維新との共同会派で目指すのは?教育・前原誠司代表、大いに政策を語る 選挙ドットコムちゃんねるまとめ

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2024年3月13日に公開された動画のテーマは、「教育・維新で共同会派。その狙いは?」

ゲストに教育無償化を実現する会・前原誠司代表・衆院議員をお迎えし、日本維新との共同会派結成の思惑などを語っていただきました。

実現したい政策は「ベーシック●●●●」?

【このトピックのポイント】
・維新との共同会派結成、何を目指す?
・維新とは「人への投資」が共通項
・分断をなくす「ベーシックサービス」

前原誠司氏のプロフィールは以下の通りです。

京都市出身の前原氏は、京都大学法学部を卒業後は、松下政経塾に入塾しました。1991年に28歳で京都府議会議員に当選。1993年の衆議院選挙では、日本新党で初当選。小池百合子東京都知事は、日本新党の1年先輩です。

その後に、民主党代表となり、国土交通大臣、外務大臣を歴任。民進党代表、国民民主党を経て、2023年に教育無償化を実現する会を設立し、代表に就任しました。

「もう一度、政権交代を実現したい」と力強く語る前原氏。

今回は以下の質問からいくつかピックアップして前原誠司氏に回答していただきました。

教育無償化を実現する会、維新との共同会派結成の裏側は?

前原氏は昨年9月、国民民主党の代表選挙に出馬するも、玉木雄一郎氏に敗れました。その後、12月に教育無償化を実現する会を立ち上げ、年明けまもなく、日本維新の会と共同会派を組むと発表しました。

MC乙武洋匡「これは初期段階から決めていたことだったんですか?

前原氏は、国民民主党の代表選でも、維新との共同会派、将来の対等合併などを訴えており、野党は政策や方向性ごとにまとまっていかなければならないと強く主張します。

国民民主党は、旧民主党の中では中道右派。自動車、ゼンセン、電力、電気が中心となって応援する、旧民社党の流れをくんでいます。

一方、立憲民主党は中道左派、昔の社会党系。

前原氏は今回、教育無償化を実現する会が維新と統一会派を組んだことで、中道右派、中道保守の改革勢力の勢いをつけたいと語ります。

MC乙武「ゆくゆくは維新と合併して維新の代表になりたいですか?」

前原氏は「まったく考えていません。仮に一緒になったとしても、維新は若い方々も多いですし、これから吉村世代の方々が中心になっていく」と穏やかに語ります。

前原誠司氏「政治家はひとりひとり、大きなこだわりを持って生きている。大きなものは政権を取りたいということですが、取るだけではダメです。取って何をするか、ということですよね」

停滞を続ける日本への処方箋が「人への投資」

井手教授をはじめとする多くの識者にたずねた結果、前原氏がわかったことは「日本は、人への投資をしてこなかった」ということだそう。前原氏は、以下を列挙します。

・ひとりあたりの高等教育費用を上げるほど労働生産性が上がる。
・技術革新が行われなければ、経済は成長しない。
・技術革新を育てるには、研究開発にお金を投じ、研究開発の裾野を広げる必要がある。

前原氏は、何が日本をひっぱるものかわからないというものにもちゃんと投資し、イノベーションが生まれる土壌をつくるべきと語ります。

前原氏「教育、研究開発の予算、日本は35年間、予算がほとんど変わっていません。中国は20年間で24倍まで人への予算を増やしています。そこを考えると、日本の長期の低落傾向、凋落傾向の根本は人への投資をやってこなかったこと。なので、教育予算を倍に。教育を無償化することで、日本の輝きを取り戻す。さまざまな問題で教育に焦点を当てたいのです」

維新とは、政権を取って何をするか、共通した考えをまとめていこうという点で政策合意項目がまとまった、と前原氏は語ります。政権で何をするか、その根本が「教育への投資を倍増」。維新とは、信頼関係の中でやれている仲間だと説明します。

