110万年前の古人類に高い技術 中国河北省泥河湾遺跡で確認

110万年前の古人類に高い技術 中国河北省泥河湾遺跡で確認

岑家湾遺跡出土の石器製作道具。A-Eは先端を尖らせる道具の組み合わせ、F-Iは尖頭器、J-Mは穿孔器。(資料写真、石家荘=新華社配信)

 【新華社石家荘3月20日】中国河北省文物考古研究院はこのほど、同省陽原県にある旧石器時代の岑家湾(しんかわん)遺跡の古人類が高い技術と認知能力を備えていたことを、国内外の科学者が研究で明らかにしたと発表した。研究は、中国の古人類の石器技術が調整石核技術(事前に剥離面を調整した石核から剥片を剥離する技法)に進化した時期を110万年前までさかのぼらせた。

 泥河湾盆地には前期旧石器時代から後期旧石器時代にかけての遺跡が30カ所余り分布し、初期東洋人の起源と活動を研究する重要なエリアになっている。研究は、中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の裴樹文(はい・じゅぶん)氏の研究チームが、スペインの科学研究高等会議(CSIC)歴史研究所、河北省文物考古研究院など国内外の研究機関と共同で完成させ、論文を国際学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に発表した。

110万年前の古人類に高い技術 中国河北省泥河湾遺跡で確認

岑家湾遺跡出土の調整石核技術関連石製品。(資料写真、石家荘=新華社配信)

 研究チームのリーダーを務めた裴氏によると、ユーラシア大陸東部の古人類進化の重要地域である中国には更新世前期から中期(約258万年前~13万年前)の考古学遺跡が多数存在するが、初期石器技術は長期にわたり停滞し、比較的原始的な技術モードの特徴を備えていたと考えられてきた。

 研究チームは、岑家湾出土の石器に対する技術分析と高精度3Dスキャンを通じて調整石核技術を発見。同技術は一定の基準を備えた最終製品を生産できる重要な特徴を持つ。遺跡からは一定の修理パターンを持つ尖頭器と穿孔器も出土し、調整石核技術を裏付ける強力な証拠となった。

110万年前の古人類に高い技術 中国河北省泥河湾遺跡で確認

岑家湾遺跡の位置と年代を示す図。(資料写真、石家荘=新華社配信)

 考古学界では、調整石核技術が古人類の石器技術の進化段階における比較的高いモード段階に起源を持つと考えられている。中国でも華南地域で同様の技術が発見されたことがあり、80万年前のものだった。

 裴氏は、高い認知能力と調整石核技術を持つ古人類が110万年前に中国北部で生活し、ユーラシア大陸西部とは異なる生存方法と技術形態を発展させていたことを研究結果は示していると指摘。「泥河湾盆地はアフリカ以外で人類の進化と技術の発展を研究する重要な地域であり、東アジア百万年の人類進化と行動発展パターンを確立する研究において大きな潜在力を持つ」と語った。(記者/任麗穎)

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