STARTO ENTERTAINMENTドーム公演は“カウコン”になり得るのか 松本潤のライブ演出への期待

1996年、阪神・淡路大震災の災害復興チャリティイベントとして始まったSMILE-UP.所属グループによる『カウントダウンコンサート』。1998年から公演場所が東京ドームに移ると、その模様がテレビで生中継されるように。各グループを応援しているファンはもちろん、その他にとっても、大みそかに『カウコン』を観て年を越すというのが、ひとつの恒例になっていた人も多いのではないだろうか。年が明ける瞬間、『カウコン』と『ガキ使』(『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系))どっちを観るかで家族と揉めていたあの頃が、なんだか懐かしく思える。

『カウコン』の開催・放送がなかった2023年末は、それぞれのグループがYouTubeやファンクラブ公式サイトを通して、年越し生配信を行なっていた。推しのグループと、そのグループが好きな人たちだけが集まっている空間というのも、“身内感”があって心地がいい。しかし、例年のように、事務所に所属しているほぼ全グループが集結するあの圧巻のステージも、ちょっぴり恋しいなと思ってしまった。実際に、SNSでは「カウコンがないと年越せない」「カウコンしてないから、まだ2023年のまま」などという声も上がっていた。

3月2日、そんなファンたちにとって“朗報”が入った。4月1日より、新会社・STARTO ENTERTAINMENTが正式に始動すること。そして、4月10日に東京ドーム、5月29日と30日に京セラドーム大阪で、合同イベント『WE ARE! Let's get the party STARTO!!』を開催することが発表された。出演するのは、NEWS(京セラドーム大阪のみの出演)、SUPER EIGHT、KAT-TUN、Hey! Say! JUMP、Kis-My-Ft2、A.B.C-Z、WEST.、King & Prince、SixTONES、Snow Man、なにわ男子、Travis Japanの総勢12組。末尾に“and more!!”と記されているということは、今後新たな出演者の発表やサプライズ出演もあるのだろうか。ちなみに、SUPER EIGHTは本公演が改名後初のイベント。A.B.C-Zにとっては、4人体制のスタートの場にもなる。

新事務所のお披露目の意味も含まれているであろう本公演で、演出を務めるのは松本潤とされている。長きにわたり、嵐のライブ演出を行なってきた松本は、これまでも数々の“革命”をステージにもたらしてきた。たとえば、いまでは多くのアーティストが使っている「ムービングステージ」(=客席の上を移動する透明な可動式ステージ)は、彼のアイデアだ。嵐のコンサートは、どの席も価格が同じ。ならば、できるだけ後ろにいるファンにも近づき、みんなが楽しめる公演にしたいという想いが、このシステムを生み出した。

ちなみに松本は、2021年末に東京ドームで開催された『Johnny's Festival ~Thank you 2021 Hello 2022~』でも、演出を担当している。筆者はこの公演をオンライン配信で視聴したのだが、そのときに感じたのが「どれだけ各グループのことを見ているんだろう……」ということ。自身が所属する嵐の魅力を、存分に発揮するのに長けているのは分かる。しかし、松本は同公演に出演していた13組、そしてそれぞれの関係性までを加味した構成を組んでいたのだ。

とくに印象的だったのは、ジュニア時代からの戦友であるKis-My-Ft2と、A.B.C-Zによる“エビキス”のコラボレーション。また、SixTONESの楽曲「Imitation Rain」を、KAT-TUNが歌っていたのもエモーショナルな気持ちになった。さらに、関西ジュニア時代に同じグループに所属していた平野紫耀と向井康二が、肩を組みながらKing & Prince「シンデレラガール」を歌う姿なんかは、当時のファンにとっては感慨深いものがあったのではないだろうか。

こんなステージが出来上がるのは、松本が後輩たちに対して大きな愛を持っているからこそ。ファン、後輩、そしてステージを愛した男・松本が手がけるとされる『WE ARE! Let's get the party STARTO!!』。どんな公演になるのか、いまから楽しみでならない。

(文=菜本かな)

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