今夏フランス・パリで開かれるオリンピック(五輪)で、ロシアとベラルーシの選手が開会式に参加しないことになった。国際オリンピック委員会(IOC)が19日、発表した。
ロシアが2022年2月にウクライナを侵攻したのを受け、ロシアと、その同盟国ベラルーシの選手は国を代表して五輪に参加するのを禁止された。
しかし、両国で出場資格を得た選手らは、中立な立場の選手として五輪に出場することができる。
閉会式への参加については後日決定される。
IOCは、「それらの人々は個人選手であるため」開会式には参加しないと説明。「だが、五輪を体験する機会は提供される」とした。
現時点でパリ五輪への出場権を獲得している中立選手は、ロシア人が12人、ベラルーシ人は7人いる。五輪全体の出場枠はこれまで6000人分が割り当てられている。
パリ五輪への両国選手の出場は、各自の国旗や国章、国歌を示さないことが条件となっている。
ロシアの「フレンドシップ・ゲームズ」を批判
こうしたなか、ロシアは今年9月に「フレンドシップ・ゲームズ」を開催し、2026年には冬季大会を開きたい考えを示している。
IOCはこの計画を「オリンピック憲章のあからさまな違反」だとした。
フレンドシップ・ゲームズは、1984年のロサンゼルス五輪をボイコットした当時のソヴィエト連邦と他の8カ国によって、最初に開催された。
IOCは、「ロシア政府は政府代表団や大使、閣僚、その他の政府当局を、世界各国の政府に働きかけさせ、非常に集中的な外交攻勢をかけている」と指摘。
「この働きかけでは、対象国のスポーツ組織を意図的に避けており、純粋に政治的な動機がより明白になっている」とした。
また、「これはオリンピック憲章のあからさまな違反であり、同時にさまざまな国連決議への違反でもある」と主張。
「スポーツを政治的に利用しようとするロシア連邦の皮肉な試みだ」とした。
さらに、ロシア政府が「世界的な反ドーピング基準と競技の公正性をまったく軽視している」と付け加えた。
IOCは、フレンドシップ・ゲームズへの参加を強要される選手らについて、不必要な圧力に直面する恐れがあると強調。「政治的プロパガンダ運動の一部として利用される」危険性もあるとした。
世界反ドーピング機関(WADA)は先週、スイス・ローザンヌで開かれた会合で、公認されていない複数種目のスポーツ大会への懸念を表明した。
WADAはフレンドシップ・ゲームズについて、世界反ドーピング規程の下で開催されないため、選手たちの「健康と公平性」が損なわれる恐れがあると指摘した。
(英語記事 Paris 2024 Olympics: Russia & Belarus athletes will not be part of opening ceremony)