「眠り」の質をいますぐ上げる4つの方法。睡眠研究の世界的権威が伝授

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実は、万人に共通する「睡眠の質を上げる方法」というものはなく、基本的には減点法だといいます。

なかでも、質のいい睡眠のためにやるべきことが4つあります。

睡眠研究の世界的権威である、筑波大学・国際統合睡眠医科学研究機構長の柳沢正史さんに聞きました。

よい眠りのためにやるべきこと

睡眠の質を上げる方法は人それぞれ違うけれど、「よい眠りのためにやるべきこと」が大きく4つあります。

1つ目は「夜のリビングダイニングの明かりを暗めにする」。

日本の住宅のリビングダイニングは夜が明るすぎるので、ちょっと薄暗いと感じるくらいの環境にした方がいいです。もちろん昼間は明るくていいんです。むしろ、屋外の明るい光を入れた方がいい。朝の太陽の光は体内時計をリセットしてくれますから。

だけど、夜が明るい環境だと、「まだ昼ですよ」というシグナルになって、体内時計が遅れてしまう。夜でもオフィスやコンビニは明るいので、せめて帰宅後は明るすぎないムーディーなくらいの環境の方がリラックスもできますし。

2つ目が「寝る前にカフェインとアルコールを摂取しない」。

就寝前のカフェインとお酒は避けてください。私もそうですが、寝る前にエスプレッソをガブ飲みしても眠れるという人も結構いるんですよ。しかし、カフェインがきいている状態で眠ると明らかに睡眠の質が悪くなります。どうしても飲みたい場合は、遅くとも夜の6、7時とか早めのディナータイムくらいまで。

一方、アルコールには急性の催眠作用があるため、お酒を飲むと寝付けます。ただし、その状態での睡眠は非常に質が悪い。深い睡眠はできないし、中途覚醒してしまう。いわゆる寝酒が一番よくないです。

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3つ目が「寝落ちしない」。

疲れてリビングのソファでちょっと寝ちゃう、というのがよくない。眠りの質も悪いし、必ず途中で起きちゃいますよね。それはもう睡眠学的には中途覚醒なので。ちゃんとパジャマに着替えるなど準備して、寝室で寝ましょう。

4つ目が「眠くなってからベッドに入る」。

ベッドには眠くなってから入りましょう。逆に、どうしても眠れない時は一旦寝室から出ること。

眠くもないのにずっとベッドに入ったまま悶々としていると「眠らなきゃ」という気持ちが強くなり、睡眠に対する不安が生じることがあります。睡眠不安は不眠症の原因になるので注意が必要です。

「温泉効果」で寝つきをよく

最初に「睡眠の質を上げる方法」は個別で違うと言いましたが、多くの人に当てはまるのが「入浴」です。

これは「ホットスプリングエフェクト」、つまり「温泉効果」と呼ばれるもので、就寝の1、2時間前くらいの時間帯にゆっくりお風呂に浸かって、体の深部の温度を少しだけ上げるんです。シャワーではダメで、40、41度くらいの湯船に浸かってちょっと汗ばむくらいが目安です。

深部体温が徐々に戻っていく時に入眠しやすくなるので、入浴後1、2時間でベッドに入るのがいい。ぜひ試してみてください。

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