プーチン大統領、クリミアの不法併合を称賛 5選決めた翌日

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は18日、ウクライナからクリミアを併合して10周年を祝うコンサートで、クリミアのロシアへの「帰還」を称賛した。

ロシアは2014年、黒海のクリミア半島を不法に併合した。ウクライナに本格侵攻し、ドネツク、ルハンスク、ヘルソン、ザポリッジャの東部4州を掌握する8年前のことだった。

プーチン氏は、大統領選挙で圧勝を決めた翌日の18日、モスクワの赤の広場で開かれたコンサートに姿を見せ、数千人を前に演説。クリミアは「母港に戻って」おり、ロシアと共に前に進んでいくと訴えた。

また、ウクライナ東部4州のロシアへの「帰還」は、クリミアよりも「はるかに重大で悲惨な」なものだったと主張。「だが私たちは最後にはそれを成し遂げた。私たちの国の歴史における大きな出来事だ」と述べ、それら占領地を「新ロシア」の一部だと呼んだ。

聴衆からは「ロシア、ロシア」のかけ声が沸き起こった。

プーチン氏は演説で、ロシア南西部の都市ロストフ・ナ・ドヌから占領しているウクライナを経由し、クリミアに至る新たな鉄道の建設も発表した。

これは、ロシア本土とクリミア半島を結んでいる現在の連絡橋の代替ルートとなる。既存のケルチ橋は2018年開通で、ウクライナでの戦争が始まってからは攻撃の対象となっており、2度閉鎖されている。

プーチン氏は、「私たちはこうして手を取り合って前進していく。これが私たちを本当に強くする。言葉ではなく行動でだ」と述べた。

演説ではこのほか、ロストフ・ナ・ドヌからウクライナで占領下に置いているドネツク、マリウポリ、ベルジャンスクの各市への鉄道路線が復旧し、今後クリミアの港湾都市セヴァストポリまで延伸されると話した。

対立候補もそろって壇上に

プーチン氏は大統領選で、得票率87%の圧勝によって通算5選を果たした。

この日のコンサートでは、聴衆らに支持への感謝を表明した。ステージには、対立候補となることが許された野党の3人も一緒に姿を見せた。

ロシアでは3日間にわたって投票が実施され、ウクライナのロシア占領地域ではさらに長い期間、住民に投票が働きかけられた。

2000年からロシアで実権を握り続けているプーチン氏は、今回の選挙の結果、少なくとも2030年まで権力の座にとどまる見通しとなった。ソヴィエト連邦時代の独裁者ヨシフ・スターリン以来の長期リーダーとなる。

今回の大統領選は、まともな対立候補の立候補が許されなかったことなどから、西側諸国がでたらめだと非難している。

イギリスのデイヴィッド・キャメロン外相は、「プーチン大統領の政権下での弾圧の深さを浮き彫りにした」と批判。ロシアが占領しているウクライナの領土で選挙を実施したのは、「国連憲章とウクライナの主権に対する許されない違反」だと強調した。

ドイツは今回の選挙を「擬似選挙」だと非難。アメリカは「明らかに自由でも公正でもない」とした。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、プーチン氏がまた新たな選挙を「したふり」をしたと断じた。

ロシアの独立選挙監視団体ゴロスは、今回の投票では監視を禁じられた。それでも、選挙での不規則行為や、公共部門で働く人々が投票所かオンラインで投票するよう圧力をかけられたとの報告が表出している。

ゴロスは、有権者らが「自由な意思を形成して表明することも、投票の真の結果を確定することも」できなかったとした。

プーチン氏は反政権派の運動家らを、多くの有権者に投票を呼びかけたとしてたたえた。一方で、投票を妨害した人々を非難し、相応の措置が取られると述べた。

(英語記事 Putin hails illegal annexation of Crimea after claiming election win

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