国内初、生成AIで政策提言 茨城・つくば市がシステム構築 市民の意見学習

市民の声などのデータを基に政策課題を一覧にしたシステムの表示画面=つくば市小茎

茨城県つくば市は市民の意見を生成人工知能(AI)に学習させ、政策提言につなげるシステムを構築したことが19日、分かった。国家戦略特区「スーパーシティ」の一環。市によると、国内で初めての取り組み。AIを活用して行政サービスを向上させることが狙いで、新年度、市役所での実装を目指す。

市科学技術戦略課によると、内閣府のスーパーシティのデータ活用調査の一環として、市が民間企業と連携してシステムを試作した。

生成AIが市の課題などを示し、新たな政策を提案する。提案を活用して職員が具体的な政策を検討し、行政サービスの満足度向上につなげる。

システムは2022年4月から1年間のつくば市議会の議事録をデータ化し、一般質問や答弁などを生成AIに読み込ませて構築した。今後は市民との意見交換会での意見や市長への便りなどを読み込ませ、市民の意見の分析を効率化させながら、政策への反映につなげる。

システムは幅広い意見を「子育て・教育」「観光・文化・スポーツ」など計6テーマに分類。画面上でテーマを選ぶと、「保育所の問題」「学校整備・教育内容」などの課題が一覧となって把握できる。

例えば「保育所の問題」では、追加すべき政策として、「保育士の業務負担軽減のため、ICT(情報通信技術)を活用した事務作業の効率化支援」などを提示する。

同課の中山秀之スマートシティ戦略監は「散らばっていた意見をまとめ、データ化して分析することで、多く寄せられている意見が課題として可視化される」と指摘。「市民が感じる課題と政策のギャップをなくしたい」と話した。

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