アジア勢で米ツアー最多勝の松山英樹へ KJ、丸山、青木のメッセージ

ツアー通算10勝目を狙う旅へ

松山英樹は2月の「ジェネシス招待」で2年ぶりの優勝を遂げた。ツアー通算9勝はチェ・キョンジュ(韓国)の記録を更新してアジア出身選手で最多に。PGAツアーのChuah Choo Chiang氏がオリジナルコラムで、松山に対する“世界のKJ”、そして丸山茂樹、青木功のメッセージを記した。

ツアーで最強のフィールドが形成される「ザ・プレーヤーズ選手権」を松山が制しても、アジアの先駆者たちは誰も驚かない。ここまでアジア勢最多の通算9勝を挙げた32歳はプレーヤーズで、昨年の5位を含む3回のトップ10入りがある。コロナ禍で大会が中止された2020年大会は初日に「63」をマーク。ここ2試合で優勝(ジェネシス招待)、12位タイ(アーノルド・パーマー招待)という結果を残してTPCソーグラスにやってきた。

先月のジェネシス招待で、松山は最終日に「62」をたたき出し、スタート時の首位との6打差をひっくり返すにとどまらず、最終的に後続には3打差をつけた。チェをリードしてアジア最多勝、ゴルフの歴史に新たな1ページを刻んだ。

2015年のプレジデンツカップで松山英樹と握手を交わすチェ・キョンジュ(右、Getty Images)

現在PGAツアーチャンピオンズでプレーしているチェは「彼は別物だ、というのが英樹の第一印象だった」と振り返った。「彼はジャンボジェットのように、誰もが求める、羨むような存在。ショットの時のインパクト音、ゴルフへの姿勢、周りに対する接し方といった基本ができている。あの質を保ち続ければ、偉大な選手になることはわかっていた」

プレジデンツカップで世界選抜チームに携わった丸山英樹(左)

松山は2017年初頭にツアー4勝目を挙げて丸山茂樹の勝利数を上回ると、次の目標はチェを超える9勝になった。丸山は、松山が2021年「マスターズ」優勝で日本を大騒ぎさせたように、今後さらにメジャー勝利を重ねることを期待している。「彼とはアジアで最もたくさん優勝した選手になることを約束した。ついに(チェの)記録を破り、すでにメジャーでも 1勝している。次のゴールは他の3つのメジャータイトル。全米オープン、全米プロ、全英オープンがある。しかし、それ以上にこれからも“サンデーヒデキ”の素晴らしい勝ち方を、私たちに見せ続けてほしい」

松山英樹に期待する青木功※写真は2021年「ZOZOチャンピオンシップ」

1983年「ハワイアンオープン」で優勝し、アジア勢で初めてPGAツアーを制した日本のレジェンド、青木功氏も祝福の言葉を送った。「確かに私は優勝した最初のアジア人だったかもしれないが、9勝したことで(松山は)史上最も優勝したアジア人になった。驚くべき偉業で、彼を誇りに思う。歴史的なキャリアの中で今後の活躍が楽しみ。次の勝利を早くつかみ取りましょう」

チェは松山の驚異的なショット能力はさておき、精神的な強さと気質が彼の成功のカギだと考えている。トップ10がわずか2回だった2023年を経て、24年初頭の世界ランキングは46位だった。そして現在は17位にいる。パッティングがアキレス腱だが、ここ最近の活躍はグリーン上での目覚ましい改善によるところが大きい。

「英樹はプレー中、周囲に当たり散らかしたり、引きずったりするようなことがない。自分の感情をうまくコントロールして集中力を高め、挑戦を恐れない。障害物をも突き抜ける鉄球のようだ。記録は破られるためにある。それがスポーツというもの。さらに優勝を重ねる可能性は疑いようがない。彼はゴルフに没頭し、とんでもない時間をゴルフに割いている。私たちのゴルフへの愛情と、うまくなりたいという欲求が彼を特別なものにしている」

昨年、背中や腰に痛みを抱えた時期が多かった松山だったが、チェの“信頼”は揺るがない。「時々、彼が腰を痛めていると耳にするが、そう聞くたびに彼はまだうまくなろうと、いつも常に練習しているのだろうなと思う。まだ若い。アジアのトップゴルファーである理由を示す時間はまだまだあるはずだ」

© 株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン