真鶴・選挙人名簿不正持ち出し、前町長らの不法行為認定 地裁支部判決、町民に賠償命令

判決後に「町民に改めておわびしたい」と話す真鶴町の松本一彦前町長=横浜地裁小田原支部前

 神奈川県真鶴町の選挙人名簿抄本の不正使用問題を巡り、町民有志が松本一彦前町長ら4人に損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁小田原支部(前沢功裁判長)は15日、松本氏と元町選挙管理委員会書記長、元町長の青木健町議の3人に町民47人へ計56万円の支払いを命じた。

 松本氏らの名簿の持ち出しを「(町民の)プライバシーを侵害し精神的苦痛を発生させた」として「不法行為」と認定した。

 前沢裁判長は判決理由で松本氏らが持ち出した名簿に記載された氏名や住所などの情報は「プライバシーに関わる情報として法的保護の対象」と指摘。

 2019年の県知事選で投票した有権者の名前に横線が引かれ、過去の投票歴が分かる状態だったが、「(漏えいした情報が)投票の内容にわたるものではないから投票の秘密に関わる程度が顕著であるとは言いがたい」との判断を示し、原告側が求めた1人当たり22万円の賠償額のうち約1万2千円の支払いを認めた。

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