話を切り上げたいとき、なんて言う? 会話にまつわるお悩みQ&A5つ

言葉のプロが解決! お悩み相談室。

【お悩み1】無言の間が生まれてしまい気まずいです…。

初対面の人など、まだ信頼関係が築けていない人と会話する時、相手が何を考えているのかわからず、何を話せばいいのか迷って無言になってしまうことがあります。沈黙が生まれるとプレッシャーを感じて、余計緊張してしまい、そこから逃げ出したい気分になります。

【Answer 1】間はあっても全く問題なし!
「会話の悩みでよく挙がる無言問題。気にされている方がすごく多いようですが、無言の間はただの空白ではなく、本質を突いた言葉が生み出されるために必要なものなので、焦って埋めようとする必要はないと思うんですよね。でもそんなに気になるんだったら、いくつか質問して埋めてみたらいいのでは? しかし初対面の方と初めて会話するシチュエーションの時は、相手に関する本質を突くような質問はできるだけ避けるべき。ふと口にした一言や話題が相手にとって地雷だったら、場の空気が悪くなるだけです。だから「今日は良い天気ですよね」など、当たり障りのない話題から始めるようにしましょう。2~3回質問して、あまり乗り気じゃなさそうに見えたら、その相手は沈黙が気にならない人だったり、何も話さなくても心地いいと感じてくれているかもしれないので、『この無言の時間を楽しもう!』ぐらいの気持ちで、どっしりと構えてみては」

【お悩み2】相手の話にあまり興味が持てません。

せっかく相手がたくさん喋ってくれているのに、自分の専門外の話ばかりでうまく受け答えができず悩んでいます。しっかり聞く意志はあるけれど、相手に申し訳ない気持ちでいっぱいに。こんな時、何か気の利いた一言を言いたいのですが…。

【Answer 2】ワードをリフレインしましょう。
「すべての話に興味を持つのはなかなか難しいですよね。こちらの知識不足で、その話に共感したり、会話のキャッチボールができそうになければ、それこそ聴きポジに徹して、相手に気持ちよく話してもらえる雰囲気作りを徹底しましょう。その手段のひとつが、相手の言葉の中から何かワードを切り取って、そのままリフレインすること。たとえば食べ物の話をしていたら、“ラーメン”など相手が話している内容のワードに触れてみると、“あ、ちゃんと聴いてくれてるんだ”と思って機嫌よく話してくれるはず。それが全く興味の持てない内容だとしても、ネタとして蓄積しておくことも大切。テレビだって、すべてがすべて興味を持てるような内容ばかりじゃないですよね。でもふと目に入った情報が、何かの役に立つこともある。それぐらいの感覚で、興味が持てない話もどこかで使えるかも? と思えば、前向きに聴けるのではないでしょうか」

【お悩み3】話を切り上げたい時、失礼じゃない伝え方はありますか?

長話や立ち話が好きなお喋りなママ友に困っています。いったん話し始めるとなかなか終わらないし、話を切るタイミングが難しくて、いつもヘトヘト…。嫌われたくはないので、相手に不快感を与えずに、話をうまく切り上げる方法を教えてください!

【Answer 3】こちらがマイナスを被ることがポイント。
「会話の終わりが見えずに、次の予定も迫っている。切り上げたいけれど、なかなか切り上げられない時って結構ありますよね。『すみません、次の予定がありますのでそろそろ失礼します!』など、たとえ申し訳なさそうに謝っても角が立つ気も。だからそんな時は、『ついついさんの話に聞き入っちゃって、もうこんな時間! 次の予定大丈夫ですか?』のように、相手を気遣う言葉で切り上げてみたらいいと思いますよ。『たくさん喋っちゃって、すみません!』『長く聴いていただいて申し訳ないです!』と、こっちが聴きポジに徹していてあまり話していない場合であっても、あえてこちらがマイナスを被って、相手を立てて終わらせるのが、デキる大人のたしなみです。これが自然とできるようになれば、不快感どころか、『この人は気遣いができる人だな。また話を聴いてもらいたい』と、魅力的に思ってもらえるし、好感度も爆上げできるでしょう」

【お悩み4】聞きづらいことを質問する時、どのように聞けばよいか迷います。

アラサーになり友人との会話時に、結婚や子供のこと、仕事のことなどずけずけと踏み込んで聞いていいのかわからず、なかなか切り出せません。なんだか元気がなさそうな気がするけれど、面と向かって相談されたわけではないので、どうすべきか迷っています。

【Answer 4】受け入れる意思表示をしましょう。
「これはもう寄り添ってあげるだけでいいんじゃないですかね。大人になると、友人でも言えないこと、言いにくいことがあります。結婚や子供のこと、もちろん仕事についても今後のキャリアなどデリケートな問題ならなおさらです。いろんなことがあって究極に気分が落ちている時って、誰にも言わず、ひとりで悶々と考えたい場合もあると思うんです。でも大切な友人がすごく悩んでいたり凹んでいることがわかったら、放置せず、自分が思っていることを伝えてみるのもありかと。『もし嫌だったら全然答えなくていいけど、何かあった?』と最初にエクスキューズを入れて、相手に断る余白があることを伝えてみるんです。そして『話したくなったら全部受け止めるからいつでも言ってね』と、門戸を開いて、自分の意思を示しましょう。それを伝えるだけでも、相手は心強い仲間の存在に気づき、素の自分を出せたり、弱音を吐きやすくなるでしょう」

【お悩み5】聞かれたくないことを聞かれた時はどうすればいいでしょうか。

会社の上司や、取引先の人の中に、プライベートなことをむやみやたらと聞いてくる人がいます。角が立たないよう、できるかぎり答えたいとは思っているんですが、あまりにもデリカシーに欠けているため、毎回げんなり…。もう会話もしたくないくらいです。

【Answer 5】答えなくて問題なし!
「いるんですよね~、こういう無神経な人(笑)。言いたくないことを質問されたら、わざわざ言わなくてよいと思います。それがデリカシーに欠ける質問ならなおのこと! 悲しいことを言うかもしれませんが、地雷ギリギリのラインの質問をわざとして、相手がどんな反応をするのかを見て楽しんでいる人もこの世の中には一定数いる。そんな人のために自分を犠牲にする必要はありません。何か聞かれても一切反応せず、口を閉ざしてOKです。自分という人間を保つため、そして今後の仕事を円滑に進めるために、無言で抵抗するのも、様々な人間と良好な関係を築いていくためのひとつの選択肢だと思いますよ。私も聞かれたくないことを聞かれた時は、『なんでそんなこと聞くんですか?』と質問することもなく、その場の雰囲気を悪くしない程度に『うーん、ちょっとわからないです』と言葉を濁したり、話題を変えたりして、その場をやりすごしています」

堀井美香さん フリーランスアナウンサー。1995年、TBSにアナウンサーとして入社。個性的な先達のアシスタントを長年務めた後、フリーに。著書に『聴きポジのススメ 会話のプロが教える聴く技術』(徳間書店)などがある。

※『anan』2024年3月20日号より。イラスト・山中玲奈 取材、文・鈴木恵美

(by anan編集部)

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