イスラエル軍、ガザ北部アル・シファ病院を夜襲 「国際人道法違反」とハマス側

イスラエル軍は17日夜、パレスチナ自治区ガザ地区北部のアル・シファ病院を攻撃した。戦車が展開し、激しい銃撃があったとの目撃談が出ている。

アル・シファ病院は今回の紛争が始まるまで、ガザ最大の医療施設だった。紛争初期にイスラエル軍に襲撃され、現在はパレスチナ人数百人が避難している。

イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は18日未明、ガザ市にあるアル・シファ病院の「限られた区域で高精度の作戦」を実施中だとするビデオメッセージを投稿した。

その中でハガリ氏は、軍が「即時の行動を必要とする具体的な情報」に対応していると説明。「ハマスのテロリストの幹部らが(病院内で)再集結し」、病院を使って攻撃を仕掛けようとしているとした。

ハガリ氏はまた、襲撃の中でも病院は機能を継続できるとし、患者や職員に避難の必要はないと主張。病院に避難している人たちは、避難経路を通って病院を去ることができるとした。

そして、イスラム組織ハマスに対し、「直ちに降伏」するよう求めた。

攻撃を目撃した人々は、病院内がパニック状態だと述べた。

ある男性は、きょうだいとの携帯アプリでの通話で、「戦車に囲まれている。僕らはテントの中に隠れている。施設の近くで戦車の砲撃が聞こえる」と話した。

ソーシャルメディアに投稿された映像では、病院の周辺で激しい銃撃音が聞こえる。この映像は検証されていない。

病院内の男性からジャーナリストに送られたボイスメッセージには、「施設内に兵士がいて、死んだ人やけがをした人がいる。兵士たちは若者たちを拘束した。壊滅的な状況だ」という声が残されていた。

イスラエル軍は今回の作戦について、事前に実施計画を示していなかった。

「国際人道法の明白な違反」

ハマスが運営するガザ保健当局は、「国際人道法の明白な違反」だとする声明を発表した。

病院は国際人道法によって、戦時において保護の対象となる。しかし、「敵に有害な行為」を行うために利用されるなどの限られた状況では、保護の対象から外れる可能性がある。

イスラエルは以前から、ハマスが医療施設に隠れて活動していると非難している。ハマスはこれを否定している。

イスラエル軍は昨年11月、アル・シファ病院を急襲。ハマスが使用していた病院地下のトンネル網と武器を発見したと発表した。

イスラエル軍は今年2月には、ガザで2番目に大きな医療施設である、南部ハンユニスのナセル病院の敷地内で大規模な軍事作戦を実施した。

医師たちは、この襲撃の間、目隠しをされて殴打されたとBBCに証言した。これが今月、報じられると、イギリスのデイヴィッド・キャメロン外相は議会で、「イスラエルからの説明」が必要だと述べた。

イスラエル軍は、ナセル病院への襲撃で、人質が同病院に拘束されていた証拠と武器を発見したと発表した。

(英語記事 Israel launches night raid on Gaza al-Shifa hospital

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