週末は4月中旬ごろの気温に

 沖縄本島地方と先島諸島は、16日(土)〜17日(日)にかけて高気圧が北に偏っているため、沖縄地方は高気圧のへりにあたりおおむね曇る見込みです。大東島地方は、高気圧に覆われておおむね晴れそうです。

沖縄本島地方・大東島地方の予報 ※3月15日(金)午前11時、ウェザーマップ発表
宮古島地方・八重山地方の予報 ※3月15日(金)午前11時、ウェザーマップ発表

 最高気温は、各地とも24℃前後の予想で、4月中旬ごろの気温の予想です。

崎濱綾子
気象予報士/防災士(株式会社ウェザーマップ)
 沖縄県宜野湾市生まれ。ミスはごろもとして地元の観光大使を務める。RBC琉球放送でラジオ・テレビのリポーター、QAB琉球朝日放送で気象キャスターを担当。2005年に沖縄初の女性気象予報士となる。2005~2016年3月までRBC琉球放送の夕方のニュース番組で月~金曜日の気象キャスターを担当。2016年4月から東京の本社で勤務。Yahoo!ニュース動画出演・記事執筆を担当。Yahoo!ニュースエキスパート。好きな天気現象は、夏至南風(カーチーベー)。

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