農園「めいファーム」、女性の新規就農モデルに 茨城・石岡 耕作放棄地借り野菜栽培

就農2年目で今年ネギを初出荷する。水野真由美代表(中央)とスタッフ=石岡市内

元私立高事務職員の女性が立ち上げた農園「めいファーム」(茨城県石岡市)が4月で2年を迎える。女性だけで露地野菜を多品目で栽培する。就農して2年目の水野真由美代表(41)は、あふれる地元愛を胸に「私の育った地域。耕作放棄地が増え、高齢化が進む中、活性化していきたい」と熱く語った。

水野代表は、石岡市(旧八郷地区)生まれ。東京農業大を卒業した。「在学中から土地の確保や農機具の操作など、女性の新規就農は敷居の高さを感じていた」ことから、新卒時は県南地域の私立高校の事務職員として就職。17年勤務した後、農園を立ち上げた。

農産物を栽培する畑は、高齢のため辞めてしまった農家に声をかけるなどし計10カ所を借りた。現在は、計1ヘクタールでネギやソラマメ、ブロッコリー、キュウリを中心に栽培している。

就農して最も大変だったのが品目ごとの栽培技術の習得だ。水野代表は「教科書通りにはいかない」と苦笑いする。JAやさとの営農指導員や先輩の農家から、土地に合った栽培法を教わったという。

農園のこだわりは、豚ぷんや鶏ふんの有機肥料を積極的に使うことだ。「環境のためにも少しでも化学肥料を減らしたい。地域の資源を活用する循環型農業を目指したい」と水野代表。

一緒に働くスタッフは全員女性。農業に従事する人は「男性」「夫婦」のイメージが根強い中、子育て世代や女性だけでも行える農業のモデルをつくりたい考えだ。「女性でも新規で農業をやりたい人もいると思う。若い世代が憧れる職業になったらいい」

とはいえ、体力的に厳しい場面もある。そのため、苗の定植の委託をはじめ、うまく切り盛りする。「時に業務を委託すればいい。重量の軽い品目を選ぶと、体力的な負担感が少ないと思う」と話す。

プライベートでは小学生3人を育てる母親。今後は母親目線、女性目線で地元の女性の雇用創出や、野菜ソムリエの資格を生かした小学校での食育活動を広げていきたい考え。

農園の商品は、いばらきフラワーパーク内の「Yasato de toreta 直売所」やJAやさとの直売所で販売している。

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