所得の分断をなくす「ベーシックサービス」

井手英策教授が提唱する「ベーシックサービス」。教育無償化だけでなく、保育・教育・医療・介護といったものを国が無償で提供しようとするものです。

ところで、日本の高齢者の預金額は世界で一番高いと言われています。超高齢化社会の中、いくらかかるかわからない医療費を自分で払うしかないという不安から生まれた備えに基づくものですが、それが経済を滞らせている、というのがベーシックサービス論の主張です。

一方、維新の会では、もともとは所得を保障するベーシックインカムを提唱してきました。同じベーシックといっても、考え方が違うものですが……?

前原氏は、ベーシックサービスが2つの分断をなくすと説明します。

ひとつは「世代の分断」です。

教育の無償化によって、若い世代にサービスが行き渡ります。すると、シニアの便益が薄れてしまいます。

そこで、教育・医療・介護といったサービスをトータルパッケージにして提供していくことで、世代間の分断をなくそう、というのがベーシックサービスのあり方です。

もうひとつは「所得の分断」。所得の多寡にかかわらず、お互いが納税者となる、というのがここでの主張です。

今までの貧困対策は、お金持ちがより多く払い、分け与えるという所得移転の意味合いが強かったのですが、これでは分断を生むと前原氏は指摘します。

そこで、みんなが応分に負担をして、みんなが受益者になることで所得の分断をなくすのが、All for Allの考え方です。

生活保護はベーシックインカムの形で現金給付をしているわけですが、住宅、医療介護、教育といったベーシックサービスを全体に広めていけば、生活保護として渡す分も減る……という考えです。

前原氏は、「将来的なベーシックインカムは否定しない」といい、次の問いを投げかけます。

前原氏「AIがシンギュラリティを起こす時期になってきたら、人間の働く場所があるんだろうか?」

なんでもAIがしてくれるようになった時、人間の働く場所がどういったものになるかは、いわば未知の世界です。前原氏は、「その時にはベーシックインカムがあってもいいと思う。時間的な差を設けて、まずはベーシックサービスを広く普及させればよい」のではないかと語ります。

MC乙武洋匡「ベーシックサービスを実現するには、消費税が18〜20%になると試算されています。日本の有権者は増税にかなりの抵抗感があるのは、いちど国に預けた税金が、それ以上の価値を持って戻ってくるという実感が得られず、政治への不信が生まれているからでしょうか」

前原氏は、「民主党政権での反省もある」と前置きし、消費税増税の前に歳出を含め、見直すべきことがあると語ります。

ひとつは、500兆円とされる企業の内部留保。アベノミクスで儲かった分を、企業が同じ割合で内部留保に回した結果、賃金や設備投資に回っていないと指摘します。

前原氏は、内部留保以上に回っているのが株主還元だとし、賃金や設備投資に回すために、法人への課税を強化する必要があるだろうと分析します。

もうひとつが「一億円の壁」と呼ばれる問題です。累進課税で所得が上がるほど増額される税金が、一定の所得額を超えたところから減少する傾向があることから生まれた言葉ですが、昨年、自民党がこの問題に着手しましたが、数百人しかいない「3億円」という区切りではいささか不十分でしょう。

前原氏は、こういった問題に手を付けてから、消費税増税に取り組む必要があるとコメントしました。

3つ目は、今までの社会保障を借金で賄っていたことに対する付け替えの問題です。

社会保障費を上げた分は、これまでの社会保障費の原資に充てられた借金の返済に充てられてしまいます。前原氏は、消費者がサービスにつながっている実感がないと、「サービスが良くなった意識がなく、消費税を上げることに負担感が植え付けられている」と指摘します。

前原氏は、今後、消費税を増税する時には、増税後にどういうサービスとして国民に利益が還元されるのか、「お得感」を示す必要があるだろう、と締めくくりました。

動画本編はこちら!

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