水質改善で美しい姿を取り戻した汾河 中国山西省

水質改善で美しい姿を取り戻した汾河 中国山西省

太原市内を流れる汾河沿いにある雁丘園。(2023年10月10日、小型無人機から、太原=新華社記者/楊晨光)

 【新華社太原3月20日】中国・黄河第二の支流、汾河(ふんが)は山西省の6市29県を713キロにわたって流れ、流域の総人口は省全体の66.5%を占める。その広大な流域面積と影響範囲の広さから、汾河は山西省の「母なる川」と呼ばれている。

 だが汾河の管理はかつて、同省の各級政府にとって頭の痛い問題だった。過度の開発や植生破壊などにより、一時は本流の68%で水質が最低の「劣5類」(重度汚染)に悪化。母なる川のかつての姿を取り戻すため、山西省は2012年から取り組みを本格化し、山林、水、大気、都市の各面での対策を一体的に推進する汾河の保護・管理を開始した。

水質改善で美しい姿を取り戻した汾河 中国山西省

太原市内を流れる汾河沿いの自転車道を走る市民。(2023年3月2日撮影、太原=新華社記者/楊晨光)

 水質汚染の問題に対処するため、各種の都市建設資金の投入を拡大、都市の「黒臭水(黒くにごり、悪臭を放つ水)」を徹底的に除去するとともに、都市部の排水管網の雨水と汚水の分流化、都市下水処理場の質と効率の向上にも着実に取り組んだ。

 汾河流域の国家試験地点21カ所のうち、水質が優良(Ⅰ~Ⅲ類)とされた地点は22年の13カ所(61.9%)から23年には17カ所(80.9%)に増加。汾河の黄河への合流地点の水質は23年8~12月の各月とも地表水Ⅲ類の優良水質の基準を満たし、過去最良となった。山西省は汾河の水質改善について、Ⅲ類以上の水質の割合を25年までに全国平均レベルに到達させ、黄河に清流が流れ込むようにすると計画する。

水質改善で美しい姿を取り戻した汾河 中国山西省

生態管理実施前のかつての汾河。(資料写真、太原=新華社配信)

 汾河の水量の増加をめぐっては、黄河からの補水と生態修復を組み合わせた措置を強化している。08年以来、累計20億立方メートル以上を補水し、省内都市部の既成市街地の緑被率は12年の38.6%から20年には43.9%に上昇、降水量も大幅に増えた。生態系の回復で種の多様性も豊かになり、荒廃していた汾河は今や160種以上の鳥が生息する楽園となっている。

 生態系が回復した汾河の美しい景色を目当てに訪れる観光客も後を絶たない。太原市汾河管理委員会弁公室の侯剛(こう・ごう)主任によると、今年の春節(旧正月)休暇期間中、同市汾河公園だけで延べ20万人以上の観光客を迎えたという。(記者/陳志豪、楊晨光)

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太原市内を流れる汾河でボートレースの練習をするチーム。(2023年6月27日撮影、太原=新華社記者/楊晨光)

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生態管理実施後の汾河で餌を探すコサギ。(2023年1月4日撮影、太原=新華社記者/楊晨光)

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生態管理実施後の汾河で羽ばたく渡り鳥。(2023年1月4日撮影、太原=新華社記者/楊晨光)

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生態管理実施前のかつての汾河。(資料写真、太原=新華社配信)

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太原市内を流れる汾河の一角。(2023年6月27日、小型無人機から、太原=新華社記者/楊晨光)

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